『 アルゴンの独白  』


豊満な肉体と睦み合ったアルゴン王は横で気だるげにしている女を冷めた目で見ていた。
ナイルの姫によって崩壊させららたアッシリアの城も見事に再見され
以前よりも盛大に諸外国にアッシリアの勢力を見せつけようと宴会が続く日々。
胸に焼き付いているのは、左腕を切り落とした宿敵エジプトのメンフィス王への憤怒、子供のように華奢なのに毒の花を飲むといったことすらして王である自分を拒絶し英知を持って我が城を崩壊に導いたナイルの姫に対する、怒りと執着。
(俺の好みとしてはこのように豊満で後腐れなく楽しめる女のはずなのにな、子供のような体つきなぞつまらんと思うのだが、どうにも気になって仕方がない。確かに勇気もあって頑固だがヒッタイトのイズミル王子はそれはそれは熱愛していると聞く。エジプトからナイルの姫の輿入れが決まると一目も憚らぬ溺愛ぶりだとか・・・。まあ、一人くらいあのような女がいたほうが後宮にもアシが向いていたやもしれぬ、惜しいことをしたな。)
「アルゴン王様、何を考えですの?私といる時には他のことなんて考えないで下さいまし、あなた様に仕えする事だけが喜びですのに・・・。」
艶っぽくアルゴン王にしな垂れかかりながら拗ねてみせる女。
何と言う名前なのかも良く思い出してはいない、ただしと寝を共にするだけの女。
「そなたとは口を聞かぬでも身体で話ができるからな、うん?愛いやつよ。」
右手で張り出した腰を撫でさすりながら、視線を女に向ける。
「さあ、我を悦ばせてみよ、どうだ?」
その言葉で女は手馴れた愛の技巧で王に仕え始めた。
身体は燃えているのに頭の芯だけは妙に冴え渡る夜。
(そのうち我が手にナイルの姫をまた手に入れてこの屈辱をはらさねばな、まっておれよ、姫よ。)
アッシリアの夜が更けて行く。



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