tear * again

 

 

でも、俺がどれだけお前を想ったってお前がそばにいてほしいのは俺じゃない。

 

 

 

心臓がじくじく痛む。昨日を思い出していた。むしろ、思い出されていた。
きのうは、雪が降っていたとおもう。
あまり覚えていない。きのうのからだが覚えている記憶は、かなしさと、くやしさと、みじめさしか残っていないから。

 

かなしさがあると、そばにだれかに、いてほしくて。
くやしさがあると、好きな人が待っててくれてるところがほしくて。
みじめさがると、なくばしょがほしい。

 

そばにいてほしいのは、いつもいつもシカマルだったし、
待っていてほしいのも、いつでもシカマルだった。
なくばしょなんて、シカマルとふたりでベッドの中で、ふたりでないた。
かなしさだとか、くやしさ、みじめさだなんて、いつもシカマルとふたりでわけあってた。

 

それは、俺の思いこみで。

 

シカマルは、俺と一緒にいても、みてるのはアスマだったし、
俺を待っているときもアスマのことを考えていた。
ふたりでベッドの中にもぐって、ないて、ないて、泣き疲れてそのままねたときだって、アスマの名前を呼んでいた。

 

心臓が、じくじくする・そして、昨日が思い出される。
最悪の日だった。

 

アスマと、シカマルが、街のなかを二人で歩いていて。
そしてアスマはこっちに気がついて、にやり、といじわるそうにわらった。なんだそれ、なんだそれ。なんだそれ。なんだそれ、

 

そして。
その日の夜、シカマルは、俺の電話をとらなかった。
6回目の電話でやっと出た、とおもった。けど、電話の向こうの声はねむたそうな、アスマの声だった。
おれはなんだ、なんなんだ。
シカマルならねむってるぞ、だって。・・・ばかじゃねーの、おまえら。
眠ってるって伝えて、と言った申し訳なさそうなシカマルの顔が浮かんだ。

 

シカマルはすぐ人のこと考えて、かんがえすぎてめんどーくさがってる。
なんだよ。俺ひとりバカみたいじゃん?

 

電話を切ってから泣いた。赤丸は心配そうに俺を見ていた。こわれていくおれを、しんぱいそうに。
風呂に入ってまた、ないた。洗面所でもないたし、トイレに行ってもないた。
シカマルとふたりで泣いたベッドの中でも、ひとり泣いた。
どこででも泣くことができた。だって俺にはもう、なくばしょがない。となりに、シカマルはいない。

 

一睡もしないで、あさ、日の出がでるのを眺めた。また、なみだがながれた。

 

( E N D )

テーマ:失恋。
ちびテーマ:なみだ、この文章で人を泣かす。
結果:こんな文章で泣けるやつがいるわけがない。つまりは失敗。
(ほっといて!)

02.08 しまりょうこ。

 

 

 

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