6/志貴騒動
5day/October 24(Fry.)
シャーロック&ルイ合作
ユイが琥珀さんの注射で気絶してから琥珀さんと翡翠さん交代で看病をしていた。
あれから私は完治し、すぐに動けるようになった。
途中、私に看病させてくれと頼み、私は再びユイの隣に座った。
しばらくすると、外から小鳥のさえずりが聞こえ始めた。
もう空は、うっすらと明るくなり始めている。
私も何だか眠くなってくる。
頭をユイが寝ているベッドに載せると、そのまま寝てしまった。
「何しているのですか!!」
目がさめたのは、シエル先輩の怒号の声だった。
思わず頭を上げ、あたりを見回す。
声が聞こえたのはどうやらリビングかららしい。
にしてもよく聞こえる・・・・・。
私は体おこし、リビングへ向かう。
何事かと思いきや、アルクエィドが志貴にべったりとくっついていた。
「琥珀さんこれは?」
「おはようございます、アルクエィドさんが志貴さんにあまえたんですよ、べったりと。そうしたらシエルさんと秋葉様が激怒してしまって・・・・」
なっとくなっとく。
でもすごい剣幕、ふたりとも・・・・。
「遠野君から離れなさい!このあーぱ吸血鬼」
「兄さんもはっきり言ってください!!」
し、修羅場ってる・・・・・・。
こわっ。
「ま、楽しそうですね♪」
「えっ?」
なんで?
楽しい?
この人はすごい・・・・・。
アルクエィドもシエル先輩と秋葉さんをにらむ。
「志貴、ちょっと来て」
「ぉおい!」
二人がリビングから庭へ出ると、突然,アルクエィドは、志貴を担ぎ、高く跳躍した。
あっけにとられる私。
しかしシエル先輩と秋葉さんは・・・・・。
「待ちなさい!!秋葉さん!私に捕まって!!」
「ええ!!」
いつもはなんか歯車が合わないけど何でこんなときは息が合うんだろう?
あっという間に、シエル先輩達もアルクエィドを追って消えてしまった。
また、おいかけっこか・・・・。
飽きないな。
「何なんですか・・・・アレは・・・・」
「いつものことですよエレイスさん」
「はぁ・・・・・」
時計を見ると、志貴争奪戦が始まってから、かれこれ5時間が経過していた。
あの三人がいないと、ほんとに静か。
翡翠さんが気をきかして、紅茶などを運んでもらっている。
空が赤くなる頃、ついに争奪戦はひとまず終った。
この前のように、庭で、アルクエィドが突然、着地したのだ。
「た〜だいま〜」
志貴を見てみると、元気だった。
この人はユイと違って頑丈だ。
「お帰りアルクエィド、・・・・ってことは・・・・」
続いてシエル先輩と秋葉さんが帰ってきた。
こっちはさすがに息を切らしている。
「はぁ、はぁっ・・・に、逃げ足の早い・・・・」
「次は・・・・こうは行かないわよ・・・・・」
「逃げられてしまったようですね」
この時間までずっと追いかけていたのか?
すごい根性だな・・・・・・。
と、そこに・・・・
「どうしたの?」
「!?」
ユイが、リビングにやってきたのだ。
ある程度完治してみたいだ。
「ユイ、もう大丈夫なの?」
「うん、大丈夫。これは・・・・」
「ご説明いたしますユイさん」
付き添っていた琥珀さんが説明しようとする。
しかし・・・・・
「琥珀!!ユイさんにそんなこと知る必要はありません!ですから、余計なことはお聞きにならないうように・・・いいですね!?」
こわいよ秋葉・・・。
「しかしユイ様には現状が理解できていません。この場合は説明しないと・・・・」
「それはそうだけど・・・・」
「ナイス翡翠ちゃん!」
翡翠に親指を立て、GOOD!!とやる。
そして秋葉の静止を無視し、説明を始めた。
「では、お話しましょう♪先ほど、志貴様がアルクエィドさんに担がれて逃げてしまいました。そのあとを秋葉様とシエルさんが追いかけたんです。でも結局、お二人ともアルクエィドさんを捕まえることができなくて、おめおめと恥を晒しに帰ってきたんです。お分かりいただけました?」
琥珀さん、なんか違いますよ。
「あ〜納得」
んっ、シエル先輩と秋葉さん、顔が夕日ごとく赤いですよ〜。
「志貴ももてるねぇ〜、このこの!」
ユイは志貴に冗談で言う。
しかし・・・・・。
「ユイさん、そんなこと言ったらどうなるかわかります?」
「えっ?」
先輩、黒鍵で脅すのはまずいでしょ。
黒鍵の先がユイの首筋にあたってるよ・・・・。
「次言ったら承知しませんからね」
「そうね。つぎやったら・・・・・」
秋葉まで。
「秋葉様、髪の色変わってます。」
これはまずい・・・・。
非常にまずい。
ユイは冷や汗をものすごくかいている。
頭に巻かれた包帯がぐっしょりするぐらい。
立場ないな、ユイ。
「まぁまぁ、先輩、秋葉、この辺で許してあげてください」
「仕方ありませんね〜」
先輩は黒鍵をしまう。
ふぅ、一件落着かな?
にしても、ユイはかわいそう・・・・・・、運がなさすぎだよ・・・。