27/新たな出会い

18day/November 7(Thu.)
シャーロック&ルイ作



 あれから私たちはこれからのことを話した。
ここしばらく遠野の家に居座っているため、引越しをすることにした。
 私は、ユイの携帯を借り、実家へ電話して報告するとすぐにオーケーした。
ユイと一緒に、と報告すると何も言わずに

「分かった、そうしなさい」

 と帰ってきたのだ。
 その後、秋葉に相談すると、秋葉も嫌な顔一つせずにこちらもオーケーしてくれた。
引越しの相談などあれこれしていると夕方になり、夕食の時間になった。
 琥珀さんとサイレントは、私たちの引越しの前祝と言って、豪華なメニューになっていた。
 オードブルは海鮮のマリネ、スープはミネストローネスープ、メインは若鶏のマレンゴ風だった。
二人が気合を入れ、腕を振るったのだ。

「どうですか、今日はパーティーですよ♪」

「すごいですね琥珀さんっ」

「はいエレイスさん、引越しの前祝ですからね〜」

「ささ、ステアー」

 ユイは椅子を引き、私を座らせようと招いた。
私はそっと椅子に座ると、ユイは椅子を前に押してくれる。
 ユイも席に着くと、サイレントが私のグラスにジュースを注いでいく。
琥珀さんもユイのグラスにジュースを注いでいく。

「では皆さん、グラスをお持ちください」

 秋葉がグラスを持つと、私たちも一緒にグラスを持ち上げる。

「兄さん、お願いします」

「おう、じゃあ、ユイ、エレイスの引越しを祝って乾杯!」

『かんぱ〜い!!』

 皆のグラスがあたり、クリスタルのいい音がなる。
くっと一口に飲み、グラスを置くと、スプーンを持つとミネストローネを飲み始める。
 う〜ん、美味しい!



 パーティーが終わり、部屋に戻り、のんびりとし始めた。

「今日はすごかったねぇ」

「そうねユイ、荷物は何時ここに運ぶの?」

「秋葉の話だと、自分のグループにある業者を使って、部屋の中にあるすべての荷物を運んでくれるそうだよ」

「さ、さすが秋葉ね・・・」

 そこまでするか秋葉は・・・さすが遠野家当主・・・・・・。
 しかしパーティーで騒いだせいかまぶたが重くなってきた。

「眠いのステアー?」

「楽しかったからね・・・ふぁ〜・・・」

「そうだね、僕も眠たくなってきたし・・・・・・、もう寝ようか?」

「うん・・・・・・」

 ユイがベッドの中に入ると、私はその隣に入り、すぐに眠り始めた。



 朝になり、私たちは少々遅く起きて今へ向かった。
すると、志貴と一緒に見知らぬ女の人がソファーで話していた。

「おはよう志貴、その人は?」

「始めまして、破山瑞希といいます」

「はじめまして、私はここに居座らせてもらっているエレイス・ステアーよ。よろしく破山さん」

「僕はシャーロック、ユイ・シャーロック、ステアーの幼馴染だよ」

「こちらこそよろしくエレイスさん、ユイさん。私の事、瑞希でいいよ」

 握手を交わし、新たな友達をつくる私たち。

「そういえば破山さん…じゃなかった、瑞希さん、志貴とは前から知り合いなの?」

「いえ、志貴とは初めてなんです。ただ、知っている人と間違えちゃって・・・、その人、志貴とそっくりなんです」

 志貴とそっくりというところで頭に中が引っかかった。
 まさか・・・・・・

「その人って・・・七夜?」

「そ、そうです、良く分かりましたね〜」

 彼女の話だと七夜は、雨の中、道端に倒れており、記憶をなくしていたという。
それを保護したのが破山さんだった。
 彼女をその後、自分の家で七夜とすごし、七夜が記憶を取り戻すと、彼はそそくさと出て行ってしまったというのだ。
 まあ七夜らしいといえばらしいかな?
 しかし、志貴と瑞希の出会い方が普通じゃないかった。
志貴の話だと、志貴が街中を歩いていると、突然・・・

「ひっさしぶり〜七夜!」

 と志貴に抱きついたのだという。

「よく街中で抱きつけたね瑞希さんは・・・・・・」

「思いついたら即行動なタイプなもんで・・・・・・」

 あ〜なっとく・・・・・・。
その気持ちよく分かるよ。

 その時、外の呼び出しチャイムがなった。
翡翠さんが扉を開け、外へと出て行く。
 しばらくすると居間へ翡翠が戻ってくる。

「志貴様、蒼崎青子様という方がいらっしゃってます」

「翡翠、今なんて言った?」

「蒼崎青子様という方です」

「うそ!!」

 志貴は居間を飛び出し、外へと出て行く。
 そう、蒼崎青子と言う人物は彼の「直死の魔眼」の魔眼封じの眼鏡を渡した志貴の「先生」。
8年ぶりの再開、彼はずっと会いたかったのだ。
しばらくし、志貴が居間へと案内してきた。

