『 掌編 』 1 ヒッタイトの王子イズミルは花嫁となるキャロルを伴って帰国の途にあった。 本当なら一国の世継ぎが花嫁を連れかえるのだから威風堂々、華やかな大行列を組みたいところだが、二人は商人の夫婦を装って旅を続けていた。供の兵士は囮として別の道を行く。 一度はエジプトのファラオの妃に擬せられた娘をメンフィスその人が略奪することを恐れて。 ファラオの心を奪った憎い娘を、嫉妬に狂ったアイシス女王の手のものが暗殺しに来ることを恐れて。 キャロルはメンフィスの熱い思いをあっさりと蹴って、イズミル王子を選んだのである。 生まれて初めて人を愛することがどんなことかを知った若者は、掌中の玉よと慈しむ娘が奪われぬよう、傷つかぬよう細心の注意を払って旅路を急いでいたというわけ。 だが当のキャロルは王子の苦労など知らず、初めて愛した人との旅に心弾み、見るもの聞くもの全てが珍しく晴れやかな表情を浮かべていた。 「好奇心もいい加減にいたせ。全くそなたは目が離せぬ。よいか、ハットウシャの私の宮殿に着くまでは大人しくしておれ。 旅路に危険は付き物、油断は禁物だと賢いそなたが知らぬはずがなかろう」 「ごめんなさい。つい嬉しくて・・・じっとしているのが難しいの。話に聞いたり、本で読んだりしかしていないものが次々目の前に現れるものだから」 言いかけてキャロルは、王子の不機嫌極まりないしかめ面に気づいた。 「ご、ごめんなさい。自分の置かれている立場を忘れているわけじゃないの。 気をつけるわ、王子・・・いえ、イミル」 「約束ぞ・・・キャロル」 王子は微笑んでベールでぴっちり覆われた娘の頭を愛しげに撫でた。 2 一行はようやく地中海に出た。ここからは船でヒッタイトを目指す。 港町は人も多く、活気に溢れている。 船に乗ってしまえば、これまでのように追跡の目も少しは緩む。だが王子の思惑を無視するように風はなく、乗るはずの商船は岸に繋がれたままであった。 王子とキャロルは宿屋に部屋を取り他の人々と風を待った。 ある日、王子は所用で出かけることになった。 「よいか、ひ・・・いやキャロル。私がおらぬ間は大人しく目立たぬように待っておれ。すぐに戻るから」 「はい、イミル。あなたこそ・・・気をつけてね」 王子はキャロルの頬にくちづけると商船の持ち主との交渉事のために出かけていった。 (! 何だ、あれはっ!) 午後も遅くなってから宿屋へと戻ってきた王子はそこでとんでもない光景を目にした。 王子が五月蝿く言い聞かせている通り、ベールですっぽりと身体を隠したキャロルが一人の青年と話をしている。背の高い青年は逞しい体つきに眉の濃い男らしい容貌。いかにも面白そうにキャロルと話して笑っている。 「何をしている!留守番を言いつけたではないかっ!」 怒り狂ってキャロルの細い手首を引っ張った王子に青年が大急ぎで説明した。 「ああ、すみません。妹さんは悪くないんです。俺のおふくろが貧血で座り込んでいたら宿屋の中から飛び出して介抱してくれて・・・」 日陰でキャロルたちを見守っていたらしい老婆が出てきた。 「すみません。おかげですっかり良くなりました。妹さん・・・お嬢さんがとてもよくしてくださって。 もう少し日が傾いてから帰ろうと思っていたんです。その間にうちの息子が・・・息子は漁師をしているもんですから海の話だとか魚の話だとかをして・・・」 「妹さんは何かあったら心配だから側にいると言って。実際、男の俺よりもよく気がついてくれて感謝しています。怒らないでやってください、お兄さん」 「・・・私達は兄妹ではない。そろそろ日差しも翳ってきた。もう帰れるだろう!」 イズミル王子は冷たくそう言うとキャロルの手を力任せに引っ張って後も見ずに歩いていった。 3 Ψ(`▼´)Ψ 「違うわ、王子!私達が兄妹っていうのは向こうが勝手に勘違いしたのよ。 それに困っているお婆さんをほうっておけなかったの。言い付けを破ることになってしまったのは謝ります。でも・・・・」 恐ろしいしかめ面で自分を睨みつける王子にキャロルは必死に弁明した。 