8/ユイ暴走

6day/October 25(Sat.)
シャーロック&ルイ合作


 また、まばゆい光を放ちながら、日が上ってゆく。
アルクエィドが大蒜で倒れてから、私たちは就寝に就いた。
ひさびさにゆっくり寝ることができ、体がすっきりしていた。
 昨日から、私とユイは同じベッドで寝た。
もちろん、ユイが心配だったから一つのベッドで寝たのだが……、次の朝、リビングで琥珀さんが……

「昨日は楽しかったですかエレイスさん♪」

「ぶっ!!」

 紅茶を飲んでいた私は思わず吐いてしまった。
この人は……。

「違いますよっ、ユイが心配だったから一緒に寝ただけです。何もしてませんっ」

「あらっ、そうなんですかぁ〜」

 ったく、この人は何を想像してたの?
しばらくすると、志貴も部屋に入ってきた。

「グモニ〜みんな」

「おはよう志貴」

「おっはよ〜志貴」

 私とユイは挨拶をする。
髪がぼさぼさで、まだ直していないみたい。
テーブルにつくと、琥珀さんが朝食を持ってきた。
ふぅ〜。
 私は、口を拭き、紅茶を飲みなおす。

「ねぇねぇ、エレイスは今日どうするの?」

「う〜ん……特に……決まって〜……」

 しばらくすると、秋葉さんがリビングに入ってきた。
何だか疲れ気味のようだ。

「おはようございます秋葉さん」

「おはようございますユイさん、エレイスさん」

「どうしたんですか?何だか疲れ気味ですけど…」

「大丈夫ですよ、ちょっと寝不足だけですから」

「はぁ〜」

 秋葉さんもテーブルにつくと、朝食を食べ始める。
あっ、紅茶が切れた。

「琥珀さん、すいませんが紅茶をもういっぱいお願いできますか?」

「はい、すこし待っててくださいね」

 パタパタとスリッパの音を鳴らしながら来る琥珀さん。
紅茶の入っていたポットを持っていくと、ふと、秋葉さんと琥珀さんがなにやら合図をした。
なんだろう……。
 合図した瞬間、何だか妖しい笑みを浮かべたような気がした。
 しばらくすると、紅茶入りのポッドを持ってきてくれた。
ユイのカップを取ると、紅茶を注ぐ。

「はい、どうぞユイさん」

「ありがとう」

 私もついで貰いそれを飲む。

 志貴が朝食を食べ終わり、リビングを出て行くと、秋葉さんと琥珀さん、そして私とユイになった。
志貴は、今日は用事があるといい出て行く。
 その時突然、視界がぼやけてきた。

「あれっ?」

「うっ……」

 ユイもおかしくなっている。
そして私たちは闇の中へ堕ちた………。


 どれくらい眠ったんだろう……。
ふと目をさます。
ここは………居間じゃない。
私たちの借りてる部屋だ。
 まだ体に力が入らない。
私はイスに座っていた。
 ベッドにはユイが寝ており、手足を拘束されていた。
ベッドの脇には、秋葉と琥珀さんがいた。

「あ……秋葉……これは………」

「お目覚めになりましたか。ごめんなさい、あなたには睡眠薬を入れるつもりはなかったんだけどこれしか手がなくて………。いまから彼の注射嫌いを直そうと思って」

「そうですよぉ〜、昨日の夜、秋葉様と夜遅くまで考えていたんですからねぇ〜」

 あぁ、それで……。
なっとく、しかしまだユイは目覚めていない。
はやく起こさないと………、ダメだ……足の力が入らない………。

「あっ、今はエレイスさん動けないですよ。ちょっと薬に別のものを入れたので力が入りません。でしょ?」

 あぁ〜もう〜琥珀さんそんなことするのは止めなさいよ…。
琥珀さんが、再び注射器を出す。
中の液体はなにやら緑色に光っている。

「琥珀さん、、そんなものうって大丈夫なんですか?」

「えっ?だぁ〜いじょうぶですよ。琥珀特製の薬ですから安心してください!」

 自信もっていわれてものな…。
 そして琥珀さんは、注射器の針をユイの腕に刺す。
あれっ?
ユイが叫ばない?
またかなりの強い睡眠薬を投与されたのか。
 しかし、すべての液が投与されると、ユイの目がぱっちり開いた。

「うわぁぁぁぁ!」

「ユイ!!」

 思わず体を乗り出してしまい、バランスを崩し、床に倒れてしまう。
しかし、ユイが苦しがっている。
秋葉はいつものように鋭い目線で行いを見ている。

「琥珀さん!!」

 琥珀さんもじっと彼を見つめている。

「ぐぅぅぅぅぅぅぅ・・・・・・」

 しばらくすると、苦痛に満ちた声が聞こえなくなった。
しかし突然、ユイの縛っていた拘束具が外れた。

「ユイ!?」

「うわぁぁぁぁぁ!!」

 さすがに秋葉と琥珀さんもこれには驚いている。
すべての拘束具を引きちぎると、ベッド上に立った。

「ユイ?」

 おかしい、理性が無くなったみたいだ……。
まるで……紅赤朱になったみたいに。
 ユイはそのままベッドを飛び降りると、ドアを抜け、すばやい動作でどこかへ消えてしまった。

