30/Time After Time
20day/November.9(Sat.)
シャーロック&ルイ作


 目覚めの良い朝ではなかった。
起きた途端、私は頭痛になってしまったのだ。
 私と同じく時間に起きたユイは私のことをさっし、手早く着替え、琥珀さんの元へと向かった。
小走りで琥珀さんのいる台所へと向かう。

「琥珀さんいます?」

「おはようございますユイさん、どうしましたか?」

「あっエレイスが頭痛いって…、治りそうもないから琥珀さんから薬を貰ってくれと頼まれて」

「はい、わかりました。すぐにお薬を取りに行ってきます」

 パタパタと足音を立て、自室へ向かう琥珀さん。

「エレイスが頭痛だって?」

「わぁ!な、七夜。お、おはよう」

 ユイの背後に突然現れる七夜。
ユイはビクッとしながら振り向き、事情を話始めた。

「そうか、後で様子を見に行くか…」

 そういって七夜は台所を離れた。
ユイは冷蔵庫からお茶を出し、グラスに注ぎ、それを飲む。
 しばらくすると台所に琥珀さんが戻り、ユイに薬を渡した。

「これを飲めばすぐによくなりますよ。ただ少しの間眠ってしまいますが」

「分かった、ありがとう琥珀さん」

 ユイが台所を出て、自室へ向かうとすれ違いに七夜が台所に戻ってきた。

「あの薬は何だ? ただの薬じゃないんだろう琥珀?」

「あや、分かりました?…今に分かりますよ」

 琥珀さんは怪しい笑みを浮かべながら七夜を見る。
七夜もフッと笑い、その場を立ち去ろうとする。

「…ならば楽しみにするか…では失礼する」



 ユイが部屋に戻ってくると、薬を受け取った。
水が入ったグラスも受け取ると、薬を飲み、水をグッと飲んだ。
 薬を飲み込むと、私は再び躰を倒し、横になった。
しばらくすると頭痛が引いてきた。

「どう?効いて来た?」

「うん、眠くなってきちゃった……」

「いいよ、ゆっくり寝ろよ」

 ユイは私の隣に入ってきて、ゆっくりと私を抱いてくれた。
私はそのまま彼に躰を預け、コテンと寝てしまった。
 ユイも目をつむり、私と同じように寝てしまった………。



 どれ位寝たのだろうか……頭痛は消え、体はすっかり元通りになった。
目をあけるとそこには一回りも大きくなったユイの胸があった。
 ユイの顔を見ようと顔を上げると、いつもなら見えるはずのユイの顔が見えず、顎しか見えなかった。
おかしいな…まだ寝ぼけているのかな……?

「ん…、起きたのエレイスぅ……ふぁ〜…へっ?」

「へっ、じゃないでしょ」

 ユイの顔は見る見る蒼白になっていく。
何、私の顔に何かついているの?
 ユイが体を起こすと、驚いた。
いつもだったらユイの肩に私の頭が付くのに今はちょうど鳩尾に頭がつくのだ。

「あれ、何かいつもよりユイが大きいような……まさか、一気に伸びた?」

「んなわけないでしょー!自分の体をよく見てぇ!」

 ユイが私を持ち上げ、鏡の前に来るとそれを見て私も固まった。
背が………縮んでいるのだ……。
 すぐにこれの主犯が誰か分かった。
こういうことが出来るのはあの人しかいない。
 ワナワナと肩を震わせる私。






「………こ……琥珀ーーーーーーーーーーーー!!!」






 ユイの腕を振り切って部屋を飛び出す。
階段を下り、居間へ向かう。

「え、エレイスっ!」

 ユイも私を追って部屋を飛び出す。
 中に入ると、琥珀さんがそこにいた。
 琥珀さんはちょうど遊びに来た瑞希さん、青子さんと志貴と一緒に仲良く話していたところだった。

