「さあ、俺達も急ごう!!」
園田が先導して、キャンプの奥へ続いた。
途中、オークやバール兵が我々を疑ったが、そのたびに手早く殺した。
今、ばれる訳には行かない。
そして、騒がしいエリアに近づいた。
「この先は人目が多い。ここで、作戦の確認をしよう。」
園田は紙を広げた。
「そうだな。」
僕たちはその紙を見た。
「まず、この先で、カモフラージュの為に待機している、悪魔人と合流する。
次のエリアの北に、科学プラントなどにつながる通路がある。
そこまでは入れれば、こっちのもんだ!」
「では、行きましょう!」
通路は開けた場所に繋がっていた。
「さぁー!今日は、大サービスよ!
お兄さん達も、ゆっくり楽しんでってね!」
「お兄様方、アタシもいかが?
たぁ〜っぷり、サービスしちゃうわよん。」
「ああ。俺のシャルロットちゃんはどこだぁー!
今ごろ、他の男と・・・・・・・くぅーーーっ!!!」
そこでは、人間も悪魔人も悪魔も混在していた。
人間や悪魔人の娼婦たちはバール兵や悪魔たちに声をかけている。
見回りをしているバール兵でさえ
「わ、私は、ここに遊びに来た訳ではな、ないぞ。
れ、れっきとした、パトロールにだな・・・・・・・・・」
と言い訳がましいことを言っている。
「お前達!あまりハメを外すんじゃないぞ!」
と、彼の同僚は僕らに警告しながら苦笑いをしている。
少し進むと、一人の悪魔人娼婦が待機していた。
彼女はビキニを着た頭や手、背中に羽のような物が生えている悪魔人であった。
「貴方達が、姐さんの言ってた人達ね。
私はバーバラ。よろしくねボーヤ。
えーっと、私は誰のパートナーになればいいのかしら?」
バーバラがそう言うと、桐島は慌てて早坂の腕を取り、身体を密着させた。
バーバラはそれを見て、クスリと笑うと僕の方に向き直った。
「私、貴方がいいわ。貴方って私好みよ・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・って事は・・・・・俺は、上河と・・・・・・」
「・・・・・園田さん・・・・・・これも、作戦成功の為ですよ・・・・とほほ。」
「行きましょう。」
バーバラは僕の手をとり、しなだれた。
甘い香水の匂いがする。
胸が高まる。
「かわいいわね。まだ、時間もあるみたいだから少し楽しまない。」
そういって、バーバラは僕を小部屋に連れ込もうとした。
僕はどぎまぎしながら躊躇した。
「あん?何だお前ら?邪魔すんじゃねえよ。」
「あーん!せっかくイイとこだったのにぃー!」
「ごめんねぇー、ここは今満室なの。
悪いんだけど、他でやってちょーだい。」
どうやら中は満室みたいだった。
少し残念のような…
「あら、残念。」
「バーバラといったか。俺たちには余り時間はない。早く進みたいのだが。」
と、ぴくぴくした顔で園田は言った。
上河の肩に手をかけるのが、嫌なのだろう。
「せっかちね。…あまりせっかちだと女に嫌われるわよ。でも仕方ないわね。それでは急ぎましょう。」
そして少しづつ慰安所を進んだ。
「あっ!バーバラお姉様ぁ!
いつも、お美しいですぅ〜!」
猫型の獣人がバーバラに手を振っている。
「うふふ。ありがとう。アナタも可愛いわよ。」
「キャー!うれし〜!バーバラお姉様に言われるなんて・・・・・
アタシ、張り切っちゃう〜!」
その悪魔人は嬉しそう顔をしている。
どうやらバーバラさんはここでは慕われているようだ。
さらに進むと、バール兵と、悪魔人の娼婦がいちゃいちゃしている。
「おっ、お前らもよろしくやってるな。」
リンダ「あら、バーバラお姉様。
今日は可愛い子連れてらっしゃるのね。」
「・・・・・・・・・しかし、お前・・・・・・・お稚児さん趣味もほどほどにしとけよ。
それでさ。も〜今日は、リンダちゃんすごくってさ。」
「そんな事無いわ。いつも通りよぉ。」
そのままいちゃいちゃしながら二人は去っていった。
狭い通路を通り、また開けた場所に着いた。
「このまま北に向かえば、奥の通路に入る扉がある・・・・・。
そこまで行けたら、もうこっちのものだ!」
園田は小さな声でみんなに指示を与えた。
そして、進もうとしたら一人大柄な人型の悪魔が近づいてきた。
もしかしてばれたのか?