「本当に何も疚しいことなんてないわ!」 王子はぐい、とキャロルを引き寄せた。キャロルはバランスを崩して王子の胸の中に倒れこんでしまう。 いきさつはどうあれ、自分がいない間にキャロルが自分以外の男と楽しげに話していた、というのが王子には許せなかった。面白い話なら自分がいくらでもしてやるし、知りたいことは出来る限り教えてやっているのに! 生まれて初めて知る嫉妬はいとも簡単に王子の日頃の冷静さを壊した。 「世間知らずのそなたに何が分かる!あれが奴隷商人ではないと誰が言いきれる?女衒と遣り手婆の1組であったかもしれぬのだぞ! そなたは攫われ船に乗せられて、売られて・・・二度と私の手許に戻ってこられなかったかもしれぬのだ・・・!」 初めて見る王子の激しい怒りにキャロルは震えあがりながらも気丈に言った。 「それは・・・大丈夫よ。私だって気をつけていたわ。それにあの人達、悪い人じゃなかったわ・・・・・・・・・きゃっ!」 王子はいきなり生意気な唇を自分の唇で塞いだ。 「あのいやらしい男がそなたにこのようなことをしたかもしれぬのだ」 驚いたキャロルの唇が緊張を失った一瞬を狙って王子の舌が侵入した。王子はキャロルの口を乱暴に犯した。 驚いて声も出ないキャロルの身体を万力のような腕で締め上げて王子の手はあらゆる場所をまさぐる。 「このように・・・そなたに触り、無垢なそなたを恐れさせたかもしれぬのだ」 4 Ψ(`▼´)Ψ 柔らかな身体をまさぐるうちに王子の体に妖しい炎を燈った。 王子の手つきはいつのまにか真剣に男の欲望を映し出したものに変わっていく。 未熟で小ぶりながら形の良い乳房は王子の手の中で熱く弾んだ。その先端が固くなっていく様子も逐一、王子の手に伝わる。 王子はさらに大胆になって、自分の脚をキャロルの膝の間に割り込ませると彼女の脚の付け根を探った。 「やっ・・・・・・・!」 「見も知らぬ男に・・・このようにされたかも知れぬのだ!私のそなたが。私だけのそなたが・・・っ!頼む、これ以上、私を苛立たせてくれるな」 耳朶に王子の熱い吐息がかかる。恐ろしいはずなのに何故かキャロルの身体も熱く熱を帯びていくのだった。 荒々しく乱暴な王子の仕草の中に隠しようもなく溢れている強引で熱烈な、それでいてどこか縋るような請うような愛がキャロルに伝わってくるのだった。 「ごめんなさい・・・王子・・・」 「私のことは・・・イミルと呼ぶように」 王子は秘所をまさぐる指先に伝わる熱く潤んだ戦きに嬉しい驚きを感じながら囁いた。独占欲と征服欲の強い男は年下の娘の反応に少々倒錯した喜びを感じたのだった。 「私を苛立たせるな。男ならば誰でも・・・そなたを欲しくなる。未熟でまだ何色にも染まっておらぬ無垢で初々しいそなたを」 王子は指先に絡みつく蜜を舐めながら言った。キャロルは間もなく達してしまった。 「ごめんなさ・・・い。イミル・・・・・・」 「まだだ。まだ許してやれぬ。私をこんなにしたそなたを!」 王子は弛緩しきったキャロルの口元に自身を突き出した。 キャロルは催眠術にでもかかったように巨大な熱の塊を口に含んだ。甘美な罰をキャロルは不思議な喜びと共に受け入れたのだった・・・。 5 Ψ(`▼´)Ψ 「そう…そうだ…。口の奥深くまでしっとりと包み込むように含んで……舌を這わせる・・・・。先を舐めるときは固く尖らせて突付くように。根元を味わうときはねっとりと絡めるように、だ。……っおぅ…!」 物慣れぬ初めての少年のような声を出した自分に驚きながらも、王子は臆面もなく破廉恥な授業を続けていく。キャロルは王子の命じるままだ。 王子はキャロルの片方の手を自分の臀部に持っていった。緊張に強張ったキャロルの小さな手がそこに縋るかのように強く掴む快感に王子は酔った。不覚にも暴走しそうな刺激だった。 「ふ…ぅ・・・・・・。それからもう片方の手は、下に触って。包み込むようにやわやわと揉みしだくようなかんじで、だ。おっと爪は立ててはならぬ。指先と掌を使うのだ。 ・・・・・・・・・ほら・・・・・口が留守になっているぞ」 陶然とした王子の口調。いつのまにか王子の肌の匂いに何とも蟲惑的な麝香の匂いが加わった。 「ん……ふうっ……」 王子の大きな手に頭を掴まれ、熱いもので喉の奥深くまで衝かれてキャロルは苦しそうに喘いだ。その喘ぎは何とも魅力的な吐息となって王子を刺激した。 「そう・・・そうだ、姫。覚えが良いな、そなたは・・・・・」 王子の腰の動きはだんだん早くなっていってキャロルを翻弄した。キャロルはあまりの苦しさに涙を浮かべながらも、麝香の匂いに魅入られた様になって王子の甘やかな罰から逃れることが出来ないのだった。 やがてキャロルの口の中で王子は激しく痙攣し、熱く濃いものを迸らせた。 「うっ・・・・・・・・・!」 わけもわからないまま、半ば以上を飲み込んでしまったキャロルの口元に王子は優しく布を当ててやった。 「すまぬ・・・。よくしてくれた、な。さぁ、ここに含んだものを吐き出せ」 6 Ψ(`▼´)Ψ 「は・・・・い・・・」 素直に王子に従うキャロルの口元から、つぅっと白い液体が零れた。薔薇色の唇から溢れるその小さな雫がこの上なく愛しく思えて、王子は口移しで漱ぎの水をキャロルに与えた。 「さ、口を漱げ。大丈夫か? すまぬな。そなたのことが心配で愛しくて・・・そなたのことを思いやる暇も無かった。・・・・・・許せよ。男は・・・男は如何に女を愛しく大切に思おうとも・・・このようなことをしてしまうこともあるのだ。 私のことなど…嫌いになった…か?」 いつもなら女の奉仕を受けることを何とも思わぬ王子が、気恥ずかしげに頬を染めて言った。キャロルもまた頬を染めて首を振った。 「いいの・・・」 不思議なことに厭わしさは殆ど感じなかった。それよりも自分のぎこちない行為で王子が初めて彼女が聞く悩ましい声をあげたということが嬉しかった。 (私が・・・王子をあんなふうにさせた・・・) 不思議な、倒錯した征服感がキャロルを満たした。 「いいの・・・。王子…好き」 自分に縋るキャロルを王子はしっかり抱きしめた。 「何と可愛いことを言ってくれる。そなたは…まこと、そなたほど私を夢中にさせる女はおらぬ。おかしくば笑え。そなたに溺れる私を」 王子はキャロルを優しく押し倒し、キャロルが愛した自分の場所と同じ所を、同じように、いやそれ以上に愛した。 キャロルは痙攣するように震え、あっという間に達してしまった。 7 Ψ(`▼´)Ψ 「何とあっけない」 王子は蝋細工のような妖しくぬめるような光沢を宿したキャロルの器官を愛しげに愛でた。 濃く色を変え、女性の身体にしかない花びらも花芯も瑞々しく大きく固く変化したそこ。ねっとりとした蜜はキャロルの羞恥と戸惑いをよそに、男を誘うように湧き出し続ける。 「乙女の身体でありながら・・・何とイヤらしい眺めであるか。乙女の封印がありながらこのように・・・」 恥ずかしい言葉でキャロルを煽りながら王子は乙女特有の膜を指先で弄んだ。 声にならない悲鳴を上げて王子の暴力から逃れようとするキャロル。 「すまぬ。痛がらせてしまったか」 王子は慰めるようにキャロルのそこを舐めた。甘い蜜が痙攣する蜜壷から溢れだしキャロルの恥じらいをあざ笑うように白い腿を濡らした。 「だが封印を破るのは・・・まだだ。だから・・・・・」 王子は再び腹部に張りつかんばかりに滾った自身をキャロルの亀裂にこすりつけた。 男の熱い器官で敏感過ぎる自分の器官を擦られる快感にキャロルは仰け反り、噛み締めていた唇の間から初めて女の悦びの声を漏らしてイズミルを喜ばせた。 やがて王子自身は再び痙攣してキャロルの白い顔に滾りを浴びせた。 「ああぁ・・・」 どこかうっとりしたような切なげな声をあげるキャロル。王子は濡らした布で優しく自分の陵辱の跡を拭い去ってやるのだった。 「そなたは・・・私だけのものだ。そなたを私なしでは生きていけぬようにするのが・・・・・・・楽しみだ。それはまた、そなたの願いでもある。そうであろう?」 キャロルは黙って頷くのだった。 |