24/過去を探しに…

16day/November 5(Tue.)
シャーロック&ルイ作


 久々に遠野の家ではなく、別の家の部屋で目を覚ました。
何だかいつもより気が楽だ。
まだユイは寝ている。
何時見ても可愛い寝顔。
悪戯好きな人が見たら是体に反応するだろう。
 私は再びベッドに横になると、ユイの胸の中にうずくまった。
やっぱりユイの胸の中にいると温かい・・・安心が出来る。

「起きてたの?」

「おはよユイ、眠れた?」

「うん、ぐっすりと」

 ユイは私の頭をそっと撫でる。
何だか嬉しい。

「えへへ、なんかいいなぁ」

「そうかい?もっと撫でてあげるよ」

 私はユイの胸に更にうずくまる。
しばらくそっと撫でてくれると、ユイが何か思いつめたように私に話し始めた。

「ステアー、この話聞いてくれないか?」

「何、ユイ?」

「僕のこの遠野の血、いったいどうして末端の家系の末裔で力も薄いはずなのになぜか遠野の血が濃い。どうしてだろう・・・」

「ユイ・・・・・・」

「だから・・・・・・僕も知りたい・・・どうしてこうなったかを・・・・・・・・・だから、それを知るために・・・・・・旅をしようと思っている」

「旅・・・を?」

「うん、亡くなった両親をスタートに調べてみたいんだ。もしかしたらこの力の使い方の参考になる物があるかもしれない」

 私はユイの目を見た。
決意に満ちた目をしている。
このときの結いに何をいっても無駄だろう。
しかし、過去を知ることは大切だ。

「分かった、でも無理はしないでよ。心配だから・・・・・・」

「うん、さあ、食事をしようよ」

「そうだね・・・」

 私たちはベッドから起きると、服を着替る。
ユイは朝食の準備を始める。
しばらくすると、いい匂いが部屋中に漂ってきた。
 何かなっと覗くと、昨日の夜に炊いてあったご飯とねぎ納豆、それに味噌汁だった。
う〜む、完璧な和風だ。

「はいできたよ、どうぞ」

「うん、いただきま〜す」



 朝食を食べ終わると、ユイは荷物の準備を始めた。
荷物の量から考えて、大体ニ、三日ぐらいだ。
荷物の準備が終るとそれを背負う。

「さあ、行こうか?」

「うん」

 部屋を出て鍵を閉めると、私たちはアパートを後にする。

「じゃあ、僕はまず爺ちゃんと婆ちゃんの家に行ってみる」

「うん、気を付けてね」

「あっ、これ持っていて」

 ユイは胸の十字架のペンダントを外すと、私の首にかけた。
かなり前から使っている物みたいだ。

「僕のお守りだよ、持っててくれ」

「うん、持ってる」

「じゃ、行ってきます」

「行ってらっしゃい・・・気をつけてね」

 私はユイの姿が見えなくなるまでその場にたった。
ペンダントを握りながら、ずっと・・・。
そしてユイの姿が見えなくなると、私はどうしようか迷った。

「この場にいても仕方ないし・・・屋敷に戻ろう・・・・・・」

 私はまず自分の家に戻った。
久々の家、ちょっと散らかっているな・・・・・・。
 少し大きめのバックを取り出し、その中に服や小物などを入れる。

「あっ、電話しなきゃ」

 電話の前に立ち、受話器を取る。
そして遠野家にかけると、琥珀さんが出た。

「あっエレイスさん。おはようございます」

「すいません昨日は何も言わずに・・・」

「いえ大丈夫ですよ、しかし、なぜか秋葉様がな・ぜ・かご立腹でしたが・・・」

「うっ・・・す、すいません・・・帰ったら説明しますから」

「では今日は戻られるのですね」

「はい、あと少ししたら行きますから」

「はい、分かりました。お願いします」

 受話器を置き、ため息をつく。
やっぱり秋葉が怒っていたか〜・・・。
仕方が無い。
 部屋を出て、鍵を閉めると遠野の屋敷目指して歩き出す。



「やっと見つけた。ここだったか・・・ならばこの近くにシエルがいるじゃないか・・・」

 その時、誰かが私を見ていた。
いや、私たちだろう・・・。
 そう私たちを抹殺するために・・・・・・・・・。







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