合同合宿なんて、神奈川のメンバーが集まったら修学旅行みたいになっちまうから
やめようと言ったのに・・・・。
海南大の怪物・牧紳一は、予想していた状態に、ほうっと溜め息をついた。
インハイも終わり、背中の治療で練習から離れている花道を除いたメンバーで、
夏の終わりに合同合宿をしようと言い出したのは仙道だった。
それに牧は猛反対したのだが、宮城が賛成してしまい、湘北から宮城・三井・流川、
翔陽から藤真・花形・長谷川、海南から牧・神・清田・武藤・高砂、そして陵南からは
仙道・越野・福田の計14人での合宿が、3校の中で一番敷地面積の大きい陵南高校で
行われる事となったのだが・・・。
初日からこの合宿の企画者は遅刻、湘北と海南の1年コンビはずっとケンカ、翔陽の4番は
それらを上手くしきれない牧に嫌味を言ってきて、陵南のふるふる星人は神奈川得点王にずっと
ひっついていて、練習どころではなかった。
ほう・・・と、とびきり大きい、今日何度目かの溜め息をつく。
だが、溜め息をつくだけでは何も変わらない。
こういう時に限って、監督とかがいないのがネックである。
三井や宮城は無視して自分の練習に入っているが、牧はどうしてもこういうのを放っておけない性格の持ち主だった。
でも、彼にはどうしようもなかった。
「牧サン」
ぽんと肩を叩かれて、思わず叩いた本人をにらみつける。
「仙道・・・」
「あはははは。すいません牧サン。まさかこんなコトになるだなんて思ってなくて・・・」
陵南の新キャプテンはのんきにあははははと笑っている。
「・・・笑い事じゃね〜・・・。どうすんだよ。なんのために集まったんだか・・・」
再びふう・・・と溜め息をついた牧の肩に両手を置き、仙道は牧の耳元で
「お詫びに今夜はいっぱい気持ち良くさせてあげるから」
なんて言ってのけるのだ。
「・・・センドウクン・・・。そんなコト今俺に言って何の役にたつんだい?」
「・・・ええ・・??機嫌が直るかなぁ〜・・・と」
「治るわけねーだろうがっ!この大馬鹿野郎!!」
大きなたんこぶが仙道の頭に出来るのを見届ける前に、牧は三井や宮城達に混ざろうと反対側のコートに
入っていく。
「ちくしょう。何が機嫌が直るかなだ。死に腐れ!」
そう言って、その前に仙道が言った言葉を瞬時に思い出し、ボッと真っ赤になる。
『お詫びに今夜はいっぱい気持ち良くさせてあげるから』
そんなコト言われて俺の機嫌が直るだと?!あいつはふざけてんのか?!
もう一回殴りに行こうと思ったけど三井の前に立ってしまっていたから必死に堪えた。
「牧も大変だな」
「へ?何がだ?」
「色々と」
三井の言った意味が全然理解できなくて、牧は再度質問したが三井は答えてくれなかった。
とりあえず、ボールをもってシュート練習を開始する。
合宿1日目、真面目に練習に打ちこんだのは、牧・宮城・三井・高砂・神・武藤・そして越野だけだった。
(翔陽は藤真が途中から監督の代わりをやり始めて校庭を走らされていた)
ギャ−ギャ−うるさい猿共は風呂場で散々騒いだ後出ていった。
仲が良いんだか悪いんだか。
まあ、本当はものすごく仲が良いのは牧でも知っている。
牧はやっと静かになった風呂の湯船に鼻まで浸かり、きょろきょろとあたりを見まわした。
学校の敷地が異様に広いのも驚きだったが、学校にこんなに広い風呂があるとは思っていなかった。
どこかの旅館並の広さに圧巻する。海南にもこんな設備が欲しいな・・・と思ったその時だった。
「へっくしょい」
盛大なくしゃみと共に誰かが入ってきた。
「誰だー??」
顔を見ずに声だけかけると、タカタカと駆けてくるような音がする。
「牧サンだ〜」
そいつはいきなり湯船に飛び込んで、牧に波を被せた。
「げほっ・・・な、何すんだ!」
頭を振って殴ろうとした相手を見て、牧は思わず数センチ飛びあがった。
「せ、仙道!!」
「牧サン一人なんですか??」
ニコニコと仙道は嬉しそうに辺りを見まわしている。
つんつんと立っている髪が水に濡れて落ちてきている。