「琥珀さん!!」

「あっ、おはようございますエレイスさん」

「おはようございます…」

 癖で挨拶を返しちゃった。

「……じゃなくて!! 何ですかコレは!!」

「可愛らしいじゃないですか、とても。ですよね瑞希さん、青子さん、志貴さん」

「ホントね、すごく可愛いわ」

「ま、まぁ〜可愛いと言えば可愛いけど…」

「うわぁ〜、ものすごく可愛いよぉ」

   居間のもう一つのドアから、少々不機嫌な顔をした秋葉が入ってきた。
嫌な予感………。

「何なの?朝から騒がしい」

「あっ、秋葉様どうですか?エレイスさんを見てください」

「えっ?」

 琥珀さんは私を抱きかかえ、秋葉に見せる。
呆然とする秋葉。

「え、エレイス?」

「はい……」

 秋葉はじろ〜っと琥珀さんを見る。
私も同じように琥珀さんを見ると、さすがに琥珀さんもたじろいだ。

「イヤですねぇ〜そうやって、すぐ人を疑うのは良くないですよ?」

「疑うべき人間が貴方しかいない居ないからよ。で?何のつもりでこんなことをしたのか、ちゃんと説明なさい」

「いえ、いつものように……」

「薬が出来たから、誰かで試したかった…ですか?」

 私はジトーっと琥珀さんを見る。

「やはり、出来たからには試してみないと」

 試されたほうの身になってみてよ……。
私は琥珀さんに、薬の効果が切れるのがいつか聞いてみた。
 すると琥珀さんは、試作品の段階だから短くて3日、長くて2週間だと言った。
 最低三日…………。

「でも可愛くていいじゃないですかぁ〜」

 琥珀さんはギュ〜っと私は抱きしめる。
うな〜、やめれ〜〜〜。

「琥珀…」

「なんですか秋葉様?」

「後で私にも抱かせて」

 秋葉もかぁ!!
目の色が違うし!!

「こ、琥珀さん、そんなことより服はありますか?」

「はい、もちろんです。こちらへどうぞ」

 琥珀さんは自室へ戻ると、クローゼットを開けた。
すると、そこにはいろいろな衣装がたくさんあった。

「す、すごい数」

「そうですかユイさん?」

 確かにユイの言うとおり、かなりの数だ。
しかしよく見ると………

「な、何ですかこの衣装は……スパロボのレオナ・ガーシュタインの服、エクセレン・ブロウニングの服……うわ、ガンダムSEEDのラクス・クライン、それにハロ付き………」

 それも大人用のサイズと合わせて子供用まで!
いったい何のために…………。
 ほへ〜っと見つめるユイ。
確かにここまでくれば呆れるどころじゃない。

「あ、ある意味すごいですね琥珀さん……」

「いえいえ、そんなこと無いですよ〜、で、なんにしますか?」

「あの、フツーの服は無いのですか?」

「あるにはあるのですが……」

 私はクローゼットのした方を探してみると、子供用の服が見つかった。
その中から黒を中心とした服を探し出し、それを袋に入れてゆく。

「黒ばっかしですね〜」

「黒もちゃんとコーディネイトすれば可愛くなるんですよ………あれ? 何だろアレ? ユイ〜、アレとってくれない?」

 私の背じゃ届かないところに気になる物があった。
ユイはそれを取り、袋を開けようとすると、琥珀さんの顔が少しだけ引きつっていた。

「ああっ、それは!!」

 袋を開け、中から服を取り出す言葉を失った。
スークール水着、体操服&ブルマ、ゴスロリ、ピンクのメイド服など盛りだくさんと入っていた。

「な、何考えてるんですかぁ!!」

「あはは〜。いや、エレイスさんが着たら似合うかな〜っと…もちろん、今の、ですよ。あっ、こんなのもありますよ?」

 琥珀さんは更に、ネコ耳&尻尾、ウサ耳、イヌ耳&尻尾、ピカチュウの耳…などを取り出した。
即座に首を激しく横に振る!

