03/BATTEL

シャーロック&ルイ作


 強行突破を決意した僕らはそれぞれの装備を確認する。
麻酔弾のチェックにワルサーをフィールドストリップしての中身のチェック、出来るだけのチェックをし僕らは装備品をホルスターなどに入れる。
 その時、足音が聞こえ僕は緊張のせいかビクッと驚く。
ゆっくりとワルサーを握り、七夜もナイフへ手を伸ばす。
だがふすまを開けたのは磯原さんだった。
けど僕はワルサーを握る手を緩めなかった。

「大丈夫ですよ、私はあなたの見方ですから」

 磯原さんは手を出すとそこにはスタングレネードとスモークグレネードが握られていた。
それぞれ二つずつあり、四つともセーフティーがちゃんとはまっていた。

「私が敵ならこの安全装置は外していますよ」

 僕はその言葉を聞き、ゆっくりとワルサーの握る手を下ろした。
そして僕はゆっくりと磯原さんに近づいた。

「今までどちらへ?」

「ずっと隠れていました。奴らもまだ知らないところがあり、私はそこに隠れていました。まだ生存者もいますよ」

「まだ無事な人がいたんですね……磯原さん、まだそこにいてくれませんか?」

「あの人と戦いに行くのですね? 止めませんが戦うには気をつけてくださいね」

「はい、分かってます」

「そして七夜様、あなたには何か必要な物がありますか?」

「俺は何もいらない、このナイフ一本で十分だ」

「でしょうね、では私は部屋に戻ります。すべてが終わりましたら私たちを呼んでください」

「分かりました、気をつけて」

 磯原さんは一礼すると少し早足で隠れ場所に戻っていく。
僕はスタングレネードとスモークグネードをポケットにしまい、七夜を見て頷く。
僕らは廊下を出て六動のいる道場まで向かう。
靴を履き、まずは外に出ると六動の手下となった警護員が二人立っていた。

「七夜、頼めるか?」

「任せろ」

 七夜はフッと姿を消すと警備員の背後に周り、手刀で一人を気絶させすばやくもう一人の警備員に向かって攻め込み、足払いと同時に一気に投げ飛ばしその場所で宙返りを付くような形で警備員を地面に叩き付けた。

「おぉ?」

「行くぞ」

「了解」

 僕らはまずはどれだけの敵に囲まれているかを調べる為に中庭へと回る。
うまく気配を隠しながら進み、物陰から敵を調べる。
敵の数は数人確認でき、僕は七夜に合図を送りワルサーを構える。
サイレンサーをつけ、サイトを一番遠い敵に合わせると僕はトリガーを弾く。
銃口から麻酔弾が撃ち出され、敵の頭に麻酔弾が命中すると敵はあっさりとその場に倒れて眠ってしまう。
続けざまに別の敵にも麻酔弾を撃ち同じ様に眠らせると七夜は敵の背後に回り込み、一人ずつ敵を気絶させていく。
すべての敵を眠らせるか気絶させると僕らは道場に向かう。
こうして敵を眠らせておけばいざという時に敵からの増援がなくなるのだ。
 足を進ませ、道場の前にたどり着く。
ワルサーを構えながら周りに敵がいないか探るが敵の様子は全く見られない。
 僕らが屋敷の道場に入るとおぞましい空気が漂っていた。
影の空気が周りに立ちこめ、僕は嫌な気分になる。

「よく来たな…」

 僕は六動の言葉に怒りが心の中に浸透し、ワルサーの握る手に力がこもる。
だが僕はそれをジッと堪えた。
怒りに身を任せてはならない……怒りだけでは六動のように影なる存在になってしまう。

