05/迷える翼に選ばれし明日
シャーロック&ルイ作


 僕らはトンネルを走り続け、しばらくすると轟音が聞こえ出した。
足を止め、どこから聞こえてくるかと探すとすぐに見つけた。
 僕はゆっくりと足を進めると、轟音と共に水が川へと流れ出ていた。
その隣にははしごがあり、川へと出ることが出来そうだった。

「どうした?」

「ここから下へいけるよ、ここからならまだ見つからずにいけるかもね」

「私が先に行く、姉さんは一番最後で」

「分かっています」

 フェーダーは周りの「風」を読むと一気にその場から飛び降りた。
そして静かに着地し、ホルスターからサイレントガンナーと持っていたG36Kを周りに向ける。
周囲の音は水の轟音でまったく聞こえなかったが、誰もいなかった。
フェーダーは僕らに合図を送ると先輩は僕から行けと行ってきた。
僕は手すりに血の鞭を縛らせ、ベルトに引っ掛けると僕は一気に下へと滑り降りた。
ラベリングの要領で降り、スピードをコントロールしながら何とか地面に降り立つと次は七夜が滑り降りる。
七夜の次はエレイスが滑り降り、先輩は周りの安全を確認してフェーダーと同じように飛び降りた。
全員が地面へと降りると僕たちは最初に乗ってきたBMW X5が隠してある場所まで移動する。

「ユイ、大丈夫?」

「ちょっときついかな………ダメージが多かったからね」

「今日はどこかに休みましょう・・・、また雪が降りそうですし、気温がドンドン下がっていますしね」

「確か私の記憶ではこの先に洞窟があったはずだ、今日はそこで休んだ方が良いだろうな」

「そうだな、俺はフェーダーの意見に賛成だ」

「ではそこまで移動しましょう、しかし暖が…………」

 気温はおそらくマイナスを行っているだろう、吐く息もさらに白くなり、雪を少しづつぱらついてきている。

「暖なら私が可燃性の紙等持っている、後は乾いている木などを探して暖をとれば良いだろう」

 僕らはフェーダーの後を追いながら何とか洞窟まで向かう。
途中、使えそうな木等を集めながら歩く事数分、フェーダーの行ったとおりに暖を取るには十分な大きさの洞窟があった。
僕らは先に中に入り、フェーダーは木を組んで焚き火の準備をする。
何とか火がつくと、僕らはその火が消えないように上手く木をくべながら火を少しづつ大きくする。

「これくらいならここも暖かくなるだろう」

「そうね、ユイあなたは今は寝て」

「でも…」

「あなたが一番ダメージを追っているの、今は寝て躰の回復に専念して欲しいの」

「……分かった」

 僕はエレイスの指示に従い、ゆっくりと体を寝かすとそのまま目を閉じる。
そして疲れからかすぐに眠りのそこへと行き、エレイスは優しく僕の頭を撫でてくれる。
 フェーダーはG36Kを分解し銃の整備を始め、シエル先輩はフェーダーの手伝いをする。
七夜は目を閉じ、瞑想に入りまわりに神経を回す。
 エレイスは僕の頭を撫で、それと同時に僕に『不死の躰』の力を入れる。
僕とエレイスはまだ前の様にリンクをつないでいないため、こうして僕にエレイスは力を注いでくれる。
今ここで僕とリンクをつなぐにはかなりエレイスに負担が掛かる為、今は応急処置で直すしかないのだ。
ゆっくりと体の負担が消え、僕はここに来て深い眠りに入った………。



 朝になり、僕らは再び隠してあるBMWの所まで歩き出した。
距離はまだ遠い、だがここで進まなければ僕らはまた埋葬機関の私設へ逆戻りとなってしまう。
 ふと歩いているとフェーダーが足を止め、周りの気配を読み始めた。
そしてG36Kを構え、腰を低くし出した。

「みんな伏せろ、敵だ・・・」

 僕もワルサーを構え、周りの気配を注意深く読む。
しばらくすると何かのエンジン音が聞こえだし、こっちに近づいていた。

「バイクの音だな、それもかなり上物のエンジン音だ」

 フェーダーはポケットからサイレンサーを出してマズルに付けるとここで待てと合
図を送り、静かにその場から飛びだした。
そして僕らの前からバイクが通りすぎると、フェーダーは木の枝を伝りながら風を的確に読み、バイクのあとを付いていく。
そしてバイクの動きが一定になると、フェーダーはバイクの後ろにすっと座り、要員がフェーダーの方に振り向いた瞬間、フェーダーは要員の顔面に拳を食らわせ要員が
バイクから落ちるとブレーキをかけ、その場に止まる。

「トライアンフか、よし、これなら時間短縮できる」

 フェーダーはバイクを回転させ、元来た道に向けるとアクセルを回し、僕らの所へ向かった。
周りの風を読み、敵が何処にいるのかを索敵しながらフェーダーはバイクを走らせる。
程なくして僕らの耳にエンジン音が聞こえ、フェーダーは僕らの前で止まった。

「エレイス、私と来てくれ、二人で行動したほうが何かと好都合だ」

「分かったわフェーダー」

「姉さん、先に私が車まで行き、ここに持ってくる。合流場所は・・・」

「この先の谷の下辺りがいいでしょうね、あそこなら車も通りやすいでしょうし」

「了解した、ユイ、しっかり姉さんのバックアップをしてくれよ」

「分かっている二人とも気をつけてな」

 フェーダーは首を縦に振り、アクセルを回して一気に加速し僕らの前から消えた。
そして僕らは合流地点の谷間で目指すことにした。
日が上り、徐々に気温が高くなっていくと体の寒けも無くなっていく。
僕らは先を急いだ・・・そして何事も無いことを祈りながら足を進めた。



