『 女の武器・Her CounterAttack要するに酒乱の底力 』

屈辱とあせりに耐えながら宴が終わるのを待っていたキャロルをヒッタイト王は唐突に捕らえた。
「のう、イズミル。ナイルの娘をわしにくれ。望みのものは何でもやろう。」
そういって杯を彼女に無理に含ませた。必死に抵抗するキャロルだがいくばくかの酒は彼女ののどを滑り落ちその華奢な体は倒れ臥した。
その傍ではヒッタイト王子がその意思のまったく無い女を妃にすると宣言しその体を抱き上げようとした。しかし
その瞬間すさまじい音がして王子の頬がはたかれた。神の娘は三白眼となり、先ほどまでのたおやかな様子は露ほども感じられない。
「ふざけるんじゃないわよ!さっきから勝手なことを!
女の意思や感情をなんだと思ってるのよ!?
自分に都合のいい妄想だけを私に押し付けないでよ!
女はみんな攫ってきて監禁して力で屈服させてから甘い言葉掛ければ諦めて自分を好きになるとでも思ってるの?
そんな大人になれない男なんて私は要らないわ!」
キャロルが完全に別モードに突入したことにまだ気づかないヒッタイト王はニヤつきながら近づいた。
「イズミル、神の娘はそなたのような子供に用はないそうだ。わしの愛を受けよ。子を産・・」
む゛びり
鈍い音がして王の鬚が半分無くなり頤は腫上がって血がにじんだ。
「あなたもよ!よくも不味い酒無理に飲ませてくれたわね!私はボルドーの100年物しか飲まないの!
おまけに汚い鬚近づけないでよ!」
罵声を浴びせる間にも鬚は毟られつづけ、完全脱毛状態になった。
呆然としていた臣下たちは王が仰向けに倒れるにいたってようやく取り押さえようと掴みかかったが足首をつかまれ、人間バットとかした王子に薙ぎ倒された。
事態はもう誰にも止められないかに見えたが突然王の体が空気を切り裂いた。
「王子に何をするの〜〜〜!」
王子妃候補のミラだった。
キャロルが暴れだしてすぐ必死に王子を助けようとしていた彼女は降りかかってきた酒を飲んでしまったのだ。
ヒッタイト最高権力者とその後継者を得物にした女の戦いは延々3時間続き、翌朝キャロルはすっかり神の娘の怒りに恐れをなした王妃を筆頭とする首脳一同に丁重に国境まで送り返された。
この後ヒッタイト王が女性恐怖症となり、浮気がやんで王妃が大変感謝したり、王子が衝撃で数年分の記憶を失っていたのはまったくい別の話である。

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