『 厨房メンフィスの物語 』

メンフィスがようやく執務を終えたのは真夜中すぎのことだった。
寝室に入るとキャロルは机にうつ伏して眠り込んでいた。
「キャロル・・・。このような所で眠りおって!待っておれと申したに・・・!」
メンフィスはそう言いながらも、そっと小さな体を寝台に移してやるのだった。
「キャロル・・・キャロル。私だぞ・・・?」
メンフィスはそっと耳元に囁きかけた。甘い香りがメンフィスの鼻腔をくすぐり、思わずメンフィスは白い首筋に唇をつけた。
「う・・・ん?」
キャロルはうっすらと目を開いた。
「キャロル。起きよ。私を待っていてくれると申したではないか。ファラオたる私を待てぬとは怪しからぬ。・・・仕置き、ぞ・・・。」
メンフィスはもうすっかり「その気」モードであるがキャロルはメンフィスの腕の中でまた寝入ってしまう。「良い子はねんね」モードなのである。
「キャロル・・・。」
メンフィスはそっと鎖骨の窪みに接吻し、さらに薄絹からほのかに透ける乳嘴をつまみ上げるようにしたのだが・・・。
キャロルは眠り込んでいて全く気づかない。一人相撲が恥ずかしくなったメンフィスは妃の無邪気な寝顔を憮然として眺めた。
(待っていると申したに!)
その時、キャロルが寝返りをうち、メンフィスの胸の中に潜り込んできた。
メンフィスは嬉しさに真っ赤になってしっかりとキャロルを抱きしめた。「やる気」モードはしばらく続くのだが、メンフィスは「♪あし〜たがあ〜るぅさぁ」と呟いて寝ようと努力するのだった・・・。
ちーん・・・。


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