ばれない様に剣を握った。
「あ!お前の連れてる男の子かわいいなぁー。
俺にもちょっと貸してくれよ。」
戦意が一気に失った。
上河を狙っているのか?
上河は、すぐに園田の背後に隠れた。
「また、シャイな所がいいね。
今度俺の相手もしてくれよな、かわいこちゃん!」
悪魔が去ったとき、みんなほっとした。
そして、扉を開け一行は、細い通路に入り込んだ。
「よし、ここまで来れば、こっちのモンだ。」
安心した声で園田は地図を取り出す。
「ここを左に行けばいいんだな。」
早坂はその地図を見て確認した。
「ああ。」
その間、桐島と上河ははずしていたボディアーマーを急いで装備した。
「ああ、恥ずかしかった。」
「やっぱり、この服のほうが落ち着きますね。二度と着たくはないです。」
「でも、悪魔に気に入られるから、似合っていたんじゃないか?」
冗談とともに、彼の剣を渡した。
「葛城さん。冗談はほどほどにしてくださいよ。」
「すまん。冗談言って悪かった。あと、この銃だな。」
桐島も上河も無事戦える準備は整った。
「これを・・・・・・・」
バーバラは、小瓶を取り出した。
「先は長いわ。これを飲んで元気を出して・・・・・・・・。」
先ほどバール兵と戦った傷が癒えた!!
「それじゃ、私はこれで。
じゃあね。史人くん。
また会えたら、イイ事してあげるわ。」
そう言い残してバーバラは去って行った。
「よし!葛城、行こう!」
暗い明かりの中通路を進んでいく。
途中、数匹のオークとオークチーフとの戦闘があったものの、負傷も負わず、無事切り抜けた。
通路はさらに狭い洞窟に続いていた。
地図を確認した園田は
「この先は一種迷路になっている。
先導は俺がやろう。」
と先頭に立った。
「よし!頼んだぜ。」
さらに暗い道が続いていた。
少し進むと三叉路になっていた。
「ここを右だ!」
どんどんと進む。
「この先をまっすぐだ。下り階段でB1Fに入るんだ。」
曲がり角の先に階段が見える。
しかし、バール兵とオークが数匹通路の途中にいる。
「どうする、葛城。このまま一気に突破するか?」
「いや、相手に隙を作り、魔法で一気に殲滅する。
そっちのほうが音が小さくすむし、余計な邪魔者が現れないと思う。」
「どうやって隙を作るのか?」
園田の疑問に対して僕はDDSを走らせながら答えた。
「仲魔にそういうのが得意な悪魔がいる。今、呼び出す。
サモン ブラウニー!」
コンピューターのモニターに魔法陣が浮かぶ。
そして、小人の妖精が現れた。
「ヒーホー!!お呼びでホか?」
「ブラウニー。あそこにいる連中を困らせてくれないか?」
「いいだホー!!」
「頼む。…みんなも魔法を頼む。」
「こっちもOKだ。」
「僕もOKです。」
「あたしも魔術プログラムを走らせるわ。」
「じゃあ、俺は止めを刺す役だな。」
ブラウニーがのこのことオークたちの前に歩いていく。
彼らはいぶしかげに小人を見ていたその瞬間、ブラウニーが踊りだした。
オークたちはその踊りを見て呆けた表情をし始めた。
それを狙って僕らはいっせいに呪文を放つ。
僕は炎を出し、園田は衝撃波を、上河は光を、そして桐島のプログラムは雷を呼び出した。
そして、早坂が曲がり角を飛び出て止めを刺そうとしたが、する必要もなかった。
「ブラウニー。もう戻っていいぞ。よくやった。」
「褒めてありがとうホー。また、呼んでくれホー。」
ブラウニーは魔法陣の中に消えていった。
「すごいですね。悪魔を召喚するってことは。」
上河が尊敬するような表情で僕を見ている。
「仲魔にするのが大変だけどね。」
「そうよね。達也だったら無理だったよね。」
「英美、いいだろ、その話は!それよりいこうぜ。」
「ああ、先を急ごう。まだ、先が長いからな。」