34/新たな力
23day/November.12(Thu.)
シャーロック&ルイ作
日が昇り、朝日が部屋の中に入っていく。
私は目が覚め、体を起こす。
ふと隣を見るとユイがいない事に気づいた。
私は服を着替え、部屋の外へと出る。
居間へ行くとユイが頭を抱えて何かを考えていた。
「ユイ?」
「んっ?あっ……あぁ…おはようエレイス…」
「おはよう、どうしたの?」
「昨日のことを考えていた……」
私はユイの隣に座り、彼の背中に手を置く。
でも言葉が見つからない…
私も彼を傷つけてしまった。
六道のせいだとは分かっていても、やってしまったのは私の手である。
「アイツは……僕の両親の敵だ。だから……力が欲しいけど、遠野の力を使えば必ず僕は暴走する…そこを考えていたんだ」
「手はあるわ、必ず何か手が………だから今は寝て疲れを癒そうね」
「うん、分かった」
私達はベッドに入り、ユイは目を閉じる。
私は彼の頭を優しく撫でると、安心したようにすぐに寝息が聞こえ、私もゆっくりと眠りに身を任せた……。
その頃、シエル、フェーダーは日本の埋葬機関支部へと来ていた。
支部からの連絡で、遠野家での事件は二人に伝わっていた。
フェーダーは前からユイの力に疑問を持っており、報告で聞いた事件にも対応できるようにあるものを作っていた。
「マスター、どうですか?」
「もう少しだサイレント、これが出来ればユイも大いに力を使えるからな」
「だいぶ完成したようですねフェーダー」
「ああ、姉さんは?」
「機関長を黙らせるだけの書類は作りましたよ」
フェーダーが作っているのはワルサーP99の改良型を作っているのだ。
これは彼女のアイディアで、グリップから各自が持っている能力を注入し、それを弾丸として作り出し撃ち出すという彼女とシエルが共同で開発した新型銃だ。
つまり、これをユイが持てば血の刃を弾丸として相手を殺傷させる弾丸を撃ち出し、エレイスがこれを持てば不死の躰の能力を弾丸として撃ち出し、相手を回復させる弾丸を撃つ事が出来るのだ。
スライドには埋葬機関の刻印を入れてあり、マガジンも通常弾丸を撃てるように改造してある。
「改造の方は済んだのか?」
振り返ると、そこには埋葬機関第四位に属し、様々な銃器に精通しているセンチメーターが入ってきた。
彼は日本支部の要請でここに派遣されていたのだ。
センチメーターはフェーダーに銃器の技術を教えただけではなく、爆発物なども教えたマスターでもあるのだ。
「こんな感じだ」
フェーダーは改造を終えた一丁のワルサーP99をセンチメーターに渡すと、センチメーターはツーハンドホールドで構え、サイトを覗きながらトリガーを弾いて空撃ちをする。
そしてワルサーを耳元に持ってきて、トリガーを弾いて中の音を聞く。
「ふむ、上出来だ。これならまず壊れる事は無いな」
「当たり前ですよ、フェーダーは心を込めて作ったんですからね」
「二丁拳銃にするつもりなのかフェーダー?」
「ああ、ま〜ユイのスタイルを考えていたらこれがしっくり来てな。それで両手兼用に使える銃で思いついたのがワルサーP99だったんだ」
「なるほど、確かにこいつは両手どちらでも使えるからな」
センチメーターが言い終えるとフェーダーはワルサーP99のスライドをはめ、スライドを後ろに引いてスライドストップを解除して戻すとトリガーを弾いて空撃ちをして動作確認をする。
「あとサイレンサーも装備させるつもりだ。あの島国は一発の銃声でマスコミに流れるからな」
「いい心がけだ、じゃ、俺は機関長に呼ばれているからまたな」
そういってワルサーをガンアクションしてスライド前部を持ってデスクに置くと部屋を出て行った。
