第六章 戦いの果てに届けられた想い
シャーロック&ルイ作
C130は各地を経由し、最後は普通の旅客機でやっとのこと日本に着いた。
シエルが運転する車は三咲町に入り、僕達は屋敷へと戻った。
屋敷に入ると怖い顔した秋葉が立っていた。
だけど僕らのボロボロの姿を見て驚きの顔に変わった。
「どこに行ってっ…」
「ごめん秋葉、ちょっとエレイスを助けにいってた」
「もう、今からお風呂に入ってきれいにしてください!話はそれからで
す!」
秋葉そう言って居間へと戻り、翡翠、琥珀と志貴だけ残った。
僕らは先にエレイス達をお風呂へ入らせると七夜と共に部屋へと戻った。
部屋に戻ると僕と七夜はホルスターや武器を机に置き、疲れきった体をベッドにどっかりと倒れこんだ。
「ユイ、よくやったな…」
「七夜こそ…お疲れさま」
「ふっ、お前こそな」
目が合うと僕らはフッと笑い出し、そのまま大声で笑い出した。
今回の事で僕らの絆はさらに深まった。
七夜の事を兄だと慕う僕の気持ちもさらに信頼度を増した。
「お前、これからどうする?」
「何が?」
「こんな事であの埋葬機関があきらめる事はないだろう…、もしそうなったらそうするんだ?」
僕はフッと目を閉じ、七夜に向かって決意の目を向ける。
「守るよ、絶対に。七夜、僕は今回の事で戦いのコツというか……エレイスを守るだけの力はあると思っている。だから僕は全力で立ち向かう
しエレイスを守る」
それを聞いた七夜はフッと笑い、僕の手をぐっと掴んだ。
そして七夜は僕の手に十字架の模様がついたドックダグを渡した。
「これは俺とお前の友情の証だ、共に誰かが襲って来たら俺たちはそれに立ち向かう。いわばエレイスのナイトだな」
「ナイトか……悪くないね」
僕らは疲れからかいつの間にか寝てしまった……。
サバイバルをこなし、死と隣り合わせの戦いをずっと続け帰るべき家へと帰って来た。
安心感からすぐに熟睡し、規則正しい寝息を立てた……。
僕らが寝た後、シャワーからあがったエレイス達が部屋に戻り、僕らの顔を見て微笑んだ。
「疲れちゃったんだね二人とも」
「今回の活躍は二人だからな、このまま寝かせてやろう」
エレイス達は邪魔をしないように静かに部屋を出て、フェーダーの自室に戻っていった。
ユイと七夜はずっと眠り続け、日が沈み、さらに日が昇ってもずっと眠り続けた…。
僕らが起きたのは一日眠り続け、眠ってから次の日の昼だった。
体を起こすと鉛のように重く、更には体全体が筋肉痛になっており、すぐに体を寝かせ、動かないようにした。
ふと見ると七夜がいなくなっており、七夜の愛用のナイフだけがあるだけだった。
僕はしばらく横になっているとコンコンとドアからノックが聞こえ、はいと返事するとエレイスが部屋の中に入って来た。
「大丈夫ユイ?」
「なんとかね、ま〜筋肉痛で体中が痛いだけだよ」
「私とのリンクが切れているせいね……ユイ、背中を向けれる?」
「うん、なんとか」
僕はなんとか背中を向けるとエレイスは背中に手を添え、目を閉じる。
そしてゆっくりと青白く光り出し、僕とのリンクを再び繋げようと力を
注ぐ。
その時、僕の頭の中にエレイスとのリンクが初めてした時の光景が入って来た。
ICUの中にいる僕を見てなくエレイス。
体中チューブだらけでほとんど生かされている状態だった。
だが僕はその時死ぬなんて考えなかった。
むしろ生きたいという力が強かった。
そしてエレイスは持てる力をフルに使い、僕とリンクさせ、体の傷を癒していく。
そこで場面が代わり、今度は僕が初めて暴走したときの光景が現れた。
エレイスにとって思い出したくない記憶だ。
そして次々と光景が代わり、僕は懐かしんだり悲しんだりした。
シキとの戦い、遠野の屋敷に来た時、アルクェイドやシエルの喧嘩など
僕は今までエレイスとの思い出をすべて見た。
そして最後に見たのは……僕とエレイスが出会ったあの公園だった。
僕は懐かしさとエレイスに出会ってよかったと思う気持ちで胸がいっぱいになり、涙があふれた。
僕は目を閉じ、再びあけるとエレイスが目の前にいた。
