『 小ネタ・3 』 文武両道、智に優れ、武に優れ。 冷静沈着、内に炎の激しさを秘め。 王族として孤高の内に生きる。 令名高きヒッタイトの世継ぎの王子、それが自分。 それなのに今は・・・。 王子は傍らに眠る柔らかく小さな姫を暖かく見守りながら思う。 たった一人の小さな娘に身も心もからめ取られてしまった。 世継ぎの王子として、女は早い時期から与えられていた。 こういう知識も不可欠であるから。 つまらない醜聞で王家の尊厳を汚してはならぬから。 与えられたのは経験豊かで後腐れのなさそうな女達。 挑発したり、うぶなふりをしたり。媚びを含んだ目、目、目。 どんなこともさせてくれた。どんなこともしてくれた。 王子は女達の下心に軽蔑を感じながら、無感動に抱いた。 中には王子に本気になる愚かな女もいた。王子に縋って愛を囁く。 だが王子は冷然と女達をあしらうだけ。彼女らは単なる欲望のはけ口。 でも、この姫は違う。 高貴の生まれの不思議な姫。金色の髪、青い瞳。 優しい心根。毅然とした強さを内に秘め。 傲慢な王子はだいぶ年の離れた姫に一目で恋をした。 王子は知った。 あまりに愛しいと。あまりに心惹かれると。 どんなに人は不器用になってしまうかということを。 王子は恋を知らぬ粗暴な若者のように姫に愛を告白した。 甘やかな口説、荒々しい接吻、優しい言葉、強引な求愛。 自分でも自分の心を扱いかねて。恋の虜となって。 やっと自分の求愛に応えてくれた姫を王子は性急に抱いた。 小鳥のような姫は混乱にうち震え、気を失った。 あまりに手慣れた王子の愛撫ゆえに。 ただ白い脚の間の秘密の神殿に接吻を受けただけで。 快楽を知らぬ初な姫。快楽に耐えることもできぬ初な体。 おお、私の清らかな姫。これからは私が教えよう。 恋を。愛を。快楽を。愛とは言葉だけで語られるものではないのだ。 そなたに快楽を教え、深く求めるように教えるは私の喜び。私の誇り。 王子は体の火照りを持て余したまま、短い眠りに落ちた。 あといくつの夜と朝を重ねれば、私は愛しい娘を妻にできるのだろう? |