『 ジミー&キャロル  』


「ねえジミーったら、本当なの?」
キャロルはジミーに手を引かれながら階段を駆け昇った。
「アスワンで文字板が出てきてこっそり僕の部屋にもって帰ったんだ、キャロルが喜ぶと思ってさ。」
そう言いながらジミーはキャロルを自分の部屋に招き入れた。
「ねぇどこどこ?早く見せて!」
胸がわくわくするのをおさえきれないキャロルの様子。
「まあ!これなのね!すごいわ、ジミー。教授にも見せたの?」
頬を紅潮させて熱心に文字板を見入るキャロルの笑顔にジミーは我慢できずに背後からキャロルを抱きしめた。
「ジミー・・・。いきなり何するの?せっかくの文字板を落としちゃう・・。」
キャロルは不意に強引に顎を持ち上げられるのを感じるとすぐに唇にジミーの唇が重なった。
まだ少年っぽい身体が満身の力で華奢なキャロルの身体を抱き、ぎこちないキスが続いた。
「ずっとこうしたかったんだよ、キャロル」
ジミーはやり場のない高ぶりをキャロルの身体にぶつけるようにますますきつく抱きしめた。
「僕が好きなんだろう?」
「ええ・・、でも、急にこんなことするからびっくりして・・・。」
キャロルの胸の鼓動も早くなり身体が熱く火照っている。
(やだ、胸がドキドキしてて、落ち着かなくっちゃ。でもどうしたらいいの?)
混乱するキャロルにジミーは顔中にキスの雨を降らせた。
「ジミー、痛いの、力をゆるめて、ね?」
キャロルに言われてはっと気が付きジミーはきつく抱いていた腕を少し緩めた。
紅潮した顔で互いを見詰め合う2人・・・。
とその時階下から「ジミーやぁ、わしの石版がないんじゃあ」と祖父のブラウ教授の声が聞こえてきた。
その声で緊張も解け2人とも笑い出してしまった。
「ほら、よんでるわよ、ジミー、行きましょ!」とキャロルはジミーの背中を軽く押して部屋の外へと促した。
「・・・・。わかった!いこうか。」と身体の高ぶりのあえて隠すようにジミーは明るく笑い内心早く帰宅した祖父に怒りながらもキャロルと一緒に部屋を出た。
次のチャンスを伺いながら。


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