「この屋敷の門番やら警護の人間はかなりの戦闘能力を持っているのですがそれを倒してしまうとはなかなかな物ですね」

 白影さんの言葉が心の中に刺さる。
六動のせいで心を影で包まれているにしてもやっぱり実際に聞くと嫌な感じがする。

「六動、用があるのはお前だけだ。ほかの人は関係ない」

「関係ない? これは私の趣味でしている事だ」

「嫌な趣味だな…」

 七夜は目を細めてつぶやき、ナイフを構えグッと姿勢を低くする。
僕はワルサー二丁を構え、グリップに力を注いでいく。
 六動はそれを見て、不適な笑みを浮かべ手を動かし、行けと合図する。
すると白影さんと瑞希さんが六動の前に立つ。
二人と棒を持っており共に戦闘態勢に入る。
そして六動の指を鳴らす合図と共に二人は僕らに攻めて来た。
まずは僕のワルサーで急所を狙わないようにトリガーを弾いていく。
血の弾丸が飛び、二人めがけて飛んでいくが白影さんが棒を回転させ、血の弾丸をすべて弾いてしまう。
なんと言う動体視力なのだろうか……瑞希さんの棒術の師である意味がよくわかる気がした。
 僕はその場から走り出し、瑞希さんと白影さんに向かって更に弾丸を撃ち込む。
その隙に七夜はザッと走り出し、瑞希さんに向かっていく。
ナイフを降り、牽制しようとするが瑞希さんの棒術のレベルはかなりの物で七夜のナイフをあっさりとかわし、上下の先で七夜二向かって回転させながら振り落とす。
 僕は白影さんに向かってワルサーを撃つのを止め、一丁のワルサーをホルスターへ収め、左手に血の刃を出す。
一気に攻め、ワルサーの銃口を向けると連続してトリガーを弾いていく。
弾丸を一つずつ避け、棒で弾けるところは弾くと白影さんは僕に向かって攻めて来た。
ワルサーを二つともホルスターに収め、両手で刃のグリップを握ると白影さんに向かって一気に振り落とした。
棒を両手で構えて水平にし、頭の上で構えて刃を受け止めると不敵な笑みを浮かべた。

「銃で牽制しつつ自分が攻めるやり方……なかなかの先方ですがまだまだです。あなたにはまだ未熟な部分が多すぎます」

 全力で振り落とし、今も力強く押しているが白影さんはいとも簡単に押し返し、僕を突き飛ばす。
地面を転がり、体制を立て直して刃のグリップを握り直す。
棒を回転させ、構え直すと白影さんはザッと走り出しいつの間にか僕の背後に立っていた。
すぐに振り返るが容易く足払いされ、棒で僕の腹を狙って来た。
体を回転させ、白影さんからの攻撃を避けると僕はホルスターに引っかかっている状態でワルサーのトリガーを弾いた。
不意打ちの攻撃に白影さんは伏せきれず、見事に太ももに命中しバランスを崩す。
 ホルスターの底が空いている事による攻撃で、ホルスターが違えば出来なかった行為だ。
 七夜は急所を狙わない攻撃に苦戦し、瑞希さんの方が優勢だった。
瑞希さんは棒で必要に間接を狙う攻撃を繰り返す。
間接を狙う事に寄って力強い攻撃が出来ず、力を分散させる事ができるからだ。
 間接を狙う攻撃に七夜は足を踏み出す事が出来ずに防戦一方だった。

「ほらほら、いつもの攻撃はどうしたのよっ!」

「くっ……」

 瑞希さんは何を考えたのか一度その場から引き、白影さんのもとまで下がるとそれにあわせて僕と七夜は一度後ろに下がった。

「なかなかいい作戦じゃないかユイ…」

「いや、何となく思いついただけだよ、これでまず白影さんは力を発揮できないはず………」

「問題は瑞希………奴は生半可な攻撃は通じない……」

「ならこっちも同じ攻撃をするしかないね」

「策があるな?いいだろう、それに乗ったぞ」

 僕と七夜は目で合図し、白影さんと瑞希さんに向かって一気に走り出した。
僕らに気づいた瑞希さんは応戦しようと前に出る。
僕はまずワルサーを取り出し、瑞希さんに向かって撃ち出す。
弾丸を避ける為高く跳躍し、僕らの真上に来る。
 狙い通りの動きに僕は刃をムチにして瑞希さんの足に巻き付ける。

「はぁぁぁっっっ!!!」

 僕は渾身の力を込めて一気にムチを振り下ろすと瑞希さんを床へ叩き付ける。
すると叩き付けたショックで気絶し、ピクリと共動かなくなった。
僕は白影さんに向かってワルサーを構えるとワルサーのグリップに力を送るのを止め、麻酔弾を撃ち出す。
麻酔弾は腕に当たり、すぐに効果を発し白影さんは眠り始める。
そして瑞希さんにも麻酔弾を撃ち込み、まずは第一関門を突破する。