フェーダーは試しに9mmパラベラム弾を二つのマガジンに入れ、グリップ内に戻すとスライドを二つとも弾く。
「サイレント、フィールドをシエル姉さんに張ってくれ。跳弾が来るかもしれないからな」
スッとガンナーから姿を変え、シエルの前に立つとこくりと頷く。
「では行きますよシエル様」
「はい、お願いいたします」
フィールドを張ったことを確認するとフェーダーは5m先の的に向かって二丁のワルサーP99のトリガーを弾く。
激しい轟音と共に9mmパラベラム弾が薬きょうから発射され、的に向かって跳んでいく。
弾丸は中心に次々と命中し、弾が無くなりスライドがロックされるとワルサーをデスクに置く。
「完璧ですね」
「問題ないかな、さて、こいつをユイに渡さないとな」
「ユイ様、これで少しは力の負担が減りますね」
「そうだなサイレント」
翌朝、ユイは一人居間に座り考えていた。
ずっと六動の事、そして自分の力の事………………私は声をかけることができなかった。
いや、言葉が出なかったのだ。
私はユイの好きなストレート・アールグレイティーを作ってあげ、彼の前に出すとユイはありがとうと笑顔を出しながら言ってくれた。
その時、屋敷のチャイムが鳴り、私は玄関に向うとそこには青子先生がいた。
「ただいまと言っていいのかな?」
「ここはあなたの帰る場所にもなってますからそれでいいですよ」
「ユイ君、やられたそうね」
「はい、完璧に…………」
「はいこれ」
先生が渡してくれたのは一枚の紙と本だった。紙を開くとそこには携帯番号が書かれていた。
先生はこれからさらにニ、三日ユイの為に六動の情報を集めてくれるという。
「あとこの本は役に立たないかもしれないけど今までの様々な死徒のデータを納めているわ。これを見れば戦い方がわかるかもしれないわ」
「わかりました、何から何まですいません先生」
「気にしないで、じゃ、また言ってくるわね」
じゃねと手を小さく振り、坂道を降りていく先生。
私は先生を見送ると、屋敷に戻る。
「六動、アイツは四季と同等に厄介だろうな…………」
声のする方を向くとそこには七夜と瑞希さんがいた。
確かにあの六動は他人の心を「飲み込み」、仲間にする。
それで私もユイを傷つけてしまった。
正直、勝算はないに等しかった。
「でもユイは諦めないわ、たとえどんな状況でも彼はあえて敵地に踏み進んでいく」
「ふっ………、だろうな」
「私も協力する、他人事じゃないからね」
勿論私も諦めなかった。
ユイは一人で進もうとするけど今はみんながいる。
「何の話をしているのですか?」
振り返るとそこには秋葉達がいた。
「おかえりなさい秋葉」
後ろには志貴達がいた。
一日しか家を離れてなかったのに何だか何日も会えなかったような感じがする。
私達は今へと戻り、今までの事情をすべて説明する。
秋葉は「六道」という言葉を聞いたときに少し動揺した顔になった。
「なあ秋葉、その六道っていう人物って誰なんだ?」
「ユイには話す必要がありますからね、ご説明します。六道神楽、私達遠野家で手を出したくない事にはすべて六道という人物に依頼し、任務を遂行する人物です。
姿は影そのもの、ユイと同じく遠野の血が流れていますが、完全なイレギュラーで隠密に依頼するにはうってつけの人物なんです」
影そのもの、確かに私が六道にのっとられた時に影に包まれた感じがした。
「そして私の父はおそらくユイの力を恐れ、六道に依頼して暗殺を企てたのでしょう」
「秋葉、アイツの……六道の情報を知る事は出来るのか?」
「お父様の書斎に行けば何かあると思いますが私には分かりません、あとで書斎の鍵をお渡しします」
「ありがとう秋葉」
昼食を食べた後、ユイは秋葉から借りた鍵を使い、書斎にある書類を一つ一つ探していた。
