黙して語らないモーフィアス

 その姿は何処と無く「逮捕されたとたんかっこ悪く見え出した教祖様」を思わせる。
 終盤ではさらにひどくなる。議会のお偉いさんを前にした大事なシーンで彼は、泰然と黙って目で語るでもなく、「リローデッド」の時のように大見得を切るでもなく、何か言おうとしているようにモゴモゴしてから黙る。

 モーフィアスはただの狂信者で、THE ONE伝説が無くなれば立ってもいられない奴だったのだろうか。前2作では、 彼はそんなに馬鹿のように描かれていたろうか?

 結論から言うと、わたしは彼を馬鹿だとは思っていない。
 本当にTHE ONE伝説だけを頼りにする奴ならば、<ネオ>に全て任せてでーんとしていていい筈だ、地位だって高いのだし。彼がムリして現場に出たのはなぜか。自らモンダイに立ち向かいたいという、強い信念がそうさせた筈だ。
 信念は理屈を超越する事がある。奇跡を信じねばならないときがある。ゴーストはそんなようなことを言っていた。モーフィアスも同じ気持ちでやっていた筈だ。
 第1作でアンダーソン君が倒れた時も、ばかに狼狽したりはしなかった。

 リローデッドにおける「もし予言が真実なら」以下の言葉は、THE ONE伝説を盲信していたから出たのではない。分からない事なら、諦める選択を易々としてはいけないという信念から発したコメントだ。そう見えた。

 まさかとは思うが、終盤のモゴモゴするモーフィアスは、元々何かマシな事を喋っていたフィルムを切ったものではないのか?!

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