「次は本人か……」

 僕らは六動を見る。
不敵な嫌な笑みを消さず、ゆっくりと立ち僕らに向かって歩き出す。
ツバサはエレイスの前に立ち、六動を倒さないとエレイスに会えない。

「ここまで成長するとはなかなかな奴だ……その戦闘スタイルは天性の勘かな?」

「そんな事どうでもいい」

 僕はワルサーを六動へ向ける。

「今日で最後だ六動、僕の両親の敵、必ず取る!」

「よかろう」

「七夜、瑞希さん達を頼む。ここは僕だけで行かせてくれ……」

 七夜は僕の肩に手を置くと小さくうなずき、瑞希さんのところへ向かう。
そして僕はワルサーをしまうと刃を出し、一度刃を降って構える。
道場の外では雷があり始め、雨が降り始める。
まるでこれからの戦闘を物語るように……。
 何度目かの落雷の音で僕らは動き始めた。
 六動は右腕からブレードを出し、僕の降る刃とブレードの刃がぶつかる。
六動はブレードを縦横無尽に降り、僕はそれを避けた刃を受けたりして六動の攻撃をかわす。
 六動は一度後退すると雨が降る外へと僕をおびき寄せる。
僕は六動を追い、一気に六動に切り掛かる。
雨が次第に強くなり、雨の一粒一粒が更に冷たくさせる。
刃と刃がぶつかり、戦闘は更に激しさを増す。
 だが次第に形成は僕の方が不利になって来た。
血の力を一気に使う刃、ムチは能力の消費が激しく、ワルサーで撃ち出す弾丸とは違い、エネルギーの数値を100とすれば短時間ならば消費は小さいが、長時間使う場合は時間と共に消費エネルギーが増えてしまう。
能力の使い過ぎは自らの崩壊につながり、たとえエレイスの「不死の躯」でカバーできたとしても限界が来てしまう。
 僕は刃ではなく、ナイフの形状にし、少しでも能力の消費を抑える為に左手にワルサーを握る。

「ほう、能力を長時間持たせる為の策か…それがいつまで持つかな?」

 六動は僕の装備や能力は十分に把握しており、何か策を練らなければこの状況を打破するのは無理に等しい…。
僕は銃を使った接近戦を挑む事にした。
だが下手をすれば自分に食らう事になり、危険な先方だが今はこれしかなかった。
 僕はバッと走り出し、六動に向かってまずは一発トリガーを弾いた。
六動は弾丸を避けると僕はナイフのレンジ内にとらえるとナイフを小刻みに降り、大降りにならないように注意しながら攻撃をする。
 ナイフの場合、人はよく大降りで降ってしまうがそれは自身の隙を大きく生み出す事になり、結果的にリスクが高い。
しかし小刻みに降る事に寄って自身の隙を最大限に小さくする事が可能で、攻撃、防御のどちらでも切り替えれる。
 六動はブレードの弱点の近接戦闘を読み、このナイフに切り替えたのだ。
 僕はナイフで攻撃している隙にワルサーのトリガーを接近して弾く。
 あまりの接近しての発砲にさすがの六動も避ける事が出来ずブレードを装備している腕に命中した。

「やるじゃないか………」

 僕は無言でワルサーの銃口を向ける。
だがまだ六動には余裕の表情があった。

「どうしてそう余裕があるんだお前は……」

「こういう事だからさ」

 指を鳴らすと、僕の周りを囲むように屋敷のエリートクラスの兵員がどこからともなく現れた。
兵員の手には小太刀、クナイなど忍者が好んで使うような武器が多数あった。

「利用する物は利用する、お前らしいやり方だな」

 僕は無表情で六動に鋭い視線を送る。
っとその時だった。
屋敷の中の空気が変わったのだ。
さすがの六動も空気が変わった事に戸惑いの色を見せた。
ふりかえるとそこには赤い長い髪、どこからもなく力強いオーラを放っている。

「せ、先生……」

「ちっ、邪魔が入ったか…」

「結構派手にやっているじゃない、私が出る幕でもなかったかな」

 青子先生に向かって兵員達がバッと走り出すと青子先生は右手をかざし、魔力のエネルギー弾「フローティング・スターマイン」を撃ち出す。
エネルギー弾は地面にバウンドすると拡散し、兵員達に向かっていく。
兵員達は避けようとしたが、エネルギー弾の早さに避ける事が出来ず、まともに食らってしまった。