絶対的な身の危険を感じ、牧は仙道から遠ざかるように湯船から出ようとした。
が、そんな牧の脚を掴んで、仙道は無理やり自分の胸元に牧を引きずりこんだ。
「な、なにすんだ、離せ、俺は出る!」
「いいじゃん、けちけちしないでもう少し一緒に入っていようよ。なにかの縁だし♪」
そう言うと、仙道は牧の背中に腕を回し、浴室のドアの死角になるところのタイルのほうにズリズリと
寄りながら牧の唇を吸った。
ギョッとして暴れようとする牧をタイルに押しつけ、牧が背中に与えられた冷たさにピクンと揺れる。
一瞬緩んだ牧の隙を仙道は見逃さなかった。
両手で牧の頭を抱え込み、より深く口付ける。
奥に隠れる牧の舌を誘い出し、絡ませる。
すると牧の反抗は途端になくなり、腕は仙道の肩に添えられるだけの存在となってしまう。
仙道は更に体を密着させて、己の熱を牧に伝える。
こくん、と牧の喉が鳴るのを聞いて、仙道はやっと牧を解放する。
「は・・・ふう・・・」
刺激の強さに、牧は呼吸を整えるのに精一杯だった。
牧はキスに弱い。
それが仙道だけが知る牧の弱点。
「牧サン可愛い」
目を閉じて、まだトロンとしている牧を抱きしめた。
身体が動かない。とろとろしていて、上手く動いてくれない。
故に、仙道のこの腕を振り払えない。
そんな彼に、仙道は図に乗りまくるのだ。
「牧サン、ここに座って」
仙道は牧を浴槽の淵に座らせると、腕で牧の両脚を大きく広げた。
「さっき、気持ち良くしてあげるって言ったよね?」
「・・・あ・・・?」
牧が仙道の言葉を理解する前に、仙道は牧のすでに勃ち上がりかけているそれに唇を寄せた。
「ああっ・・・やめろ・・・っ」
根元からしっかりと咥え込み、唇で優しく甘噛みすると、それは質量を増す。
本人の意思とは反対に、牧の身体はどんどん熱を持ち始める。
こんなつもりじゃなかったのに。
そんな後悔が頭から飛んでいってしまうくらい濃厚な行為に牧は悲鳴を上げる。
「せんど・・っああ、やめてくれ・・・っ・・、」
懇願を上げるたびに、仙道は意地悪く先端を舌先でくすぐる。時には爪を立てて、牧が登りつめるのを
防ごうとする。
仙道の髪に牧の指が絡む。
「・・・ふ・・・あ・・・ぅ・・・」
牧の目尻に涙が溜まってきたのを見た仙道は、最後の仕上げと言わんばかりにそれをきつく吸い上げる。
「あああ―――!!」
鋭い悲鳴と共に吐き出された精液をひとつ残らず飲み干す。
途端に牧が前に倒れそうになる。
それを受けとめて、仙道は自分の膝に乗せて湯船につからす。
「・・・牧サン、ここお風呂場なんだから、そんなに大きな声出したら響いて聞こえちゃうでしょう?」
「・・・・出させたのは・・・、お前だ・・・」
力なく牧は答える。
あまり長風呂は好きではないのに、仙道にこんなことをされてしまって、牧は羞恥心でいっぱいだった。
仙道を引き剥がしたいのに身体がだるくて動かすのも面倒だ。
それになんだか意識もぼやけてきたみたいだ。
仙道は、自分の肩に何か暖かいものが垂れているような気がして肩に手をやる。
そこには、べっとりと血がついていた。
「ま、牧サン!!」
幸い夕食も食べ終えて眠るだけの時間帯だったので、仙道は牧を裸のまま抱え自分で牧と2人だけになるように
しくんだ部屋につれてきた。
「・・・風呂入ってのぼせて鼻血出すなんて久しぶりだぞ・・・」
「・・・ゴメンナサイ・・・」
「ホントにわかってるんだか・・・」
氷の束の入っているビニール袋を頭に置いた姿で横になっている牧にただただ仙道は頭を下げ続けた。
前鼻血出したときも、確か同じパターンだったような気がする。
「ホントにわかってますよ。もう二度とお風呂場でエッチなコトはしません」
「・・・わかってね〜じゃね〜か・・・」
「・・・ゴメンナサイ・・・・、」
ちょっと図に乗りすぎた・・・と反省しているのが一発で判る彼の落ち込み振りに、牧もなんだかんだ言いながら
自分はとことんコイツに甘いな・・・と思った。
午後の練習だってはじめのころは皆と遊びまくってたけど、最後のほうは結局皆をうまくまとめあげていたし。
