4/ワルクエィド
3day/October 22(Wed.)
シャーロック&ルイ合作
アルクェイドとシエル先輩がユイをつれてどこかへ消えてからもうかれこれ数時間がたち、真夜中になっていた。
私は秋葉の承諾を得て、今日は遠野家に泊まることにした。
志貴の隣の部屋を借り、そこで帰りを待つ。
ベッドに腰掛け、外を見つめる。
「どこまでいったんだろう・・・・・・・・・・・」
そのとき、ドアをノックする音が聞こえた。
志貴だけどと声が聞こえる。
私は、はいっと返事をし、ドアを開ける。
「眠れる?」
「いや、ユイのことが心配で・・・・」
「ちょっと話そうか・・・・・」
「うん、かまわないけど・・・」
わたしは志貴を部屋の中にいれ、ベッドに再び座る。
「ユイとは中がいいようだね」
「小さい頃からの友人で…」
「ふぅん、とんだ災難だったね、あの二人に巻き込まれて」
「いえ、もう気にしていません。ていうかすごく楽しくて」
わたしはテヘッと笑顔を見せた。
「君は強いね……」
そのとき、外で何か物音が聞こえた。
外を見ると、そこにはユイを担いだアルクェイドがいた。
ってことは……
いた、遅れてシエル先輩がやってきた。
わたし達はすぐに外へ出る。
「やっほ〜」
いつものとおりのアルクェイド。
しかしユイは……。
「ハァ、ハァ、ハァ………」
完全にイッてる。
意識はまだちゃんとあるね。
この二人のドタバタによく意識を失わなかったと感心してしまう。
すぐに志貴の部屋につれてゆき、ベッドに寝かせる。
ベッドに寝るとホッとしたのかすぐに目を閉じ、眠ってしまった。
「すいません、こんなことになって」
シエル先輩はわたしに向かって深々とお辞儀をする。
まあ私じゃなくてユイに誤らないと。
「ここは?」
ユイも目覚め、わたしはほっとする。
体を起こし、部屋を見渡す。
「志貴の部屋よ。大丈夫?」
「ははは、笑うしかないよ…」
「ちゃんと復活しましたね、はぁ〜安心しました。もう二度とあんなことにならないようそこの化け猫にしっかり言って下さい遠野君!」
「先輩も悪いんだからね」
わたしは躊躇なく突っ込んだ。
すると先輩は、胸に黒鍵をさされたかのごとくかたまった。
「はい・・・・すいません」
「まぁまぁ、今日はこの辺で寝ようよ。もう遅いし・・・・あっ、志貴さんここから出ますから」
「あっ、いいよ、俺はソファーで寝るから。今日はこのままゆっくりと休め」
「すいません・・・・」
「じゃ、お休みねユイ」
「おやすみなさいユイさん」
「おやすみにゃ〜」
わたし達は外へ出て、それぞれの部屋に向かう。
アルクェイドとシエル先輩は、屋敷から出て自分の家に戻っていった。
わたしは部屋に戻り、志貴はリビングへと戻る。
「兄さん、ユイさん戻ったの?」
あっ、秋葉さんだ。
「ああ、相当ぐったりしてたから俺の部屋を使わせたよ」
「そうですか、では兄さんはどこで?」
「俺は居間のソファーで寝るよ」
「兄さん・・・・」
「いいからいいから、さぁ、もう遅いんだから早く寝ような」
「はい・・・」
秋葉さん兄想いな人だな。
わたしはそう思った。
部屋に入り、ドアを閉めると、どっと眠気が襲って来た。
ベッドに横になると、すぐにまぶたが重くなり、眠った・・・・・・。
何だか最近疲れることばかり。
耳に小鳥のさえずりが聞こえてきた。
目を開けると、快晴の空に小鳥が飛んでいた。
わたしは体を起こす。
それと同時にコンコンと誰かがドアをノックした。
「おはようございますエレイス様」
「おはようございます翡翠さん」
翡翠が中に入ってきて、私にお辞儀をする。
「ご朝食ができています。居間へどうぞ」
「あの、ユイと志貴は?」
「ユイ様はもう居間にいます。志貴様はご朝食のあと、用事のためお出かけになりました」
「そうですか、すぐに行きます」
わたしはすぐ服を着替え始める。
以前、ユ○クロで買った白のラフなカッターシャツに黒のジーンズ、そしてユイにプレゼントされたお気に入りの黒のタートルネックを着る。
靴下を履き、居間へ向かうとユイが、秋葉さんと紅茶を飲みながら話していた。
「おはようございます秋葉さん」
「おはようございますエレイスさん」
「おはようステアー、眠れたかい?」
「あなたこそゆっくり眠れたみたいね」
「ああ、僕は朝食を済ませたから」
「エレイスさん〜」
キッチンから顔を出す琥珀さん。
手には包丁と包丁とぎを持っている。
怖い……。
どこかの山姥にでもなったのかと思った。
「朝食は和風でよろしかったですか?」
「はい、お構いなく」
「は〜い♪」
わたしはイスに座る。
しばらくすると、琥珀さんが、お盆の上に和風の朝食をもって来てくれた。
いたただきますといい、箸を持つ。
朝食を食べ終わると、わたしは、琥珀さんにご馳走様といい、外へ出た。
ここの空気はほんとにおいしい。
庭に座っていると、後ろからわたしを呼ぶ声が聞こえた。
振り返ると、そこにはシエル先輩が立っていた。
「おはようございます、エレイスさん」
「いい天気ですね先輩」
「ええ、いつもこんな天気が続いて欲しいですね」
「ほんとです」
こうしてみているとシエル先輩は、普通の人にしか見えないな…………。
しばらくすると、ユイも庭に出てきて私たちの罠しに加わった。
「あっ、シエル先輩、こんにちは」
「こんにちはユイさん。昨日はすいませんでした・・・」
「いえいえ、もう気にしてませんからいいですよ。それで何を話してたんですか?」
「ええ、お互いのことについてです」
「……へぇ〜」
にこっとしえる先輩が笑顔をする。
んっ?ユイ、何赤くなってる?