 バイクを飛ばしてどれくらいたっただろうか、全て足でエレイスを助けるために埋葬機関に立ち向かった僕ら違って、フェーダーは敵がいる場所を先に感知して、できる限り敵を避けるコースを選びながら進み、徐々に僕らが乗って来たBMWに近づいていった。
だがフェーダーはブレーキをかけ、バイクを止めた。
エレイスはフェーダーに聞こうとしたが、その必要はなかった。
要員がどの場所よりも多くいたからだ。
どの場所を通っても要員っと出くわし、無傷では通れなかった。
 フェーダーは『風』を使って、要員の武器を一つ一つ調べていった。
ほとんどの要員はグレネードランチャー装備ステアーAUG、G36、スパス12ショットガン等強力な武器が多く、みつかれば丸焼けか蜂の巣になることは目に見えていた。

「エレイス、降りるんだ。ここからは足を使って移動するぞ」

「分かったわ」

 エレイスは静かに降り、フェーダーもハンドルを握りしめたままスッと降りると一気にアクセルを回し、トライアンフを単独発進で進ませるとフェーダーは要員の近くまでトライアンフが進んだところでG36Kのサイトをトライアンフのガソリンタンクの場所を狙ってワンバーストで撃っていった。
そして弾丸はガソリンタンクの部分にヒットし、トライアンフは勢いよく爆発し要員の注意を大方爆発したとトライアンフに向ける事が出来た。
そして二人は腰を低くしたままその場を移動し、できる限り要員から避けるコースを進んだ。

「んっ?」

「くっ……」

フェーダーは足を止め、草木の中に隠れるとサイレンサーを装備したG36Kを要員の頭に向け、躊躇無くトリガーを弾いた。

「ぐぁぁっ!」

「どうした!?」

 倒れた要員の声に別の要員が気づき、フェーダーはその要員に向けて再びトリガーを弾いた。
だが不覚にも弾丸は、あと少しのところで除けられ、二人の存在を教える形になってしまった。

「いたぞ!!」

「撃て!!」

「走れエレイス!」

 それぞれの武器から様々な弾丸が二人を目がけて跳び、二人は全力でその場から走り出す。
グレネードが炸裂し、ショットガンの弾丸が木を削り、アサルトライフルの弾丸が宙を割く。

「ここに隠れろ!」

 洞穴のような所を見つけると二人はそこに飛び込み、弾丸の雨を除ける。

「エレイス!お前銃の扱いは!?」

「ユイから自然に聞いているから何とか……」

 フェーダーはホルスターからサイレントガンナーを出し、エレイスに渡す。
エレイスはグリップを握ると自然に頭の中にサイレントの声が聞こえてきた。

『エレイス様、大丈夫です。ゆっくり慎重に撃てば大丈夫ですから』

「ありがとう、お願いねっ」

 二人は顔を見合わせ、うなずくと体を乗りだし要員に向かって撃ち始めた。
エレイスは焦らないように慎重に一発一発撃ち、時々身を穴の中に隠しながら弾丸を除けていく。
フェーダーはワンバーストで要員の頭を性格に狙い、一人一人倒していき弾を極力残すようにするが要員の数が減らない。
フェーダーはマガジンの中の弾が無くなると一度身を穴の中に隠し、空のマガジンを外す。

「くそっ、これじゃ持たないな……」

「っ!っ!! ちっとも減らない!」

「エレイス、私がヤツラを引きつける………お前はここでうまく撃ちながら身を隠しているんだ」

「ダメって言ってもこれだもんね、仕方ないか………」

 二人は互いにうなずき、フェーダーはフルバーストに切り替え、要員に向かって撃ちまくる。
そして左手に魔力を込め、一度右に振りかぶり、そのままバッと振りかざした。

「風よ、我に力を与えよよ! 『イグナイトオブウインド』!!!」

 フェーダーの前方に向かって強烈な風が吹き、フェーダーに向かってきたアサルトライフル弾、グレネード弾なども巻き込みながら吹き飛ばす。
しかし別方向から再び銃撃が始まり、フェーダーは再びG36Kをワンバーストに切り替え、要員に向かって再びトリガーを弾く。
エレイスもサイレントガンナーでその方向に向かってトリガーを引き続ける。

「フェーダーっ!」

「そこから動くな!!」

 フェーダーは撃っている要員に向って近づき、G36Kのストックでその要員を殴り、その要員のG36を別の要員に向ってトリガーを向く。
フェーダーが振り向くと二人の要員がフェーダーを囲むようにG36を持ちながら立つ。

「あまいっ」

 奪ったG36とG36Kを水平に掲げ、その場にひざまずくと動じにトリガーを弾いて次々と姿を表す要員に向って二丁アサルトライフルの銃口を向けてトリガーを弾く。
 その時、激しい銃弾の雨あられだったのが突然止み、エレイスとフェーダーはそっと周りを見渡す。
耳を澄ますと草木を踏みしめる足音しか聞こえなくなり、その方向に二人は銃口を向ける。
煙で視界が悪いが、徐々に煙が晴れてくるとそこには二本のサーベルを持った………………タクティカルがいた。

