『☆悪魔の囁き☆』


「王子・・・」
初めて結ばれて2日目の夜。キャロルは潤んだ瞳で自分を女にした男性を見上げた。身体の芯は未だ鈍く痛んでいるのに、どこか切なく火照っている。
「姫・・・」
王子はキャロルを膝の中に抱いて顔をのぞき込んだ。肌を重ねることを初めて教えられた乙女が控えめに自分を求めている・・・と思うとどうしようもなく体が燃えた。
(散々、私を苦しめた愛しいそなた。今度はそなたが切なく狂おしい火照りを知る番)
王子はことさら優しくキャロルの身体をまさぐった。
「痛むのではないか?昨夜は・・・ずいぶん痛い思いをさせたな。血があんなに出て。少し様子を見てやろう」
王子はキャロルを寝台に座らせ、脚を拡げさせると奥を改めた。すでにそこは火照って充血して切なく潤んで蠢いている。
(これはこれは・・・何と美味そうなことよ。昨日の今日だというのにこんなになって)
王子は散々、弄り回してからキャロルを解放してやった。キャロルははぁはぁと荒い息を吐いて王子を見つめている。
(欲しがっている・・・)
にやりと王子は笑って言った。
「さぁ・・・そなたはまだ慣れておらぬ。私が触れるだけでこんなに恐ろしげに震えて涙して。今宵は安心して休め。そなたが嫌なことは何もせぬ」
「あの・・・」
「ふふっ、触らぬ方が良かったかな・・・?ひょっとして気持ちよかったのかな?だとしたら嬉しいが。好きな女を悦ばせるのは男の愉しみゆえ」
「え?」
「心地よい箇所というのがあるのだ・・・」
王子は腕枕にキャロルを寝かしてやり、敏感な耳朶に自分の吐息がかかるような姿勢で寝入るのだった・・・。


次の日もその次の日も王子はキャロルに触れなかった。
(王子に・・・触って欲しい・・・)
王子を待つ一人きりの寝室でキャロルは切ない溜め息をついた。
(はしたないのは分かっている。恥ずかしいことだって知ってるわ。でも・・・あの王子に触れられる感触。王子で私がいっぱいになる感触・・・)
ぞくり、とした感触が背筋を這い登り、脚の間がじんわりと熱くなった。
(王子が触れると・・・)
キャロルの手はいつしか下に降り、寝間着の打ち合わせの間から脚の間を探る。不器用に指を差し入れ、王子が触れた箇所を探す・・・。
(嫌だ・・・何?こんなに濡れて・・・?)
でも。
「ひっ・・・?!」
不意に指先がある箇所に触れ、キャロルは電撃でも喰らったように仰け反った。初めての感触。
「あ・・・ああ・・・?」
キャロルは両腕で自分を抱きしめるようにして寝台に倒れ込んだ。
(何?今のは?あ・・・こんなの王子が触ったときと同じ・・・!)

初めて自分で登り詰めたキャロルを垂れ幕の後ろから凝視する王子の好色な目。がくがくと震えて初めての快感に驚く娘に、男は唐突に声をかけた。
「どうした?姫?そのように震えて。具合でも悪いのか?」
王子はキャロルの手を取って抱き起こした。
「おや・・・?甘い匂い・・・蜜の匂い・・・?姫、そなた一人で・・・?」
キャロルは真っ赤になって逃げようとするが王子はますます腕に力をこめて恥じらい惑乱するキャロルを抱きしめるのだった・・・。
「私を待てぬ娘は仕置きをせねばならぬぞ・・・」

劇終

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