・・・まあ、ちょっとくらい・・・ご褒美でもあげようかな・・・なんて甘いことを考えている牧は誰のせいで今この
状態になっているかというのを忘れかけていた。
氷をどけて、少し頭を振ってみる。あまり痛くはない。
よし・・・と決心すると、牧は仙道にのしかかった。
「牧サン?」
「・・・珍しく真面目に部活やってたご褒美だ」
ごそごそと仙道の下半身の服を弄くり、ジッパーをおろす。
「ま、牧サン!」
自分がさっき風呂場でされたように、優しく根元まで咥えこみ、唾液を染み込ませるように舐めあげる。
「・・・・くっ・・・」
仙道が自分の舌技に感じているのが少し嬉しくなって、牧はなおも咥え込もうとのしかかりなおそうとした時だった。
「・・・俺もしたい・・・」
そう言った仙道に床に寝かされ仙道がその上に反対側に乗った。
仙道の性器が目の前に来て口に含み、舐めまわす。
すると仙道も牧の下肢に手を伸ばし、素早い動きで衣服を剥ぎ取ってしまうと、風呂場で弄くった控えめに勃起しかけて
いるそれに舌を這わす。
牧の愛撫より仙道の愛撫のほうが数段上で、牧は何度も口を外しそうになってしまう。
だが仙道を良くしようと必死に仙道の真似をする。
口腔で仙道が膨らんでいくのがわかる。
仙道は仙道で、緩やかな双丘の谷間の中心にひっそりとある小さな蕾に目がいった。
指を湿らせ、そこを2本の指で突つく。
久しぶりの感触に、牧に不安がよぎる。
そんなのお構いなしに、仙道はそこに2本の指を根元まで一気に埋めこんだ。
「ああっ・・・・」
小さな悲鳴があがり、仙道の濡れたものが空気に触れる。
牧のそこは指をきつく絞めつけてくる。
クイッと動かしてみると、仙道の口の中に独特の味のする精液が広がる。
仙道はそれへの愛撫を中断し、蕾への愛撫を本格的にはじめた。
シックスナインの形を崩し、牧を4つんばいにして、差し出された双丘に顔を埋める。
蕾に舌を差しこみ、内部から舐め上げる。
牧の口から、普段は絶対に聞くことの出来ない、高く掠れた声が出る。
自然と牧の腰が前後に揺れ、蕾が収縮をし始めるまで、仙道はクチュクチュと音を立てながらそこを刺激し続けた。
舌を外し、その輪郭を舌で追いながら、今度は3本の指を束ねて埋め込む。
牧の肉壁は熱く絡み付き、指を離すまいと絞めつけてくる。
ゆっくりと、抜き差しを繰り返す。
牧の口からは始め痛みをかみ殺すような声があがっていたが、次第に嬌声と呼べるものがまじってきた。
快感から幾度となく涙が頬を濡らす。
仙道を見上げ、絶頂が近いことを伝える。
仙道は指をずるずると抜くと、腰を高く上げ、指の何倍もの質量の自身を蕾に押しこんだ。
「く、ああっあ・・・」
亀頭が入ればあとはなんとか入っていく。
なんとか全部埋めこんで、仙道が牧の頬を流れる涙を手で拭う。
「大丈夫・・・?」
「・・・大丈夫・・・」
「・・・動いていい・・・??」
「・・・・・・・・」
牧の返事はない。
それを承諾と考え、仙道はゆっくりと腰を使い出す。
途端、牧の喘ぎ声が、仙道の鼓膜を振るわせる。
いつまでも、牧をこの腕に抱いていたい。
だけれども、牧を表情を見ながらでは、仙道の絶頂も近い。
最奥の柔らかいところを思いきり深く突くと、牧は悲鳴を上げて、仙道をきつく絞めつけた。
「くッ・・・」
新しい命を育む種が牧に注がれる。
・・・このまま牧の中で新しい命が生まれればいいのに・・・。
放つ瞬間、仙道はいつもそのことを考えていた。
「牧サン・・・?」
いつもならべとべとして気持ち悪いから、とシャワーでも浴びてくるはずの牧がいつまでたってもベッドから
出ていかないのが気になって、うつぶせになっている牧を仰向けにする。
聞こえるのは、少々乱れている呼吸。
達したあと、激しい睡魔が牧を襲ったのだ。
明日からまだ6日間も合宿は行われる。
いくらご褒美と言われたからって、流石に犯りすぎたかな〜と反省するが、どうせ明日もやってしまうんだろうなと
思いながら、仙道は愛しい小麦色の恋人を抱いて、眠りについた。
end