『 声 』

夜の帳の下りた寝台でイズミル王子は愛しい少女を抱き寄せる。
闇の中にほのかに浮かび上がる白い肌、鈍く光る黄金の髪がうねって
寝台の上に広がり、キャロルが身動きするたびにさらさらと動く様が艶かしい。
唇を寄せるだけで敏感に反応してぽうっと薔薇色に染まる肌はなんと王子の欲望を掻き立てることか。
口づけて少女を求めれば少女も戸惑いながら受け入れる。
華奢な体からは力が抜けて、柔らかく王子の体のなすがままになる。
幾千幾万の口づけをしても物足りない。
あまやかな吐息が、少し荒くなった息遣いに王子をそそる楚々としたうめき声が混じる。
「・・王子・・・待って・・・。私・・・おかしくなっちゃうわ・・・。」
快楽の小波に漂い始めた少女は、これから訪れるもっと大きくあまやかなうねりに少しの恐れをなしているようだ。
しっとりと汗ばんだ肌が、色づいて開こうとする唇が、もっとしてほしいと言外に訴えているのを王子は理解している。
「まだだ、そなたの声が聞きたい、もっと私を求める声が聞きたいのだ。」
肌を滑る優しくて繊細な指の動きに少女の唇から甘美なうめき声が漏れる。
白く柔らかい耳朶を噛む王子の耳には「意地悪ね・・・。」と吐息交じりの声音が届く。
「でも・・愛してるわ・・。」
その言葉に王子のはしばみ色の瞳が満足そうに細められた。

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