「手応えがないわね、ほらユイ、あなたの戦いに邪魔する奴は私が蹴散らすから思いっきりやりなさい!」

「はいっ!」

 僕は勇気をもらったような気がし、急に力が沸き、六動を見る。
そして僕は先生の勇気を力に替え、一気に攻めた。
ナイフで切り込み、隙を見せたところでワルサーで攻撃する。
 六動はさっきと違い、防戦一方になった。
僕は攻めて攻めまくった。
攻撃は最大の防御、僕はこのまま行けると思った。
しかしそれが甘かった。
 突然六動は影のオーラを出すと僕の周りに影を煙幕のように出し、目つぶしさせる。
 僕は攻撃を止め、六動の攻撃に備えた。
しかし六動は戦いのプロ、まだ駆け出しの僕とはレベルが全く違う。
ワルサーとナイフの握る力を強くし、周りを警戒する。
 その時、影の中から足が見え、僕の腹に強烈なけりを食らわされた。
胃液が逆流し、口の中が酸っぱくなる。
そして背中に肘打ちを食らわせ、僕は背中がへこむようなな感覚と息が一瞬出来なくなり、地面に叩き付けられる。
 僕は立ち上がろうとしたが、ナイフを握る腕に冷たい何かが刺さるのを感じた。
痛みをこらえ、腕を見ると六動のナイフが腕を貫通し、地面に刺さっていた。
ナイフが刺さっているのを自覚した瞬間、僕は強烈な痛みに襲われる。

「ぎゃぁぁぁ!!」

 影の中からすっと姿を表すと、笑みを浮かべながら僕を見下す。

「そうだ、その声だ…実に爽快だ」

「っ……このっ…」

 その時、僕の横をかするように強力なビームが通り過ぎた。
それと同時に影が消えると、青子先生が腕をかざしていた。
 そして六動に向かってドカドカとビームを撃ち出す。
僕にあたらないようにビームはバウンドし、六動を少しずつ後退させていく。
なんとか六動を後退させると青子は僕の隣に来ると腕に刺さるナイフを抜く。

「大丈夫?」

「なんとか……ふぅ…」

 ゆっくりと深呼吸し、エレイスの力を使って傷を塞ぐ。
痛みがゆっくりと消え、腕を軽く振るとワルサーを再び構える。

「あいつは並の攻撃では勝てないわ、ましてやその武器じゃね。ま?ロケットランチャーやグレネードがあれば別だけど」

「じゃあ、どうすればいいですか青子先生?」

「あなたは少し休んでいなさい、力を回復してまた戦いなさい」

「はい……」

 青子先生は腕を鳴らすとすっと立ち上がり、六動を睨むといきなり攻撃を仕掛ける。
ブロウニング・スターマイン、レイニング・スターマイン、ブロウニング・スターボゥを連続して撃ち出し、六動を牽制する。
ドカドカと爆発が起こり、六動は避けるだけで精一杯だった。

「ちっ、やるじゃねえかっ!」

「そいやぁぁ!! けり飛ばすわよっ!」

 フッと消えたと思ったら六動の前に突然姿を現し、強烈なケリを入れる。
そのケリは六動を屋敷の外壁を破り、六動は初めて地面を付いた。
そして青子は高く跳躍すると足が光り出し、一回転するとその足から強烈なビームが放たれる。

「スヴィア・ブレイクっ!!!」

 ビームは見事に六動に命中し、その衝撃波で広範囲に爆発が置き、爆風が僕らに襲う。

「す、すごい……」

「大丈夫か?」

 振り返ると七夜がいた。
肩にはエレイスが気絶している状態で担がれていた。

「エレイスは?」

「大丈夫だ、ツバサも奴の仲間になっていたが、ほかの奴らよりは簡単に倒せた。エレイスはお前をつり上げる餌として確保していたようだ」

「あの野郎……」

「ユイ、奴を倒すには奴の心臓を狙うしかない、だがお前だけの力では無理だ」

「じゃあどうすれば……」

「エレイスの『不死の躯』の力を使うんだ。二つの力を合わせて奴の心臓を貫けば奴は必ず死ぬ。遠野の血だけの力では奴の心臓は貫けない」

 僕はそれを聞いて、勝てる希望がわいた。
 遠野の血は破壊の力だが六動にもその血は流れている。
奴に遠野の力で攻撃するのは奴を一時的にダウンさせるが同じ時からが共鳴し、結果的にダメージを消してしまうのだ。
奴に勝つには一対一の対等な力ではなく、エレイスの力を使って一体二にして僕の力を抑える不死の躯で勝つというのだ。

「と言う事はその力を弾丸に変えてもOKと?」

「まぁ、心臓にあたればばな」

「ありがとう、助かったよ」

「礼ならエレイスに言え、目が覚めてあいつが言ったんだ、俺じゃない」

 僕は笑顔を見せると六動のダメージが完全に消えない体にムチを入れ、ゆっくりと立ち上がるとワルサーのグリップを握り、すっと目を閉じる。
エレイスの力『不死の躯』をゆっくりと手に集中させる。
ダメージに費やしている部分もすべて手に回し、血の弾丸が徐々に不死の躯の弾丸と混ざり合い、新たな弾丸を生み出す。