「終わったわ……これでもうあなたとエレイスが離れる事はない」
「大丈夫かエレイス?」
「あの子は大丈夫よ、でも『私』はもうすぐ消えてしまう…」
「えっ?」
「あなたとエレイスのつながりは誰にも邪魔する事が出来ない。たとえ自分の中に出来たもう一人の自分だとしてもあなた達は互いを信じ合う強い絆が出来ている……だから……私はもうすぐ消えてしまう」
「エレイス…」
「ごめんなさい、あなたを傷つけてしまって……でも忘れないで、信じる物があればそれはずっと一緒にいる事を…」
エレイスは涙があふれ、僕に抱きついた。
そして最後に僕らは互いに見つめ合い、キスをした。
まるで最愛の人をなくすかのように熱く………そして切なく……。
ゆっくりと唇が離れるとエレイスは精一杯の笑顔を見せる。
「ありがとう、そしてさよなら……エレイスを守ってね」
「約束する…」
それを最後にフッとエレイスの力が抜け、僕の胸の中に倒れてくる。
僕はエレイスを抱きしめると泣き声が聞こえて来た。
「あの人……最後に私に言って来た………あなたはとても優しい人だっ
たって…」
「もういい、もう終わったんだ………………もういい」
僕はずっと抱きしめた……。
そして……僕らは離れていた時間を求めるかのように互いを求め合った…。
あれから日にちが経ち、僕らは何事もなかったかのように高校最後の始業式をし、普通の学生生活に戻った。
シエル先輩は私たちの護衛の為に学校に残る事にし、私たちと同じクラスになった。
それから一ヶ月が経ち、僕とエレイスは先輩の茶道部室に呼ばれ、放課後先輩と共に向かった。
扉を開けるとそこにはあのセンチメーターとフェーダーがいた。
「久しぶりだな、無事で何よりだ」
「センチメーター、どうしてここに?」
「ナルバレックからの伝言だ、お前達の絆の強さは分かった。だから強力が必要なときは我々に力を貸してくれとの事だ」
フェーダーの言葉を聞いて、僕らはほっとした。
これからは普通の生活になるんだと……だがセンチメーターは更に付け加えをした。
埋葬機関ではなく別の組織が僕らを狙うと……。
センチメーターの話では僕らを狙っているのは別の組織もあると教えられ、先輩、フェーダー、センチメーターの三人が僕らの護衛につく事になったのだ。
「ありがとう、でも僕らは僕らでなんとかするよ。もし本当にきつくなったときは助けてほしい」
「私も、自分の事はまず自分で努力して解決しなきゃ」
それを聞いた先輩達は笑顔になった。
「成長しましたね、この戦いで…」
「俺たちの力は最後の切り札か…言ってくれるじゃねえか」
「無茶はするなよ二人とも」
それから僕たちは屋敷に帰った。
途中志貴とアルクェイドと出会い、みんなで門限ぎりぎりまで遊んだ。
この前の戦いの分をすべて遊びに使うようなそんな感じだった。
僕らはゲームセンターやファーストフード店などいろいろと遊びに回った………。
先輩、フェーダー、センチメーターは三咲町で一番高いビルの屋上で街を見下ろしていた。
風が強く吹き、服や髪がなびく。
「あいつら、これから大丈夫か? あぁは言ったが…」
「大丈夫だろ、私はあいつらを信じている」
「私もです、この先どんな事があったとしても…」
三人は顔を見合わせるとフッと笑い出し、ビルから飛び出す。
フェーダーはシエルとセンチメーターの手を握り、風を操り、そのまま飛び続ける。
鳥のように優雅に……。
そしてこの街にはびこる死者を葬る為に三人は飛ぶ。
僕はふと夕方の空を見上げた。
「どうしたの?」
エレイスは僕に寄ってくる。
「何でもないよ、さっ、行こう」
「ユイっ、早く行こう!」
アルクェイドが急かすと僕は少し早足で合流する。
そして僕らは街の人ごみの中にに入っていった………。
あとがき
やっと一つケリをつけることが出来ました。
この小説は分かった人は良いですが、元ネタは世界的に有名なあるゲームからです。
いや、書いているうちに銃器の勉強がほんとに出来て、自身も非常に満足してます。
しかし………時間がかかったなぁ〜(汗)