「ここで奴かよ……」

 タクティカル………。
ナルバレックはエレイスを奪還せよと命令し、気配を読み、単身ここまで来たのだろう。
おそらくセンチメーターも動きだしたはず…。
 フェーダーは彼のことを良く分かっていた。
剣術は彼からの仕込を直接受けているが、彼には一度も勝った事が無い。
いや、勝てないのだ。
フェーダーは過去に何度と無く「風」を使い、自らをすばやくさせて勝とうとするが何故か一歩上手をついてセンチメーターに負けてしまうのだ。
 マガジンの中にある弾の数をチェックすると残弾は6発、そしてマガジンが後一つの状態だった。
そして今、サイレントガンナーはエレイスの手元にある。
あの銃はエレイスに預けとかなければならない。
いくら彼女が不死身の躰とはいえ、すべて飛び道具の相手に向かって剣で行くほど彼女の体は上手く出来ていない。
 フェーダーはナイフを出し、それを逆手に構えるとナイフを掴んだままフォアブリップを掴み、息を整えた。
足音はだんだん大きくなり、フェーダーたちに近付いている。
 心の中でカウントしゼロになった瞬間、フェーダーはワンバーストのまま身を乗り出し、タクティカルに向かってトリガーを一発ずつ弾いて行く。

「愚かな……」

 タクティカルはサーベルを巧みに使い、一発一発の弾丸を弾いていく。
六発撃ち付くし、別の木に身を隠すと手早くマガジンを交換する。
そして足元にスパス12ショットガンが落ちている事に気づいた。
先程倒した要員の使っていたショットガンだった。
フェーダーはそれをつま先で真上に蹴り上げ、脇でキャッチする。
弾も数発あり、フェーダーはこれを使ってこの場を逃げ切ろうと考えた。

「隠れていて何もしないのかフェーダー?」

「今から出るところだタクティカル。じっくり楽しもうじゃないか」

 フェーダーはサイレントガンナーに心で話し掛け、それをエレイスに転送するようにする。

『エレイス、私がショットガンでアイツの動きを封じる。そうしたら上手くタクティカルに向かって、そのサイレントで撃って別の場所に隠れるんだ』

『わ、分かった…やってみる』

 フェーダーはエレイスに向かって頷くとG36Kをフルバーストに切り替え、腕だけ出して銃口をタクティカルに向けて一気に全弾を撃ち尽くす。
タクティカルは芸術というべきに華麗にすべての弾丸をサーベルで弾き返し、その場から動けなくなった。
フェーダーはそれを確認するとG36Kを捨て、スパス12を両手で構え、接近しながらトリガーを引き、スライドを引いて12ゲージ弾を装てんしてすべての弾を撃ちつくす。
 ショットガンは相手に接近すればするほど威力が増し、至近距離で発砲した場合、人間の内臓が激しく吹き飛部ほどの威力を発揮する。
そしてその名の通りに弾は散弾し無数のペレット弾がタクティカルを襲う。
だがタクティカルはサーベルを自分の前で回転させ、ペレット弾をすべて弾き飛ばしてしまい、自分はまったくの無傷だった。
 しかしフェーダーはそれも見越していた。
すべての弾を使い切ったスパスを捨て、フェーダーはナイフで一気にセンチメーターへと突き付けた。
フェンシングの形でナイフを突き刺し、フェーダーはそのまま急所を狙う形で攻めて行く。

「ほう、なかなかレベルアップしているじゃないか……だがまだ甘い!」

 普段は無表情のタクティカルもこのときばかりは感情をむき出しにし、今度はフェーダーが防戦になってしまった。
フェーダーの動きを真似たのかタクティカルもフェーダーと同じようにフェンシングの形でサーベルを突き刺してきた。
二本のサーベルを巧みに使ってフェーダーを攻める。
ナイフ一本で二本のサーベルを弾きながらフェーダーは徐々に後退を余儀なくされる。
 エレイスはタクティカルに向けて銃口を合せるが、フェーダーに当たるのではないかと不安になりトリガーを弾けないでいる。
 次の瞬間、フェーダーはタクティカルの剣圧に押され、バランスを崩してその場で倒れてしまう。

「お前は攻めるのは申し分ないが防御がまだ甘い、だから私の剣圧だけでこのざまになるんだ…」

「まだまだ!」

 ナイフを構えなおし、フェーダーは再びタクティカルに向かって突きつけた。
タクティカルはサーベルを地面に二本とも刺すと素手になり、フェーダーの突き刺したナイフをさっと避け、そしてナイフを持つ腕を掴むとそのまま一本背負いでフェーダーを地面に倒してしまう。

「フェーダー!!」

 エレイスはサイレントガンナーを構えなおし、タクティカルに向かってトリガーを弾く。
しかしタクティカルはエレイスの方を見ずにスローイングナイフを投げると弾丸とナイフがぶつかり、ナイフは地面に落ち、弾丸は空へと向けて消えた。
 フェーダーは地面にぶつかった衝撃で意識を失い掛けていた。
だが頭を振り、視線を草むらの中に向けるとそこには幸運にもスパス15ショットガンが落ちていた。
スケルトンタイプのマガジンの為、中の弾がまだいくらか残っていた。
頭を振り、意識をはっきりさせると再び手に魔力を混め、それを一気にタクティカルに放った。

「イグナイトオブウインド!」

 タクティカルは寸前でサーベルを取り、手首を回してシールドを展開させるとイグナイトオブウインドを受け止める。
そしてフェーダーはスパス15を取り、スライドを後退させて新たに12ゲージ弾を装てんさせると躊躇無くタクティカルにトリガーを弾いた。