「準備完了……」

「気をつけろよ……俺はほかの奴らの面倒でこっちに構い切れんからな」

「エレイスを頼む…」

 僕は走り出すとワルサーをツーハンドで構え、六動に向ける。
六動は青子先生の攻撃を避けながら僕が近づいてくるのを見つけると影の煙幕を炊き、青子先生の放つ弾幕から脱出する。

「このままあの女に任せていればもう少し生き延びれたのに……はぁっ!」

 六動は煙幕の中から出ると僕に向かって突撃してくる。
 僕は足を止め、ワルサーを構え直し、サイトを六動に向けて合わせる。
そしてゆっくりと深呼吸し、体を落ち着かせると僕はトリガーを弾く。
不死の力と遠野の力が混ざった弾丸は一直線に進む。
六動は今までの弾丸と同じと判断したのかそのまま足を止めずに一直線に進んでくる。
弾丸は六動に向かって一直線に進み、六動の肩に命中する。
弾丸が命中した瞬間、六動は強烈な激痛に教われ、バランスを崩し地面を転がる。

「な、何だこの弾は……体が回復しない?」

 今までダメージは消えたが今回は消えない。
エレイスの読みはあたった。
不死の力で抑えられた力の為に血の弾丸は殺傷能力を増した。
 僕はトリガーを弾き今度は動けなくする為に足を撃つ。
ダメージに気を取られていた六動は足にもくらい、その場に倒れる。
 僕は確実に六動の息の根を止める為に六動に近づく。
ダーメジから来る激痛に戦いながらも六動は僕を睨みつける。

「今のが母さんの分、そしてこれが父さんの分だっ」

「お前の復讐はこれで果たせる訳だっ……だがお前の中にも闇はある。俺は必ずお前のもとに帰ってくるぞ…」

 六動は笑い出す。
僕は構わずに銃口を六動の頭に向けるとトリガーにかけている指に力を入れる。
だがその時、ワルサーに青子先生が手をかけ、僕を見る。

「ユイ君、復讐の気持ちは分かる。だけどいくら復讐は何も生み出さない。あなたにはそれになってほしくない。だからここは私にその銃を貸しなさい」

「でもっ……」

 僕は父さんと母さんを失った気持ちはどうしても拭い切れない。
六動が憎かった……でもこのままトリガーを弾けば僕も復讐の鬼として六動と同じ事をしてしまうかもしれない。
 戦うはじめに僕は冷静になって戦うと誓った。
戦う合間に僕はいつの間にか冷静さを失っていた。
このまま戦い続け、もしかしたら、守ると約束したエレイスを傷つけてしまうかもしれない。
大切な仲間を傷つけてしまうかもしれない。
僕は………もう何も失いたくなかった…。
僕は先生にワルサーを預けた。

「あなたはとても優しい、だからその優しさを闇で染めてほしくない」

 青子先生はグリップを握るとワルサーが光り出し、先生は銃口を向ける。

「あなたはこれまで数々の罪を冠った。私の大切な親友まで傷つけた、もうあなたは生きている資格はないっ」

「ふっ、俺は影、必ずお前達のもとへ帰ってくるぞ……」

 それを最後に先生はトリガーを弾いた。
血の弾丸と違い、凄まじい閃光と共に魔力の弾丸は六動の頭を貫いた。
何倍もの威力を誇る弾丸は六動を活動停止にさせ、その場から消えた。

「父さん……母さん…」

「終わったね…ユイ」

 振り返るとそこには七夜の肩に捕まったエレイスがいた。

「うん…………青子先生、ありがとうございました」

「気にしないで、あなたは志貴と一緒で頼れる奴なんだかさ。さっ、奴がいなくなって闇の呪縛は解き放たれたでしょう。もう一仕事頑張りましょう」

 青子先生達が被害者達の救援に向かう。
だけど僕は動けなかった。
雨に打たれ、僕はその場にうずくまった。

「父さん……母さん…仇、取ったよ………」

 ハァッと息を吐くとゆっくりと目を閉じ、再び開ける。
僕は青子先生や七夜と共に被害者の救援に向かおうとする。
だがフッと足を動かした時、僕は力が急に抜け、地面に倒れてしまいそ意識を失ってしまった。

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