だがめぼしいものが見つからない。
部屋の隅々にある書類や本を見ていても六道に関係するものが見つからない。
書斎にあるめぼしいものをすべてみた時は日はすでに落ち、ユイは書斎の椅子に座り、何か見落としているものは無いかと考えていた。
だがこの屋敷は隅々まで見ている。
「何処にも無い……………いや、待てよ……」
ユイは周りを見渡し、ふと本棚を見つめた。
スッと立ち上がり、何か仕掛けがあるのではないかと本棚を触って探す。
だが何も見つからず、今度は机を隅々まで探す。
すると引き出しを開け、机の下を探すとスイッチを見つけた。
ユイはそれを押してみると本棚が開き、その中から金庫が現れた。
だが金庫は鍵とダイヤル式になっており、簡単には開けれなかった。
「クッ・・・・・・」
ユイは鍵を壊そうとしたが何かの仕掛けがしてある可能性もあるためそれをやめ、もう一度スイッチを押して本棚を戻した。
そしてユイは書斎を出て鍵を閉め、鍵を返す為に秋葉の部屋に行く。
歩きながら六道のことをずっと考えていると、ドンと誰かにぶつかった。
「ご、ごめん……あっ、し、志貴……」
「大丈夫だ、何か考え事か?」
「あっ、いや、なんでもない。ごめんな」
「いや、気にするな、でも何かあるならちゃんと言えよ」
「ああ……」
ユイが志貴と離れ、秋葉の部屋に入る。
「探し物は見つかりましたか?」
「いや、見つからなかった。手数をかけたな」
「いえ、気にしないでください」
ユイは鍵を渡すと礼を言ってそそくさと秋葉の部屋を出るとそのまま自室へと戻った。
私は部屋の中で音楽を聴きながら本を読んでいた。
ドアが開く音が聞こえ、顔を上げるとユイが帰ってきた。
重そうな顔をしていて、ユイは黙ったままベットに横になる。
「ユイ……」
私はユイの隣に座り、頭を優しく撫でる。
「見つからなかった、何も……六道に関する事……何もかも…何で見つからないんだ……」
「焦っちゃダメ、いつものユイだったら落ち着いて探せるでしょ?」
「でも……………………そうだね……ありがとう」
笑顔を浮か、精一杯の顔で私を見てくれるユイ。
私もその笑顔を見て心の中がホッとした感じになった。
しかしユイの心の中ではまだ焦っているのが私には見えた。
「ねえエレイス、どうして六道のデータが無いんだろう……」
「う〜ん、そうね……ユイなら大事な秘密を何処に隠す?」
「僕…は、そうだな、何も書かずに頭の中に……そうか」
そう、秘密を証拠も残さずにするのに一番効率的な場所は頭の中なのだ。
すべて頭の中に叩き込み、それを代々受け継いでいけば、証拠は残らず誰も知られずに済む。
秋葉が知らなかったのはそれを知る前に四季に殺された為だったからだ。
ユイは書斎にあった金庫の事を教えてくれた。
それはダミーで、六道に関することは入っていないだろうとユイは話す。
「くそ……アイツに関する情報はまったく無しか」
「大丈夫よ、次に会ったときはユイは必ず勝てる…」
優しく背中を撫で、ユイを励ます。
その時、ドアからノック音が聞こえ、ドアが開くとそこには先輩とフェーダーがいた。
手にはジュラルミンケースが握られている。
「聞きましたよユイ君、大丈夫でしたか?」
「はい、僕は大丈夫です。で、今日は?」
「お前にお届け物だ」
「僕に?」
フェーダーはユイにケースを渡すとそのまま椅子に座り、膝の上にケースを置き、フタを開ける。
中には二つの銃が収められていた。
「まさか、これを僕に?」
「そうですよ、私達があなたの力の制御の為に作ってあげた特注品です」
ユイは一丁を出し、じっくりとそれを眺める。
「ワルサーP99、口径は9mm×19mm、そしてサイレンサーが付いているね。」