「エレイス!走るぞ!!」

 連続して弾が無くなるまで撃ち続け、エレイスが合流すると一気に森の奥へと走り出した。
12ゲージ弾をすべてサーベルで弾き飛ばし終えるとタクティカルはフェーダーを追おうとしたが足を止めた。
サーベルをを顔へ近づけるとサーベルが刃毀れを起こしていたのだ。

「これではフェーダー達を追うには無理か…」

「タクティカル様…」

「気にするな、奴らはまた向こうからこっちに来る。その時を狙うんだ」

「はっ」

 フェーダーとエレイスは走り続け、周りを確認すると一度足を止め、休憩に入った。
さすがの二人も激戦に疲労の顔が出ていた。

「大丈夫か?」

「私は大丈夫、フェーダーが心配よ」

「私も大丈夫だ、まさかここでタクティカルが来るとはな……」

「そういえばタクティカルの動き、あなたの動きによく……」

「似ていただろ? 彼は私の武術、剣術の師だ。どんなことをしても奴には勝てない。今回は初の引き分けという形だったが、これ以上戦闘が長引けば間違いなく私はやられていただろうな」

「あの剣さばき、ほんとに見事だった……私も習いたいぐらい♪」

「分からんでもない、んっ?」

 フェーダーは何かに気づき、その草むらの方へ行くとなんとそこにはBMWがあった。
そう、二人は偶然にも最短ルートでここへたどり着き、BMW X5へたどり着いたのだ。

「こんなラッキーってあり?」

「偶然なんか無い、すべては必然から成り立っている。まあ確かにこれは偶然みたいになっているが」

 二人はX5へ近付くと、あらかじめ渡されていたキーを使ってドアを開けた。
テールランプが光り、ロックが解除されるとフェーダーはまずトランクを開けた。

「フェーダー、何をしているの?」

 トランクには何も無かった。
だがトランクのそこの部分を開けた瞬間、銃器がごっそり出てきた。
最新式のアサルトライフル「FN F2000」、各パーツをユニット化しメンテナンスや装備の変更が容易かつ迅速に可能なった銃で、排莢方式も空薬莢は従来の薬室右には飛ばさずチューブを経てハンドガード部まで移動させた後、右前方へと飛ばす。
左利きでも安心して撃つ事が可能で、これにはグレネードランチャーが装備されている。
さらにサブマシンガン「ヘッケラー&コック XM29OICW」もこの車には装備されていた。
これもF2000同様にグレネードランチャーが上部に装備されており、下部にはアサルトライフルが装備されている。
他にはステアーTMPサブマシンガンが4丁あり、マガジンもかなりの数があった。

「フェーダー、これほんとにユイ達が乗ってきたの?」

「ま〜教会使用に改良されているが……姉さんもなかなかなもんに乗ってきたな」

「ってそれ、感心するところ違うでしょ」

「まっ、今はこれを使わせてもらうさ。エレイス、今からこの銃を簡単にレクチャーするから私が使うときになったらサポートしてくれ」

「う〜ん、頑張る」

 エレイスは頬を掻きながらもフェーダーの説明を真剣に聞いた。
すべての銃のマガジン交換などを簡単に説明し終えると、フェーダーはステアーTMPすべてにマガジンを装着した。
そしてスライドを引き、弾を薬室へと装てんさせると次はF2000も5.56mm用とグレネード用マガジンを装着し、それを助手席に置く。
準備を全て終わらせると、フェーダーは運転席に座りエンジンをかける。
エレイスは後部座席でフェーダーの援護につき、二人は互いに目を合わせて縦に顔をうなずく。
そしてアクセルを踏み、X5を走らせた・・・・・・・・・。



 フェーダー達がタクティカルと戦っている時、僕らはフェーダーと合流地点に向かっていた。
フェーダー達の追跡に要員があてられたのか僕らは目立った戦闘も無く、比較的早い時間で着きそうだった。

「確かこの先に谷へ向える洞窟がありましたね」

「じゃあ、そこから行ったほうが安全かな?」

 何とか洞窟を見つけると、洞窟内から冷たい風が皮膚に当たる。
その風に僕は体を震わせるが、頬をたたき気合いを入れる。

「行きますかな?」

「行きましょう」

 足を進め、洞窟内を進んでいく。
僕らが横に並んで歩けるほど広い洞窟で、次第に周りが暗くなる。
僕はワルサーに装着されているフラッシュライトを付け、先輩と七夜の前を歩く。
ゆっくり周りや足下をチェックしながら歩く、
時々フラッシュライトに驚いたコウモリが飛び立ち、ドキッとさせるが僕らは足を泊めずに歩き続ける。

「しかしこの辺は洞窟が多いですね先輩」

「確かこの地は昔、防空壕として使われていたはずです。それで空襲を逃れたと聞いています」

「確かにここはなかなか大きいから言い防空壕だな」

 ゆっくりと足を進めていくと、何か異様な匂いに僕は気付いた。
腕をかざし、二人を止めてフラッシュライトを消すとその場にしゃがみ込む。

「この匂い・・・・・・・・・スモークグレネードか・・・この手を使うのは・・・・・・」

 僕はふと煙に赤いレーザーポインターを見つけた。

「伏せて!!」

 伏せながら僕はレーザーポインターの先に向ってワルサーのトリガーを連続で弾いた。
マズルフラッシュと轟音が洞窟内に響き、レーザーポインターが消えた。

「ナイスですユイ君」

「危なかったな・・・奴だな?」

「うん、センチメーターだ」

 グロックも構え、岩に脊を付けると僕らは周りを見る。
だが周りが暗いせいでどこにセンチメーターがいるかわからない。

「おいユイ、どうする?」

「僕がおとりになる、二人はセンチメーターが出てきた瞬間を狙って攻撃してくれ、奴はサーモーグラフィースコープかナイトスコープを使っているはずだから、今は二人は動かないで」