「どうしたのユイ、顔が赤いぞ〜?」
「いやっ別に!!」
ふ〜ん、何か隠すつもりか。
ならば!!
私は彼を押し倒す。
「エレイスさん!?」
「彼、何か隠しているんです、こういうときは・・・・」
私は彼の弱点の、弱点を知っている。
背中だ。
私は背中を集中的に攻撃を始めた。
「うわぁぁ!!やめてステアー!!ひ〜〜!!」
「ほら、何を隠している。言え」
「何もだよ〜〜ひ〜〜やめて〜〜!!」
じたばたしてもわたしは手を緩めない。
彼と知り合って、何か隠しているときはいつも彼の弱点を突いて吐かせている。
こうすれば高い確率で吐くからだ。
「ほら、まだ言わないか」
「わかった!!言うから!!もうやめて〜〜〜!!」
私は手を止め、彼のあごを人差し指で持ち上げる。
「さっ、いいなさい?」
「それはその……シエル先輩の笑顔…………がその…………」
「なに?」
「ドキッてして……」
ふ〜んそういうことか。
「もうお世辞でもうれしいですよ」
シエル先輩は完璧に照れてる。
まぁいっか。
私はユイから降りる。
ユイはかなりの精神的ダメージを追ったらしく、ハァハァと息を切らしている。
「こんな天気のいい日です、どこかへ出かけましょう」
「そうですね、いいアイディアです。ほらっ、ユイ行くよ!」
「待ってくれよ……」
ユイはよろよろと立ち上がり、私達を追う。
秋葉さんに出かけると伝え、私たちは外へ出た。
町に出ると、平日だということもあり、あまり人がいなかった。
と、そのとき………
「わっ!!」
「ひっ!?」
「!?」
私とユイは声をそろえて驚いた。
振り向くと、アルクェイドがテヘへと下を出しながらそこにいた。
「何ですか?」
シエル先輩の声が冷たくなった。
「ただ挨拶しただけよ、それが悪い・尻・エ・ル」
「ビシッ!!」
「ちょっとアルクェイド!!」
「いいじゃないいくら言っても」
「あのね、怒らせることを言わないの!」
ユイの言うとおりだ。
私もそれには同感だ。
「ぶ〜〜!!」
そのとき、アルクエィドの耳をユイが引っ張った。
「いたたたた!!痛い!!」
「言わない?」
「痛いって!!」
「どうするの?」
まあユイはお仕置きのつもりでこうしているのだろう。
ふとアルクェイドの顔を見ると、顔が……変わった……ていうかものすごく鬼の形相…。
やばいかも…。
「えっ?あ〜う〜…」
今度はユイの番だった。
首を捕まれ、ズルズルと引きずられる。
そして、ある路地裏に連れて行かれた。
「さっきはよくもあんなことしてくれたわね?」
「ちょっと待て!!逆ギレしてどぉする!!うわぁぁぁぁ!!!」
やばい絶対やばい!!
あぁ〜……ユイが…………。
腕を引き裂かれ、激しく出血する。
腹、足と次々と引き裂かれる。
「私はなにも見なかったですよ」
「ってちがうでしょ先輩!」
「大丈夫ですよ。今は昼ですからたとえ暴走しても力はそんなに出ませんよ…………たぶん」
「おいおい…」
しかし激しさは増すばかり。
ユイも、悲鳴すらあげなくなった。
「今日はえらく派手にヤっていますね〜。しかし、私がここにいるい以上好きにはさせません!!」
腕から黒鍵を出す先輩、ほんとにどこから出るんだろう?
これだけは情報が無いから私にもわからない。
そして先輩は、アルクエィドに向けて黒鍵を投げた。
「お、お仕事しているしてる……」
しかし、黒鍵を避けると、今度は私たちの方向に向かってきた。
「こっちに来た……」
「とにかくあなたは逃げてください!アレは私が何とかします」
「オッケ。逃げるよ、でもアレは志貴で止めたほうが…………」
「なんか呼んだかい?」
うわっ、なんていいタイミングで。
志貴もアルクエィドを見て今の空気が読めた。
「アルクエィド!!」
志貴は、アルクエィドに向かって一括した。
「これ以上暴れたらご飯を作ってあげないぞ!!」
そんなんで止まるのか…ってアルクェイド、止まっているし!!
「やだやだにゃ!!」
おまけに猫化している……、単純だ……単純すぎる。
私はその隙にユイの元に寄った。
かなり出血している。
このままじゃやばいのは確実だ。
シエル先輩は、何とか止血させ、ユイを先に遠野家につれて帰った。
高い跳躍で、あっという間に遠くへ行ってしまう。
私たちも急いで遠野家に戻り、ユイの元へ向かった。