「いりません!!」

「そうですか? 残念ですね〜」

「ともかく、この服はお借りします」

 袋を持ち、琥珀さんの部屋を出る。
すぐに部屋に戻り、黒のシャツ、黒のズボンを履き、とりあえず落ち着いた。
にしても………秋葉があそこまで変わり、琥珀さんは妙にいろいろな服を持っていた。

「にしても秋葉もあんなに顔が変わるなんて………、それに琥珀さんは何であんなに服を………」

「いや、まだ油断は出来んぞ……、まだあっていない人物がいる」

「えっ?」

「私のことか?」

 その声にビクッとし、振り返ると、目と鼻の先にフェーダーが居た。

「ひっ!!」

 とっさにユイの後ろに隠れ、覗くようにフェーダーを見る。
フェーダーはジッと私を見ると、口元がニヤッとなった。

「そいつ、エレイスか?可愛いじゃないか」

 何だか怖い……。
フェーダーに心をつかまれたような感覚がする。

「可愛い子は好みでな……、つい可愛がりたくなるんだ」

「フェーダー、何かいつもとキャラが違うぞ」

 ユイの言うとおり、いつもとキャラが違う。

「ふん、だがエレイスを可愛がりたいのは事実だ……」

 何だか怖くなって私は部屋を飛び出した。
ユイが私を追いかけてくる。
しかし、自分の足につまずき、転びそうになってしまった。

「っ!! わっ、たっ!!」

 片手を地面につき、そのまま前転し、再び立ち上がる。
すると目の前に、見覚えのある服があった。
顔を上げると、それは七夜だった。

「ん?…お前か。随分……縮んだな…」

 七夜はポンと私の上に手をおき、頭を撫で始めた。

「ウルサイなぁ…」

 頬を膨らまし、顔を背ける。
でも頭を撫でられるのはいいかも………。

「七夜…、コレ、琥珀さんの仕業で……」

 ユイが追いつき、七夜に事情を説明しようとすると、七夜はそれを止めた。

「知っている…、いや、知っていた、か」

「えっ、じゃあ何で教えてくれなかったのっ?」

「興味があったからな、あの薬にどんな効果があったのか」

 それを聞いてさすがに私も呆れた。
薄情な奴……。

「しかしほかに変化は無いのだろう?それにちゃんと戻る方法もある」

「ま、まあ確かに」

「なら今は我慢するしかないだろう」

 七夜の言うことはごもっともだ。
しかし、あと短くて三日………大丈夫かな〜………。



 あの後、七夜は何もしないかと聞いてみた。
すると七夜は

「年下には興味は無い、お前は別だが」

 と言ってきた。
始めはうぅ…っと引いてしまったが、何もしないと言ってくれ、仲間が一人出来た。
 七夜と別れ、翡翠とあったため、どこか日当たりがいい場所はないかと聞いた。
 翡翠は離れがいいんじゃないかと言い、私とユイは離れへと向かった。
扉を開け、中に入ると、畳のいい匂いがした。
 私は日があたるところに腰を下ろし、ポカポカと日光浴を始める。
ユイは私の隣に座ると、そのまま畳に横になった。

「いやぁ〜、フェーダーや秋葉があんなにも変わるなんて思わなかったよ…。目の色やキャラまで変わっていたし………」

「そうだね……、でも、逃げ出したりして…悪いことしちゃったな…」

 しょぼんと頭を下げる。
すると、ユイは体を起こし、私の前に立ってくれないかと言ってきた。
 何をするのかなと思っていたら、いきなり私を抱いてきた。
始めは驚いたが、すぐに体の力を抜いて、ユイに体を預けた。

「こうしていると何だかステアーが妹みたいに見えるな」

「い、いもうと……」

「うん、僕が一人っ子だって知っているでしょ?だから……」

「むぅ、何か……複雑…。はぁ〜〜………」















後日、元の体に戻り、一件落着……。
当然、琥珀さんには報復攻撃をしたのは言うまでない。

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