「了解した」

 僕は足音をできる限り立てずにその場から別の場所に移動する。
するとどこからか僕に向って撃ってきた。
狙いは性格で、僕が通ったギリギリな所を狙ってサイレンサーを付けた状態の軽い発射音が聞こえながら当ててくる。

「センチメーターの奴、ワザと外しているな・・・」

 その時、石を蹴る音が七夜と先輩がいるところと反対の方向から聞こえた。
僕はワルサーにサイレンサーを付け、その聞こえた方向に向ってトリガーを弾いた。
するとその場から駆け出す音が聞こえ、僕はその方向へと走り出す。
一度足を止め、再び耳を澄ますと足音が消えた。
再び周りが静かになり、周りに神経を集中させる。
その時、近くに何かが落ちてくるのが見えた。
それが落ちてきた瞬間にけたたましい轟音と閃光が僕の耳と視界を奪う。

「ぐぁぁぁ!!」

 まぶしい閃光に視界は白くなり、轟音に耳はピーっと高い音が聞こえるだけで何も聞えなくなっている。
スタングレネードが投げられたのだ。
 その隙にセンチメーターはユイに近づき、頭にキャリコ950サブマシンガンを向ける。

「まだまだだな、夜間戦闘はまだ未熟な所が多いな」

「う、うるさい・・・・・・な、七夜、先輩・・・・・・」

「残念ながら助けはこんぞ、麻酔で少し眠らせた」

 センチメーターはクイッと拇指で指を指すと意識を何とか保ちつつも床に崩れている七夜と先輩がいた。
 何とか視界が戻り始め、僕はセンチメーターを見る。

「くそ・・・・・・なぜ銃を取らないんだ?」

「まだお前といろいろと戦いたいからだ。なかなかお前は筋がある、フェーダーに教えられたようだがまだお前には教えていないものがある」

「な・・・・・・にぃ・・・?」

 センチメーターはキャリコを下ろし、岩に脊をつけると僕は目をこすり、僕はワルサーを握り直す。

「何を僕に教えたいんだ?」

「接近戦での銃の戦い方だ。俺はナルバレックからお前を仲間に加えるために実戦で訓練させろと命を受けている。もちろんエレイスもだ・・・」

「なぜそこまでして僕たちを狙うんだ?」

「お前達は素晴らしい力を持っている、誰よりも・・・・・・」

「それが僕らを狙う理由か?」

「そうだ、お前達はイレギュラーを狩るにはお前達は素晴らしく相応しい力だ。だからナルバレックはお前とエレイスを狙うんだ。」

 僕はセンチメーターにワルサーを向ける。
だがトリガーを弾けない・・・・・・。
センチメーターの話す接近戦の武術を知りたいと思ったからだ。
思わず指先が震えてしまう。

「どうした? 俺に銃口を向けておいて撃てないのか?」

「くっ・・・・・・」

 センチメーターは僕の腕を掴み、背負い投げをして僕を飛ばした。
そしてワルサーを放してしまいそれをセンチメーターに奪われてしまった。
僕は何とかダメージを堪え、グロックをホルスターから出してセンチメーターに向けるがそのグロックもセンチメーターのキャリコにより飛ばされ、その衝撃でグロックを破損してしまった。

「手持ちはあとお前の力しかないな?」

 センチメーターは僕に向ってワルサーを投げつけ、僕はそれをキャッチする。

「お前、ナルバレックの考えに従いながら何を考えている?」

「言っただろ? 俺はお前を気に入っているんだ。ナルバレックの言うお前達を鍛えるのには賛同するが、正直、俺はお前には普段通りにしておいて欲しいんだ。だが、レベルアップと言っても本気の殺し合いだ・・・・・・手を抜けばお前は死ぬし、俺も死ぬ・・・」

「そうか・・・・・・お前の考えは分かった、ならば僕は君の訓練に従おうじゃないか・・・」

 僕はワルサーを構え、左手に刃を構える。
それを見てセンチメーターは笑みを浮かべる。

「お前はその構えか、なかなか言い構えだな・・・・・・接近戦では銃よりナイフファイトの方が役に立つときもある」

 センチメーターはサイリュウム(折ると液体が発光する棒状の物)を折り、サイリュウムを光らせると当たりにそれをばらまく。
周りが光りだすとセンチメーターはキャリコをしまい、コルトガバメントハイキャパ5.1とヘッケラー&コックUSPをレッグホルスターから出すとその場でガンアクションをしだす。

「いいか、これから教えることはCQC、クロース・クウォーター・コンバットだ。接近戦での無音殺傷で銃の奪い方、さらに相手の攻撃のかわし方などがある。時間がないから俺の動きを体で感じろ」

 僕は気を引き締め、センチメーターに挑んだ。
まず左手に構えた刃を振りかざすとセンチメーターはすっと避け、USPとガバメントをしまうと素手で立ち向かってきた。
手首を回し、再びセンチメーターに切りかかると手刀を僕の左腕にかけ、関節技をかけてきた。
痛みが得で全体に走るが、僕は何とか堪え、センチメーターの腹に蹴りを食らわそうとした。
僕の腕を放し、足を受け止めると今度はセンチメーターが攻撃を仕掛けてきた。
手刀をかけ、僕は何とかよけると背中から激痛が走った。
蹴りをかけてきたのだ。
僕はワルサーを落し、地面に倒れる。
その時に頭を打ち、意識が一瞬朦朧となってしまう・・・・・・・・・。
頭を振り、僕は意識をはっきりさせると刃をダガー状にしてセンチメーターに投げつける。

