『 甘い誘い 』

「何事か?」
一日の政務を終えたイズミル王子は愛しい妃であるキャロルの待つ寝所へと帰ってきた。
湯浴みをし終えた王子は寝台の横にある台の上にある、小さな壷に気がついた。
煌く黄金の髪を梳いていたキャロルは王子の声に、手を止めた。
「・・その壷のことかしら?王子」
「いや、そなたが具合でも悪くしたのかと思ったのだ。」
小さな壷にはなにやら薬が入っているように見えた。
キャロルのことなら細やかなことにも気のつく王子に、侍る女達も声を潜めて
仲むつまじいその様子をくすくすと笑う。
「唇が少し荒れてしまったの、ムーラがそういう時には蜂蜜を塗るといいって持ってきてくれたのよ。」
そう答えるキャロルの唇は確かにいつもよりも光沢があり、紅を塗っているわけではないが
艶やかなその光沢は王子を誘っているようだった。
「もうよい、下がれ」と王子は侍女らに言うと、静に波が引くように退出していった。
「・・・少し疲れたゆえ、私もその蜂蜜を貰おう」
王子が寝台の上のキャロルに並んで座ると、がっちりした腕がキャロルを巻き込み抱きしめた。
そして甘い唇を貪った。
驚いたキャロルは体を一瞬だけ硬直させたが、直に力を抜き、王子に応えた。
「・・ふふ、甘いな。」
ハシバミ色の目を細め、満足げなイズミル王子と王子の腕の中で頬を紅潮させるキャロル。
「・・・折角ぬったのに・・・。また塗りなおさなきゃ・・・。」
「私がしよう、だがその前に存分に味あわせてもらわぬとな。」
王子は手馴れた仕草でキャロルの纏っている夜着を滑らせていく。

「きゃっ、冷たい!」とキャロルは小さな悲鳴をあげた。
自分の胸元に急にひんやりしたどろりとした液体がかかったのだ。
「動いてはならぬ」
イズミル王子がキャロルの白い胸元の金色の液体に唇を寄せる。
王子の舌がキャロルの肌を掠め、蜂蜜を掬い取っていく。
柔らかな胸の曲線をたどりながら、時々その頂きを悪戯するように嬲っていくちに、
キャロルの白い肌がぽっと薄薔薇色に染まり、唇からは悦びの戦きが零れ落ちた。
「動くと零れ落ちるゆえ、おとなしくいたさぬか。」
イズミル王子は意地悪そうにクスリと笑い、キャロルの頬を恥ずかしさで更に紅潮させる。
「・・・ひどいわ、唇に塗ってくれるとばかり思ってたのに・・・。」
「そなたが私を誘ったのだろう?賢きそなたのことだ、知らぬとは言わせぬ。」
首筋に唇を寄せてくるイズミル王子の温もりを感じながら、キャロルは思い返してみた。
(・・そうだわ、蜂蜜は滋養強壮の薬でもあったけど、精力がつくと言われてたんだわ!
 だから王子は・・・。)
イズミル王子の手はキャロルの体の線をなぞり、唇は白い肌に転々と愛した跡を残していく。
「次はどこで味あわせてもらおうか?姫・・・。」
キャロルの耳には王子の言葉は入ってこなかった・・・。

王子の舌と唇はキャロルの白い肌に戯れを繰り返し、薔薇色の花を咲かせていった。
王子はキャロルの脚を無造作に開かせると、そのまま肩に担ぎ上げた。
「いやっ、恥ずかしいの。やめて。見ないで」
「だめだ」
王子は潤んで震える薔薇の花を舌先で弄ぶように味わった。ぴったりと閉じ合わさっていた花弁はじきに開き、隠されていた珊瑚色の真珠も勃ちあがって震えた。
王子は慰めるように珊瑚珠を吸い上げながら、キャロルの胎内に続く狭い泉に指を差し入れた。キャロルが恥ずかしがって腰を捻れば、内部の襞は妖しく濡れ王子にからみつく。
やがて王子の指は2本になり、あまつさえ中で大きく逆Vの字に開かれた。声にならない喜悦と羞恥の悲鳴をあげるキャロル。その拡げられた内部に王子は壷の中の蜜を流し込んだ。
「ああっ!」
痺れるような痛いような焼け付くような・・・・・快楽。苦痛。喜悦。羞恥。
「私に味あわせてくれ。甘い蜜を。そなたを」
王子は濡れ溢れかえる泉に口をつけ、甘く無尽に湧き出す蜜を吸った。

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