『 ☆☆ヒッタイト夫婦たまごクラブっ☆☆  』


「姫よ。体の具合はどうか?体を大切にいたせよ。よいな。」
王子はキャロルにさっぱりとした果汁の入った杯を渡してやりながら言った。
「これなら喉を通るであろう?」
「ええ・・・ありがとう。とっても美味しいわ」
「少し・・・抱きしめてもよいか?」
王子はそう断ってから大切に大切にキャロルを胸の中に抱き込んだ。初めての懐妊、もうだいぶお腹も目立ってきたキャロルは素直に王子に身を任せた。
「そなたが私の和子を産んでくれる。これ以上の喜びはないぞ。皆、そなたの出産を心待ちにしているのだ!楽しみだな!」
「でも・・・怖い・・・私、嫌」
「え?」
「怖いの。私が・・・お母さんになる。私みたいなのがちゃんと母親としてやっていけるのかしら?私みたいな人間をお母さんにして産まれてくるこの子が可哀想。私・・・私・・・自信がない」
これまで張りつめたものが一気に崩れたのだろう。キャロルはさめざめと泣いた。てっきりキャロルは懐妊を喜び、母となる日を待ちかねているだろうと決めてかかっていた王子は呆気にとられたが・・・。
(そうか。怖いか。そうだな、初めてのこととてな。・・・やはり身籠もらせるのを少し延ばしたほうが良かったのか?)
「姫・・・。可哀想に心細いのだな。しかし・・・私の子を身籠もってくれたそなたがそのようなことを言うとはがっかりだな。大丈夫、そなたは大丈夫だ。この私が選んだ姫だ。私がいるではないか。そなたは大丈夫だ」
王子はキャロルの背中を優しくさすってやった。
「お!」
「今・・・動いたわ!」
「ははは。和子もそなたを励ましているのだ。それとも・・・私とそなたが睦まじくしているのを嫉妬したか?」
王子の優しい声がキャロルをくつろがせる。キャロルは王子にぴったりと身を寄せた・・・。


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