「甘い」

 センチメーターはそのまま地面に倒れ、ダガーをよけると後ろに転がって再び起き上がる。

「いいか、CQCは相手の動きを止めて急所をとるんだ。まだ未熟なお前に正面から回り込んで勝てるはずもないだろう」

「くっ・・・・・・」

 僕はセンチメーターの腰に付いているグレネードに気付いた。
センチメーターの言葉に僕はある作戦が思いついた。
僕は再びダガーを作りだし、センチメーターに投げつけると僕はそれと同時にセンチメーターに飛びついた。
そしてグレネードを掴み、それをもぎ取るとセーフティーロックを外した。
それを足下に投げるとスモークが吹き出してきた。

「くっ!!」

 センチメーターはスモークをまともに吸い、激しくせき込み始めた。
僕はその隙を付いてセンチメーターの持っているホルスターを刃で切り、そして足払いをしてセンチメーターを倒す。
刃の刃先をセンチメーターの首筋に近づけるとセンチメーターはニヤリと笑い始める。

「そうだ、その動きだ・・・益々お前が気に入ったぞ・・・・・・」

「今のは見事だったぞ」

 振り返るとそこには麻酔が切れ、復活した先輩と七夜がいた。

「終わりですセンチメーター」

「そうだな、俺の負けだな・・・・・・では俺はお前達の脱出に付きあうかな?」

「何?」

「言っただろう?俺はお前達にはフリーでいて欲しいんだ。もちろんナルバレックにはうまく処理をしておく」

「それを信用しろと?」

 七夜はナイフを握り、鋭い目でセンチメーターを見る。
僕はその言葉に嘘は無いと感じていた。

「七夜、先輩、ここは彼にうまく処理してもらいましょう」

「信じるというのか?」

「うん、センチメーターの言葉に嘘はないよ・・・蹼はそう感じている、ここか彼に協力したほうが脱出は楽にできるぞ?」

「確かに、センチメーターは約束は守る男です。七夜君、彼に任せましょう?」

「二人が言うなら従う・・・」

「ありがたいな、じゃ、俺についてこい、谷に向うんだろ?」

「うん、御願いするよ」

「の前に・・・・・・・・・」

 センチメーターはすっと立ち上がると、ナイトスコープを付け、当たりをくまなく見始める。
しばらくして僕のワルサーを見つけ、それを拾ってくれ僕に渡してくれた。

「良い銃だ、大事に仕えよ?あとでグロックは修理してお前に送ってやるよ」

「頼むな」

「付いてこい、こっちだ」

 僕はワルサーのフラッシュライトをつけ、センチメーターのあとに続いて歩き出した。
狭い道を歩き続けると徐々に光が見えだし、外へ出ることが出来た。
空は赤くなりだし、夕方に指しかかろうとしていた。
川岸を歩くと僕は要員の姿をチェックした。
だがセンチメーターはこの辺には配備していないと良い、軽く答えるがその姿にどこにも嘘が見えなかった。
しばらくすると、エンジン音が聞えだした。
僕には聞き覚えがある音だった、大好きなエンジン音だからである。

「X5だ」

 視界に見えてくると、見覚えのある車がこっちに向って接近していた。

「ユイ??!!」

 X5が僕らの前で止ると、僕は安心からかホゥと行きを吐いた。
中を見ると僕は見慣れない銃に少し驚いた。

「フェーダー、これは?」

「私が準備した銃ですよユイ君、供えあれば憂い無しですよ♪」

 さすがは先輩、見事ですよ。
僕は二丁の銃をじっくり見た。
二丁ともグレネードが装備されており、グリップは握りやすい形状になっており、僕この二丁の銃に目を引かれる。

「FN F2000とヘッケラー&コック XM29OICWか、まだどこの軍にも正式配備されていない物だな。計画凍結になった物をよく手に入れれたものだ」

「そうなのセンチメーター?」

「ああ、F2000はまだ使いやすいが、XM29OICWは思いからまだテスト段階なんだ。かなり扱いにくい代物だ、XM29OICWはフェーダーが使うのが良いだろうな」

「そのつもりだ、ユイ、お前はF2000を使え。私は後席で、助手席で姉さんの援護を援護するぞ」

「了解したよ」

「俺は別方向から向う、一緒に行動してはナルバレックからきつい御仕置きが来るからな」

 苦笑いし手をヒラヒラと降る。
僕はF2000の使い方を一つ一つチェックし、頭の中にたたき込む。
全ての準備を整え終えると、僕は助手席に乗る。
先輩は運転席に乗り、エンジンをかけてスタンバイをする。
エレイスは後席に乗り、僕とフェーダーのサポートの準備に入る。
 とその時、X5の近くで爆発が起きた。
周りを見ると、トライアンフに乗った要員が近づいてきた。
スコープで要員の装備を確認するとG36グレネード付きアサルトライフルを持ち、河原を見事なテクニックで進んできていた。
 フェーダーはX5から降りるとXM29OICWのスライドを引き、セーフティーロックを解除して構える。
そして要員に向ってフルオートで撃ち、グレネードも全弾撃ち込む。
弾切れになったXM29OICWをX投げ入れると先輩に叫ぶ。

