『 愛の名の下に・・・無謀! 』

「! メンフィスったら!どうしたの?こんな時間に。明日は・・・」
「申すなっ!」
メンフィスは無遠慮にキャロルの部屋に入ってくると、どさりと籐の寝台に身を横たえた。

20世紀の娘キャロルは古代エジプトの女王アイシスに、新王国時代のエジプトに引き込まれてしまった。弟メンフィスの延命長寿のまじないを成就するために「この世界に属さぬ存在」としてのキャロルが呪物として求められたのだ。
アイシスは愛しい弟であり最愛の夫でもあるメンフィスの命を救い、キャロルを大切な人質として自分の身近で召し使うことにした。
キャロルは高級侍女としてアイシスに大切にされたが、結局は体(てい)の良い人質、囚人であった。彼女の存在がメンフィスの命の保証でもあるわけだから。
ところが皮肉なことにメンフィスはキャロルに恋をして、キャロルもまたメンフィスに恋をするようになった。相思相愛となった二人は、アイシスの目を盗んで密やかに想いあったというわけだが・・・。

「明日、私はファラオとして姉上を娶らねばならぬ。でもその前に・・・本当に愛しく思う女を妻に娶りたいのだ。お願いだ、キャロル。私の妻になってくれ。形式や典礼で娶るのではない、私が心から愛し望む妻として、私のものになってくれ!」
メンフィスの力はあまりに強く、その愛を拒絶するにはキャロルはあまりに彼を愛しすぎていた。
キャロルはその身の中にメンフィスを受け入れ、妻となったのである・・・。

「あ・・・衛兵交代の太鼓の音・・・」
夜明け前の一番暗い時間。キャロルはメンフィスの腕の中で低く呟いた。
「メンフィス、もう行ってくれなくては。あなたは今日、アイシスと・・・」
「行きたくない。ああ、私が只人であったならば、そなたと朝寝を楽しみ新婚の幸せを満喫できたであろうに」
メンフィスはかき口説き、キャロルはまた新たな涙を流した。

エジプトのファラオ メンフィスは異母姉アイシスを正妃とした。幸せに酔いしれるアイシスが自らの哀しい立場に気づくのはまだ先のこと。
キャロルは自らの罪深さにおののきながらもメンフィスを愛し、やがてその息子を身ごもることになる・・・・。

とりあえず終わり

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