「琥珀さん!何を入れたの?」

「あちゃ〜、やっぱりまずかったですかねぇ、実験をしてない薬を投与するのは」

 この人は………。
思わず、手を顔にあて、ハァ〜っとため息を漏らす。
 やっとのことで足に力が再び入るようになって、私はユイを追い始めた。

「きゃ!!」

 今の声はシエル先輩!!
先輩の声がしたほうへ向かうと、先輩は尻餅をついていた。

「いたたたた……」

「大丈夫ですか先輩!?」

「ええ、大丈夫です。しかしどうしたんですかユイ君は?」

「ちょっと琥珀さんが……」

「あ〜、わかりました。早く追いかけましょう・・・」

 一階西館へ向かう私たち。
しかし、ユイの姿が見つからない。
 二階西館にあがってみてもいない。
すると、二階東館からアルクェイドの声が聞こえた。

「どうしたのよユイ!?」

 すぐに声がしたほうへ向かう。
ちょうど秋葉さんの部屋の前で、アルクェイドとユイが対峙していた。

「ユイ!!」

「!?」

 私たちのことに気づくユイ。
ユイは、開いていた窓から飛び出し、木の枝を利用して一階に着地した。
少しだけ紅赤朱の能力が出ているためか運動能力が格段にアップしていた。
やっぱり、琥珀さんの薬のせいなのかな?

「どうしたのよあいつ?」

「ちょっと琥珀さんが……」

「でも倒しがいあるやつじゃない」

「ダメですよ、アルクェイド。そんなこと考えちゃ」

「え〜…」

 アルクェイド、残念がってどうする……。
 外へ出た私たちは広大な庭を、散開して捜索した。
それぞれの方向へ行き、隅々まで探し出す。
しかしなかなか見つからず、日が落ち始めた。

「まずい…もうあと数十分したら日が完璧に落ちる……」

 それでもユイは見つからない。
 どこにいるのよ……。
空が完璧に暗くなる直前、ガサッっという音が聞こえた。
 あたりを見回す。
周りにはいない……。
ということは………上!!

「!?」

 ビンゴ!!
再び、ユイは屋敷に向かって走り出した。
 すぐに追いかけ始める。
薬のせいもあって、動きがいつもより格段とよくなっている。
するとちょうど庭の真ん中で箒をもった女性立っていた。

「誰も呼んでないけど、お困りならば即参上!!」

「だれ……?」

 思わず足をとめてしまう。

「魔法少女まじかるアンバー!!」

 えっ……?
琥珀さん…だよね……。

「こ、琥珀さん?」

 別の方角を捜索してたシエル先輩が戻ってきた。
さすがに琥珀さんの格好を見て先輩も驚いている。

「違います!確かに美人で手際がよく、便りになるハウスキーパーさんに似ていますが違うんですね♪」

 正体をばらしてどうする…。
ユイも危険なの物と認識したらしく、琥・・・・じゃなくてまじかるアンバーをにらんでいる。

「琥珀なにやってるの……」

 秋葉も捜索していたんだ。
ちょうど露天風呂の方を捜索して秋葉が戻ってきた。
さすがに秋葉もこれには驚いている。

「だから違うっていってるじゃないですか〜……しかしユイさんには逆にあおってしまったですねぇ。こんなこともあろうかと用意していたものがあります!」

 まじかるアンバーが、指を鳴らす。
あの以前テレビでやっていた機○○道伝Gガ○ダムの主人公のように手を高く翳しながら鳴らしている。
 すると屋敷の方から誰がやってきた。
 あれ?
翡翠さんか。
でも何か違う、動きがどこか遅い……。
それも電子音が鳴っている。
 電子音?

「カモ〜ン!!メカ翡翠ちゃん!!」

「ソノ、ブキヲステロ」

 いや武器は持っていないんだけど。
しかしよく出来た機械だ。
現代の技術ではやっとのことで二足歩行できるようになったのに、このメカ翡翠はいとも簡単に歩いている。
 私たちが感心していると、いきなり目からビームが発射された。
私は思わず身を引いた。
 ユイもこれには驚き、逃げようとしたが、ときすでに遅くまともにビームを浴びた。
ユイもコテンとすぐに気絶した。

「ニンムカンリョウ」

「さっすがメカ翡翠ちゃん!最新型のスタンビームも絶好調ね!!」

「ふぅ〜」

 私も思わず尻餅をついてしまう。
すぐにマジカルアンバーが、注射器を出す。
今度は黄色の液体だった。
すぐにそれを打ち込む。

「これで大丈夫ですよ、すぐに元通りになりますよ〜、では私はこれで!」

 そういってまじかるアンバーは屋敷へ戻っていった。
 琥珀さん、もう正体はばればれなんだけどなぁ〜。
 しばらくし、ユイが目覚めた。
意識もはっきりとしており、元に戻っていた。

「ステアー?」

「元に戻ったのね………よかったよかった…」

 私は、ユイと一緒に屋敷に戻り、先にユイを寝かせた。
にしてもユイはかわいそうだな、最近怪我ばっかし…。
つくづく運がない……。
同情するよ、ユイ…。




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