『 ☆☆エジプト夫婦たまごクラブっ☆☆  』


「キャロル!キャロル!調子はどうだ?相変わらず食べられぬのか?ほら!何か食べたいものだけでも食せ!用意してきたのだ!」
メンフィスは得意そうに召使い達の捧げ持つ大小の盆を示した。そこに盛られた多種多様な食べ物。メンフィスは得意満面だった。でも。
「ご、ごめんなさい。メンフィス・・・私、今欲しくないの。食べ物の匂いって今はちょっと・・・ごめんなさい。下げて貰って良いかしら・・・?」
初めて身ごもったキャロルは今、つわりの真っ最中である。気分が悪くて何も食べられず、一日中うつらうつらしている。
「また・・・ダメか。仕方ないな。・・・下げよ!」
メンフィスは残念そうに言い、キャロルを抱きしめようとした。だが!
「ごめんなさい。メンフィス。あの・・・もう少し離れて・・・?」
そうキャロルは今、匂い全般がダメなのである。メンフィスの健康な肌の匂いにも拒絶反応を示してしまう。
メンフィスは可哀想なくらい萎れてしまった。最愛の妃が身ごもった。何かしてやりたくてたまらないのに肝心のキャロルはつわりで半病人。触れるどころかろくに近づけもせず、である。
「本当にごめんなさい。メンフィス。」
キャロルは素早くメンフィスに接吻した。息をつめた一瞬の口づけ。お詫びなのだろう。
メンフィスは真っ赤になった。久しぶりの接吻、であったのだ。
「私、あなたが大好きなのに側にいけないの。寂しいわ・・・。」
メンフィスは手を伸ばし、キャロルの手を握った。
「ふ、ただのつわりだ。ほら、こうして手を握っていよう。これなら大丈夫であろ
う・・・。」
メンフィスはそう言って優しく白い手に接吻するのだった・・・。


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