「 君想曲 」
「あれ?」
「あ」
「あ…ゴメン邪魔した?」
「いいよ、今からだったし」
「そう?」
「うん」
彼は、同じクラスの ( つっても棟が違うから意味無いんだけど。 ) 笠井くんで
私も、彼もクラス委員をしているからよく話すようになった。
好きな事…趣味の事…部活のこと……たくさん話した。
そうしてどんどん、仲良くなった。
私の部活は弱小吹奏楽部。 彼の部活は人気サッカー部。
天地の差だ、というと彼は笑って。
「今度、ピアノ貸してよ。 僕ピアノ弾くの好きだから。」
そう言った。
それから、音楽室の鍵を取りに来る為だけにちょくちょく女子棟に来る見かねた私は彼に鍵を渡した。
「はい。」
「コレ……は?」
「音楽室の鍵、笠井くんが来ると女の子が卒倒しちゃうのよ」 大変でしょ?
「……君は……」
「ん?」
「……いや、ありがとう。」
「いえいえ、じゃあ、次移動教室あるから。 ばいばい、笠井くん。」
それからと言うもの、部長の私より先に笠井くんがいることは度々あって、
彼のピアノが鳴り終わるまで、教室の外で待つ事もしばしばある。
「…キレイだね」
「え?」
「笠井くんの指ってすごく繊細だなーっと思って」
「そう? さんの手もキレイだよ」
ホラ、そう言って私の手をとる。
自分の頬が熱い。
私の手を見ていた笠井くんは、ふいに手の甲を近づけ、キスをした。
「…え、えぇ…えー!?」
「何?」
不敵に笑う猫目。
まるでおとぎ話に出てくる、王子様がお姫様するようにキス、
女の子の憧れ――?
「今の……」
「今から、曲演奏するから聴いててよ」
「え、何それ…かさい…」
「聴いててよ? 」
不意に呼ばれた名前に、ドキドキと心臓が鳴る。
胸が詰まって、なんだか泣きそう。
ポロロロン、とピアノを奏でる指先は繊細でキレイで―――。
曲も優しい、甘い……
「さん………?」
「え?」
「何で泣いてるの?」
頬を伝ったのは、甘い、しょっぱい 涙の味。
「え……アレ…?」
「…………っ」
気付けば、抱きしめられてた。
笠井くんの体温が心地いい。
「……さん」
「な、に……?」
「さっきの曲、誰の為に弾いたかわかる?」
「…………?」
「キミの為だよ」
「え…?」
「好きだよ、」
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うーわー、珍しくまともだ!
しかしサイト用に初めて書き上げた夢が笠井くんってどうよ私……。_| ̄|○
あぁ、笠井くんの口調がわからない……
もっと、精進せねば……。
2005/04/10 駄作いづ