15/ユイの気持ち
13day/November 1(Sat.)
シャーロック&ルイ作
11月に入り、ますます寒さが増してきた。
昨日の戦闘が何もなかったのごとく、素晴らしい日になった。
翡翠さんは、私たちが今まで使っていた部屋を掃除し、志貴、秋葉、琥珀さんは、それぞれの仕事をしている。
私は中庭に用があるため、ユイに出て行くと言い、中庭に向かった。
中庭の椅子に座り、私はあの人を待つ。
そう、彼が私の心を通じ、呼びかけたのだ。
今日は、タートルネックの服を着て、寒さをしのぐ。
いつもよりすこし、冷えるのだ。
しばらくすると、私の背後に人の気配を感じた。
何かぞっとするような冷たさ。
彼だ。
「何のよう?七夜」
振り返ると、片手をポケットに入れ、いつものように冷たい目で見ている七夜がいた。
「随分だな。これでも心配したんだぞ」
いつものように音も無く冷たく笑う。
「他のヤツに獲られるわけにはいかんのでな…」
「言っておくけど、彼は別だからね?」
「あぁ、彼奴か。まぁ、俺が言ったくらいでお前は変わらんだろうからな」
めずらし……。
七夜が他人のことを気にするなんて。
しかし……
「もっとも、俺には関係が無い事だがな」
「やっぱりか……」
そう考えた私が馬鹿だった。
こいつにそんな感情は持ってはいない。
突然七夜は、右腕を私の首に近付けた。
「お前を殺れれば良い……ただそれだけだ」
私は顔をすこし顔をあげた。
すると七夜は左手を私の顎に当て、そのままを顔を近づけてきた。
その時……
「ステアー?いるの?」
ひょっこりと顔をドアから出し、私達の方を見る。
私はユイの方へ顔を向けた。
「あっ……ス…テアー」
七夜はまだ腕をそのままにしていた。
このバカ…
「七夜、離れて」
「ふん、邪魔が入ったか……」
「七夜!!」
きつく七夜に言うとおとなしく私から離れた。
「ユ……ユイ……どうかしたの? 何か用だった?」
「あっ……うん…シエル先輩のとこへ…」
「そうなんだ……なんか心配させたみたいね。先輩と話していたの?」
「…うん……何だか邪魔だったみたいだね……」
ユイは屋敷内へと戻り、全力疾走で部屋へと戻り始めた。
私はユイを追いかける。
ユイは私たちの部屋に戻ると、息を切らしベッドに倒れこむ。
すぐに私も部屋につき、部屋に入ると息を整え始める。
「はぁ、はぁ、なんで…走って行くの?それに、なんで……邪魔だったなんて……言う?」
枕に顔を埋めながら、ユイは話し始めた。
「七夜とは……何を?」
「えっ?何って…特に……その、意味はないよ…ほんとだよ」
「ふん……」
何時の間にか、七夜も私たちの部屋に来ていた。
「七夜、今は消えてくれ。今は顔を見たくない」
しかし七夜は動じない。
ジッとユイの方を見つめたままだった。
しかたない。
「七夜、お願い……」
一度ため息をつき、フッと消えた。
これで、すこしは安心だ。
「ユイ……ごめん……不安にさせて」
ユイは起き上がると、いきなり私は抱きしめた。
私はすこし驚いた。
もう、誤ることしかできなかった。
「ごめんね……」
「ステアー、何だか子供みたいなことをしちゃったね……、ごめん……でもステアーが好きなんだ……」
ユイの気持ちが痛いほどわかった。
そのときだった。
ユイは二度目のキスをしてきた。
私は、目を閉じ、それを受け入れる。
私はバランスが崩れ、ベッドに倒れそうになると、ユイは私をそのまま押し倒した。
さすがに恥ずかしくなり、耳まで赤くなった。
そして再びキスをした。
思わず、シーツを握り締める。
「んっ……」
ユイは初めての時より私を求めた。
ユイの舌が私の中に入ってきて、私の舌を求めてくる。
私は嬉しいやら恥ずかしいやらで涙目になっていた。
舌を絡め返し、私もユイを求めた。
しばらくすると、ユイは口を離した。
「これで許すよ……へへへ」
「ありがと……」
私は起き上がると、今度は私がユイに抱きついた。
「しばらく、こうしていい?」
「あっ、うん……」
「やっぱり、ユイのそばが良いや」
私はユイの顔を見る。
「これからも…ずっと…傍にいてね」
「ああ、僕も傍にいたい」
私は離れると手を引っ張り、外へ出た。
「さっ、みんなに顔を出さないと心配するよ」
「そうだね、行こうか」
私たちは手をつなぎながら廊下へ出た。
そういえば懐かしいな。
何年ぶりだろうか、こうして手をつないで走るの……。
「なつかしい、こうして手をつないでいろいろ歩き回るなんて」
「そうだっけ?」
「うん、ほら、昔もよくこうやって手をつないで町中を歩き回ったじゃない」
「あ…えと……」
「忘れたの?ヒドイな」
「ゴメン、エレイス」
「ううん、気にしてないよ…さっ、そろそろ中に入ろうか?」
「そうだね」
私たちは、志貴達がいる居間へと向かった。
ユイといれば本当に安心できる、ユイは優しいから…それが彼の一番の良い所。