「姉さん先に行ってくれ!!あとで合流する!!」

 X5の中からステアーTMP二丁とマガジンを取りだし、セーフティーを解除する。

「やれやれ、俺もここは協力してやるかな」

 センチメーターもガバメントを構え、セーフティーを外す。

「シエル、ユイとエレイスを頼む、二人をやつらの手に渡すわけには行かない」

「分かりました、じゃ、行きますよ?」

「七夜、フェーダー、気をつけて!」

 先輩はアクセルを踏み、急発進させると僕はF2000のグリップに手を通し、スライドを引く。
しっくりと手に馴染み、ボクは窓を少し開けてエンジン音以外の音に注意払った。
すると何処からか聞き覚えのあるエンジンが聞こえ始めた。
僕は天井のウインドウを開け、顔を出して周りをチェックする。
すると後方から要員が二人乗ったトライアンフが接近していた。

「先輩、着ましたよ」

「じゃあユイ君、お相手をよろしくお願いいたします」

「了解、エレイス、バックアップ頼むよ」

「うん、任せて♪」

 僕は体を出し、F2000を構えて銃本体の上部に備え付けられたスコープを覗く。
そしてすかさず要員に向かってトリガーを弾く。
5.56mm弾がトライアンフを狙うが相手と僕らが動いている為になかなかヒットしない。
僕はグレネードに切り替えると僕は一発、撃ち、さらに一発本体に入れて再びトリガーを弾く。
トライアンフの近くに着弾すると激しく爆発し、要員はトライアンフのバランスを失いそうになる。

「二人とも!捕まっててください!!」

 いきなり先輩はハンドルを切り、一気に川原から一般道へ通じる道へと出る。
先輩の見事なドライビングテクニックでX5のバランスを立て直すと今度は別の方向からバイクの音が聞こえ始めた。
F2000をその方向へと向けるとフェーダーと七夜が乗ったトライアンフが現れた。

「フェーダー!!」

 フェーダーに声をかけるといきなりステアーTMPの銃口を向けられ、トリガーを弾くと弾丸がボクの横を掠り、空中で何かが爆発した。
振り返ると要員がX5の動きを止めようとグレネードを撃ってきたのだ。

「気をつけろ!!まだ来るぞ!」

「了解!」

 フェーダーはX5の前に走るとハンドルを放し、両手にステアーTMPを持ち向ってくる要員に向ってトリガーを弾く。
先輩はさらにアクセルを踏み、スピードを増すと要員との間をさらに空ける。
 ふと僕は道路の先の大木に目が行った。

「エレイス!F2000を取ってくれ!!」

「これ?」

 エレイスはF2000を僕に渡し、さらにマガジンも渡してくれた。
すぐにマガジンを交換し、スコープのターゲットサイトを大木に合わせる。
そしてフルオートでその大木に撃ち込み、さらにグレネードも撃つ。
すぐに空のグレネード弾を捨て、新しいグレネード弾を装填し、大木に向って撃つと根本が折れ、大木が倒れてきた。
X5が大木を通過した瞬間にその大木は道路を寸断するように倒れ、僕らを追えなくなってしまった。
僕は体を助手席に戻し、全ての銃にセーフティーをかけた。

「これで大丈夫でしょ?」

「お疲れさまユイ」

 僕はウィンドウを空けると、隣にフェーダーと七夜が乗るトライアンフが近づいてきた。

「大分射撃の腕を上げたなユイ」

「まだ納得はできないところもあるけどね七夜」

「もうすぐ空港です、早くここから脱出しましょう」




 僕らはやっと日本からここまで来たC130H輸送機が隠してある場所へとたどり着くことが出来た。
C130H輸送機とは日本では自衛隊が使っている有名な輸送機で、未舗装な所でも滑走が可能なように設計されており、航続距離も長い。
先輩は始め、ここまでくるのにどうやって来かと思い気や大胆な方法で行くと言った。
まさかC130U輸送機を使ってここまで来るとは思わなかったが、このX5を運ぶにはちょうどいい輸送機がこれだったのだ。
 C130をここに着陸させると、先輩はC130の周りに結界をはり、姿を隠しエレイスの救出に向ったのだ。
先輩は結界を解くと姿を表した輸送機にフェーダーとエレイスは目を丸くした。

「ね、ねえユイ、まさかこれで来たの?」

「うん、先輩のアイディアだけどね」

「たまに姉さんは大胆なことをするからな、姉さんらしいと言ったら姉さんらしいな」

「ほら、輸送機に乗って下さい、時間がありませんよ」

 僕は輸送機の中に入りタラップを下ろし、X5が入れるようにするとフェーダーもトライアンフを輸送機の中に入れる。
フェーダーは先に乗り、コクピットに向うと全ての計器をチェックし、システムをオンにする。
先輩はタラップをしまい、先輩、七夜、エレイスはコクピットに入り席に座る。
 僕は留め具を外すために一度外へ出るとタイヤにはめてある留め具を外す。
留め具を外すとそれを中にいれて僕は外からOKサインを出す。
機長席に座っている先輩は首を縦の振ると、親指を立てて早く乗るように指示を出す。
プロペラが回りだすと、僕は急いで中に入ろうとする。
だがどこからかエンジン音が聞えだし、振り向くトライアンフに乗ったタクティカルが猛スピードで接近してた。
僕はすぐにワルサーを出し、タクティカルに向かってトリガーを弾く。
だがタクティカルはサーベルで弾丸を弾き、バイクから飛び降りると僕に切りかかろうとした。
僕はトライアンフに向かってトリガーを弾くと、弾丸はガソリンタンクに当たり爆発する。
その爆風でタクティカルは吹っ飛び、地面を転がる。