「紹介します、こちらからユイ・キサト、エレイス・ステアー、そして破山瑞希さんです。こっちは使用人の琥珀さんと翡翠さんです」

「エレイス・ステアーさん・・・確か退魔一族の末裔で、家系ではなかった新たな能力、『不死の躰』を持ち、現在は隣にいるユイ・キサトの力を制御している女の子ね?」

「び・・・ビンゴです」

 大当たりだ。
侮れない・・・・・・。
 私は何時の間にか目をパチクリさせていた。

「そう、驚かないで。聞いた話だからさ」

 青子さんがソファーに座ると、サイレントが紅茶を差し出して来た。

「どうぞ〜、レディグレイティーです〜♪」

「ありがとう・・・貴方、精霊ね?」

「はい、ご名答です。私は精霊のサイレントです。私のマスターのフェーダー様の精霊で、今はマスターの支持で琥珀様と翡翠様のお手伝いをしております」

「そう、えらいわね。頑張って」

「はい♪」

 サイレントはルンルンと笑顔で台所へと戻った。
 青子はカップを取り、レディーグレイを飲み始める。

「うん、いい葉を使っているわ。ホントに美味しい…、イギリスでもここまで良い葉はめったに無いわ」

 ここに来る前はイギリスに居たのかぁ〜、いきたいなぁ。
 その後夕食になり、青子さんと瑞希さんもその場に招待された。
 今回も豪華な夕食になり、二人を驚かせた。
気づけば、マナーにはうるさかった秋葉も食事の時は喋る様になり、遠野家の食卓もにぎやかになった。
 秋葉は、青子さんに8年前の志貴のことを質問する。
やはり幼い頃のことの志貴が気になったのだろう。

「そうね、一週間しか居なかったけど彼は今とあまり変わらないわよ。一つ過ちを犯したからそれを怒っただけよ」

「あの約束はずっと忘れてませんでしたよ、ずっとこの眼鏡を外さず……」

「そのようだったようね、安心したわ志貴」

 それからも秋葉は、志貴のことを聞くために青子に質問を続けた。
 食事が終わり、デザートも食べ終わってしばらくすると、秋葉も気が済んだのか青子に礼をいい自室へ戻った。
私たちも部屋に戻り、風呂に入ろうとする。

「じゃ、ユイ、先に入るね」

「あ、あのさ…」

 顔を紅くするユイ、何かなと尋ねてみる。

「その……一緒に入っちゃダメかな?」

「っ!」

 それを聞いて私も一気に紅くなる。
でも……いいかな?

「うん、いいよ……」

 風呂場へ行き、服を脱ぎ、躰にタオルを巻く。
そしてユイより先に風呂の中に入り、そのまま湯につかる。

「ふぅ〜、良い湯……」

 しばらくするとユイも腰にタオルを巻いた状態で風呂の中に入ってきた。
ちょっと目のやり場に困るけど、今に始まったことじゃないからいいかな?
 私の隣に入り、ほけ〜っと顔を緩ませる。

「ん〜、気持ち〜」

「そういえばこうして二人で入るの初めてだねユイ」

「あっ、そうだね」

 ぴったりと肩を寄せ、頭をユイの肩に乗せる。
ユイはそっと私の肩を抱く。
 やっぱりユイと居るとホッとできる。

「背中、洗ってあげようかステアー?」

「えっ、うんお願い」

「じゃ、いったん出てそこの椅子に座って」

 言われたとおりに湯を出て、椅子に座ると私は背中を洗えるようにタオルを胸元で抑えながら背中を出した。
ユイはスポンジにボディーソープをつけ、ゴシゴシと洗い始める。

「うわぁ、ステアーの肌って綺麗だね。こうしてじっくり見るのは初めてだよ」

「そ、そうかな?」

 なんだか恥ずかしい、でも嬉しいな。
しばらくすると、ユイは手を止めた。

「終ったよステアー」

「ありがとう、じゃ、今度は私がしてあげる」

 今度はユイが椅子に座り、私が背中を洗う。
 男の人の背中って大きい、私はそう思った。
 少し力を込め、ユイの背中をゴシゴシと洗い始める。
 私は背中を洗いながら、ユイの躰を見る。
こんなに逞しかったんだ……。
シキとの戦いで、彼は力を制御できるようになり、躰の筋肉もついたのだろう…。
 しばらくし、背中を洗い終え、洗面器で石鹸を落とす。

「はい、終ったよ」

「ありがとうステアー」

 私たちは再び湯につかり、躰をリラックスさせると、そのまま風呂場から出た。
今日はユイが居たせいかすごく楽しかった。
いつも以上に躰から疲れが取れたのだ。
 寝巻きを着て、部屋に戻る私たち。
扉が閉まると同時に、ユイは突然私を抱き始めた。

「ユイっ、どうしたの?」

「今日…ダメかな?」

 私にはそれがどんな意味を持っているかすぐに分かった。
もちろん私はそれを拒否しない。

「うん…いいよ……んっ」

 私はユイの口を奪うと、強引に舌を侵入させた。
ユイははじめ驚いたが、すぐに受け入れてくれ、舌を絡め返す。
そしてユイは優しく私をベッドに寝かせ……、そして…その夜は激しかった……。




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