「さすが、銃にはなかなか詳しいな」
フェーダーは一つ一つこの銃の性質を教えてくれた。
まずグリップからそれぞれの能力の力を吸収し、それを弾丸として撃ち出す。
つまり、ユイがこの銃を持って撃つと遠野の力を弾丸に、私が撃つと不死の躰が弾丸として撃ち出され治療が出来るという事を教えてもらった。
そして普通の弾丸も撃てることも教えてもらい、ユイはジッとワルサーP99を見ていた。
「お気に召しませんでしたかユイ君?」
「まさか……ありがとう、先輩、フェーダー」
その時、窓の外からツバサちゃんが帰ってきた。
ユイの為に遠野家の回りを飛び、監視をしていたのだ。
「お帰りツバサちゃん」
「ご苦労さんツバサ」
「ほう、使い魔ですか?」
「はい、僕の使い魔ツバサです」
ツバサちゃんはスッと人間姿になり、ぺこりと行儀良く頭を下げる。
「初めまして、ツバサといいます。これからもよろしくお願いいたします」
「初めまして、シエルといいます」
「私はフェーダーだ、ヨロシクな」
二人はツバサちゃんと握手をすると重苦しい空気が和やかになる。
「私たちにも使い魔がいますから、紹介しますね」
先輩は法衣を脱ぐとスッと第七聖典に変わり、セブンへと変身する。
フェーダーのホルスターからサイレントガンナーが抜けるとサイレントへと姿を変える。
こうしてみると何だか姉妹に見えてくる。
「初めまして、私サイレントと言います」
「私はセブンですぅ〜、よろしくぅ〜♪」
「よろしくお願いいたします」
ユイもこれを見て、心が落ち着いたのかやっと普段の顔になった。
フェーダーと先輩も三人がキャッキャッとはしゃいでいるところを見てクスクスと笑っている。
そして使い魔たち三人は数秒で打ち解けあい、まるで子供みたいに部屋を出て遊びに行ってしまった。
「何だか不思議な感じですね」
「そうですね先輩、ほんとに本物の人間みたい」
「いい息抜きになるだろうなあの三人は」
スッとユイはケースを持って立ち上がると先輩とフェーダーに話し始める。
ユイは二人に銃の指導をして欲しいと頼むと先輩はフェーダーに銃の指導をしてもらったほうがいいと言われ、私たちは中庭へと出る。
天気は無風の快晴で射撃訓練にはもってこいの日だった。
フェーダーはユイの立っている場所から20m離れた場所に的を置き、ユイの後ろに立つ。
私と先輩は近くのベンチに座り、二人の様子を見る。
フェーダーの指導の元、一つ一つの構えから射撃の基本まできっちりとレクチャーされる。
ふと私は先輩に質問をしてみた。
「先輩、フェーダーってもともと銃が得意だったんですか?」
「いえ、彼女は風を使ったのが得意だったんです。そのお陰で幼い頃は良く天気を当てたと聞いています」
「そうなんですか、じゃあ埋葬機関に入ってから銃の訓練を受けたと?」
「はい、私たち埋葬機関の中には銃に長けた仲間もいます。フェーダーは銃器に関することが一番飲み込みが良く、ドンドンと上達したんです」
「なるほど、じゃあユイにはうってつけの先生だね」
「そうですね」
ユイは基本の構えを覚えると、今度はフェーダーが射撃のお手本を見せた。
フェーダーはユイからワルサーP99を一丁を借り、両手持ちで的に向かって照準を合わせ、15発すべてを的の中心から二つ目の線までの中にすべて撃ち込んだ。
そして今度はユイの番となり、フェーダーと同じように両手持ちで構え、一発一発ゆっくりと撃つ。
まだ初めての射撃な上に銃の反動が殺しきれていない為に的に当たったのは15発中半分だけだった。
マガジンを交換し、再び構えるとフェーダーがゆっくりと落ち着くように言ってユイを冷静にさせる。
ユイは深呼吸をして再びトリガーを弾いて的に向かって撃つ。