「先輩!早く発進を!!」

「まだもう少し掛かります!なんとか時間を稼いでください!」

「了解!!」

「俺も行く!!」

 七夜は座席から立つとコクピットから出てナイフを握る。
そして輸送機の外へと出ると僕の前に立つと僕の方を見る。

「アイツは俺が引き受けた、援護射撃をしてくれ」

「そうだね、ここは七夜に任せた方がいいね、射撃は任せてくれ」

 僕らがタクティカルに向かって攻撃を仕掛けようとした時、もう一台のトライアンフが近付いていた。
C130前に止まり、ステアーグレネード装備を持つとスライドを引く。

「俺も混ざらせろっ、ほら早く準備しろ」

「ありがとうセンチメーターっ」 

 二人でセンチメーターを見ると僕らは目を合わせ、頷くと攻撃を開始した。
僕とセンチメーターはタクティカルに容赦なくトリガーを引き続け、その場から動けなくさせその好きに七夜がタクティカルの懐へと入る。
だがタクティカルもその動きを読み、剣とサーベルがぶつかる。
一度僕らは射撃を止め、七夜とタクティカルの戦闘を見る。
 シエルはすべての準備を終えると、エンジンのスロットルを徐々に上げ、機体を前進させる。
「エレイスさんっ、早く二人を呼んでください!」

「分かりましたっ!」

 エレイスは座席から立つと、コクピットを抜け出しハッチへと向かう。

「ユイっ!七夜!早くっっ!!!」

「オッケー!!」

 僕はハッチに向かい、ふと七夜を見る。
刃と刃がぶつかり、激しい戦闘が繰り広げられている。

「七夜っ!」

「早く行けナナヤ!!」

 センチメーターはグレネードを撃つと七夜とタクティカルの間を突き放す。
C130は着陸してきた模擬滑走路に向かわせると、あとはスロットルを最大にするだけだった。
 七夜はC130まで走るとタクティカルは七夜を追いかけようと走り出す。
だがセンチメーターがステアーのトリガーを弾きながらタクティカルを追う。
弾丸の嵐がタクティカルを狙うと脚を止め、サーベルで全ての弾丸を弾き飛ばす。
弾切れになったステアーAUGを捨てると、センチメーターはガバメントHI-CAP5.1を出し、タクティカルの前に立つ。

「何のつもりだセンチメーター?」

「理由はねえよ、ただ俺は俺の考えに従っているだけだ…、お前もそうだろう?」

「私は任務に忠実に従っているだけだ」
 七夜はC130たどり着くと中に乗り、エレイスはハッチを閉じる。
そしてフェーダーはゆっくりとスロットルを上げ、プロペラの轟音が鳴り響く。
機体がゆっくりと早くなり、機体が揺れだす。

「タクティカル、ここは逃がしてやれ、あいつらを味方にするにはまだ早すぎる」

「………お前の気持ち、良く分かった。ここはお前を信じようか」

 サーベルをしまうと、タクティカルはスピードを上げたC130を見る。
センチメーターはC130に向かってアディオスと手を振る。
僕らは座席に付き、シートベルトを締めるとシエルはゆっくりと操縦桿を上げ、機体を浮かせる。
 ふとエレイスが窓から二人を見ると軽く手を振って別れの挨拶をした。
 フェーダーは車輪を格納させ、計器を睨みつけながら先輩のサポートをする。
だがあくまで隠密上の為に機体を実用上昇限度まで上げさせる事が出来ず、レーダーの視界になる低空飛行が求められ、二人は綿密な連携をしながら飛び続ける。
僕は機体の高度を下げる時の無重力感になれず手に汗握る。
 それに気付いた七夜はユイを見るとフッと笑う。

「お前、飛行機が苦手なのか?」

「いや、機体は平気だけど無重力感が・・・・・・飛ぶのは苦手なんだ・・・普通以外のね」

「ガキだな・・・」

「うるさい!」

「クスッ、二人ともおもしろいわよ」

 エレイスが笑いだすと、僕と七夜は目を合わせた瞬間、笑いだした。
その笑いに先輩とフェーダーも肩の力が抜け、みんなの緊張がほぐれて行く。
ゆっくりと日が落ち始め、僕らは帰るべき場所へと向った・・・。
僕らは長い戦いの疲れが緊張とともにどっと出ると眠気が襲い、座席に深くもたれ眠り始める。
先輩とフェーダーは僕らを見て笑みを浮かべ、C130は海へと出る。
そして自動操縦にし、全てをシステムに預けて先輩とフェーダーはゆったりとシートに座り直す。

「終わりましたねフェーダー」

「姉さん、ゴメンな・・・・・・私・・・」

「ナルバレックの命ですからあなたには何も責任はありません。それよりも私は彼らの未来に味方してくれたのが嬉しいのです」

「私は友人を裏切るなんて出来ない、やっと出来た大切な友人・・・・・・、これからもずっと一緒にいたい、だから私は姉さんの見方になったんだ」

「その気持ちだけでも十分です。フェーダー・・・」

 先輩はゆっくりとフェーダーはコンソールに体を当てないように抱きしめる。
優しく子供をあやすように背中を優しく撫でるとフェーダーは涙を浮かべる。
そう、フェーダーが埋葬機関でつらい訓練の日々、先輩の優しさで予備員になるまで頑張れたのだ。
そして今、大切な友人を一度裏切り、それを償うためにユイとエレイスを助けた。
フェーダーは例えナルバレックの命を受けても彼らを裏切らないと近い、これからも一緒にいると誓った。
 安らぎに包まれたC130は月夜の海を家に向って跳んでいった・・・。


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