「頑張れユイ」
「何か言いましたか?」
「いや、何でも……先輩はユイの能力はどうですか?」
「う〜ん、飲み込みは早いと思いますよ。彼はなかなか戦う素質はあると思います」
「そうですか……これなら敵から襲われても自分に負担をかけること無く戦えますね」
「そうですね」
それから夕方になってユイは射撃訓練をやめた。
ケースの中にワルサーをしまい、腕を軽く振り続ける。
私はユイの元へ近付くとユイは手を摩り始めた。
「大丈夫?」
「いや、ちょっといきなりで撃ちすぎて……」
ユイの指を見ると少し赤く腫れていた。
銃の反動が指に負担をかけ、少し腫れてしまったのだ。
私はユイの手を握り、ゆっくりと目を閉じると力を送った。
するとゆっくりと腫れが引き、ユイの顔から痛みが引いた。
「もう大丈夫かな?」
「ありがとうエレイス」
「お前も、やっと武器を持つ様になったか?」
振り返るとそこには七夜と瑞希がいた。
どうやら日中に買い物に行っていたようだ。
七夜は右手に持っていた紙袋をユイに投げた。
ユイはそれをキャッチすると、袋の中を見る。
中には私とユイの新しい上着が入っていた。
「エレイスのを選んだのは瑞希だ、礼を言っておくんだな」
「言われなくても、じゃあユイのを選んだの七夜が?」
「そうだ」
「彼、ものすごく真剣にユイ君のコートを選んでいたんだよ」
瑞希さんはよほど七夜の買い物がおもしろかったのか笑い出しそうになる。
袋からコートを出すと私のは膝までのダッフルコートだった。
色も私好みですぐに気に入った。
ユイのはコートの端などにラインが入った白いコートで、所々ベルトの飾りが施されている。
「ありがとう七夜、瑞希さん」
「気にしないで、ほら、冷えないうちに中に入ろう」
「そうだね」
「では私達はまだ雑務がありますので、今日は失礼しますね」
「フェーダーも?」
「ああ、今日は姉さんの所に泊まって、雑務をする予定だ。何かあったらすぐに連絡してくれ」
その時、屋敷内を駆け巡り、少し遊び疲れたような顔したツバサちゃん達が帰ってきた。
楽しかったのだろう、満足している顔だった。
「マスター、もう帰るんですか?」
「はい、じゃ、またユイ君、エレイスさん」
「またね〜セブン、サイレント」
「また遊ぼうね〜」
「さようなら〜ぁ」
セブンとサイレントはそれぞれの形に戻り、ツバサちゃんはユイの側に行く。
「またパトロールをしますか?」
「いや、今日は琥珀さんの手伝いをしてくれ、今日はゆっくりしてていいから」
「はい、分かりました♪」
ちょこんと敬礼してツバサちゃんはトテトテと屋敷の中へと入っていった。
私達も屋敷の中に入ると琥珀さんの作った夕食の匂いがしていた。
瑞希さんも一緒に夕食を食べると、一日だけいなかっただけなのに何だかすごく夕食が美味しく感じられた。
賑やかな夕食の後は、琥珀さんはユイの事を案じたのかトランプゲームをみんなでした。
あの七夜もみんなの勧めで参加し、ユイの顔は安心した顔になり、ゲームを楽しんだ…。
終身時間になり、瑞希さんは夜も遅い事もあって屋敷に泊まる事になり、私とユイは部屋に戻って寝巻きに変えた。
ユイはケースに収められたワルサーP99を真剣な顔で見つめ始める。
私はユイの隣に座り、ゆっくりと背中を撫でる。
「大丈夫だよ、怖いものなんて無い…」
「うん………、分かってる、だってエレイスといたら心が落ち着くもん」
「ありがと、ほらもう寝よ」
「うん」
私は優しくユイを抱きしめて優しく背中を撫でながら横になる。
ユイはそれに甘えるように私に体を預け、気づくと子供の様に寝てしまった。
私は腕枕をしたままウトウトとし、そのまま眠りについた・・・・・・…。