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[杏or椋]


「私、岡崎くんの事が・・・好き・・・です」
藤林から中庭にくるように言われ、いきなり告白された。
「え・・・っと」
いきなりすぎたために俺の思考は混乱するばかり。
そこへ。
「ちょーーーーっと待ったーーー!!!!」
茂みから(つか、見てたのか)杏が飛び出してきた。
俺はこれでこの告白はうやむやになるだろうと安心していた。
そう、杏のその言葉を聞くまでは・・・。
「私だって・・・朋也の事、好きなんだからー!!!」
俺の安息の日々は終わった。

人が集まりだしたので放課後の誰もいない教室へ俺たちは移動した。
「絶対にお姉ちゃんには岡崎くんを渡さない。私の方が先に告白したんだもん」
「そんなこと関係ないわ。第一、そういう事をいうなら私の方が先に朋也と出会ってるもの」
これは・・・俗にいう修羅場というものなのだろうか・・・。
とりあえず冷静に考えてみよう。
藤林は俺の事が好きで、杏も俺の事が好きということか。
うむ、理解できた。
って、なんか違うような・・・。
「まぁまぁ、二人とも落ち着いて」
二人をたしなめるように俺は声をかけた。

が、しかし。
「あんたは黙ってなさい!これは私と椋の問題なんだから!!」
「そうです!少し黙っててください!!」
俺の意見は無視か・・・。
「こうなったら椋!朋也をかけて勝負よ!!」
などと杏はとんでもないことを平気で口走る。
「え?で、でも岡崎くんを賞品みたいにするのはよくないと思う」
うむ、まさにその通りだ。
「ふ〜ん、椋ったら逃げるんだ」
「え?」
「そうよね〜。負けるのが怖いからそういう事いうのよね〜。それじゃ、朋也は私のものかな」
さすがに温厚な椋でもかなりご立腹な様子だった。
「そ、そんなふざけたこと許すと思いますか!?わかりました、勝負でも何でも受けます!!」

結局、俺は賞品になるみたいだ。
というより俺には拒否権はないのか・・・。
いや、拒否したら杏に殺されるな・・・。
生き地獄だ。
「3本勝負で2本先取した方が勝ち、これでどう?」
「望むところです」
こうして「岡崎朋也争奪戦」が開始された。
当の本人の意見は尊重されずに・・・。

争奪戦の内容は『互いに得意なもので勝負』ことだった。
一回戦目は杏が得意とする料理対決だった。
いつもお弁当を作っている杏に対して、食べてる方が多い椋には不利というのが歴然である。
結局、この勝負の勝者は杏だった。
「ふふん、まぁ、当然の結果よね〜」
「ま、まだ一回負けただけです!次で挽回してみます!!」
ちなみに俺はというと椋の料理を杏から無理やり食わされたお陰で少々お花畑に旅立っていた。

二回戦目は藤林が得意と言い張る50M走。
あの華奢な体で本当に得意なのか?ましてや、杏より速いのだろうか・・・?
そして・・・。
藤林の方が先にゴールした。
「・・・杏より足が速いって意外だな・・・」
「くっ、そういえばあの子足だけは早かったっけ・・・」
「えへへ〜、これで一勝一敗ですね〜」
満面の笑顔で藤林は駆け寄ってきた。
「次の勝負で決まるわ」
「最後に勝つのはお姉ちゃんじゃないですよ」
お互い、目から火花を散らしていた。

最後の勝負はどれだけ俺を好きか伝えるっていうものらしい。
最終的には俺が決めるようになっているのだが、俺はどちらかを選べるのだろうか。
「それじゃ私からいくわ」
杏は一歩前にでて少し考えてからしゃべり始めた。
「私は初めて朋也に会った時は『馬鹿で変なやつ』としか考えてなかった」
「ちょっと待て!お前んなこと思ってたのか!!」
「初めて会ったときっていってるでしょ!水ささないで!!」
釈然としないがここは黙って聞いておこう。
「でも、あんたと絡み合ってるうちに私はあんたにだけ本当の自分をさらけ出してることに気づいたの」
杏は少し顔を赤くしていた。
「そして、椋が告白しているのを見て胸が苦しくなった。その時に私は朋也が好きだって事に気づいた」
それがさっきの事態って事か。
杏のやつ珍しくしおらしくなってるな・・・。
なんか・・・可愛い?

「そ、それじゃ次、椋の番ね」
恥ずかしいのか、そそくさと藤林と入れ替わった。
「え、えっとそれではいきます」
藤林はこれ以上ないっていうくらい顔をしながらしゃべり始めた。
「私はお姉ちゃんに毎日のように岡崎くんの話を聞いていました。そしていつからか『どんな人なのだろう?会ってみたいな』って思うようになっていました」
目を閉じてゆっくりと語る。
「初めて岡崎くんに会った時、怖い感じはしたけどとても優しい人でした。それ以来、憧れの人から好きな人に変わりました」
そこまでいうと藤林はうつむいてしまった。
可愛い・・・可愛すぎる・・・。

「さて、朋也。どっちの方が気持ちが上だった?」
「はっきりと答えてください」
俺はこの二人のうちの一人を選べるのか?
どちらか一人を選べば一方の気持ちを裏切ることになるのではないのか?
俺は・・・。
「二人の気持ちは本当に嬉しい。でも、俺にはどちらか一方を選ぶなんてできない」
「「・・・」」
「こんな中途半端な気持ちでどちらかと付き合うのは二人にとても失礼だと思う。だから・・・」
「あの!!」
二人と付き合えない、そういいかけて唐突に藤林が割ってきた。
「あの・・・どちらとも選べないっていいましたよね?それはどっちも好きだということですか?」
などと聞いてくる。
「好きか?と聞かれれば俺は二人とも好き、だと思う。だけど俺には選ぶなんてそんなこと・・・」
「だったら・・・お姉ちゃんと私を・・・同じだけ愛してくれませんか?」
・・・は?
「私、お姉ちゃんと喧嘩なんてしたくないです。それにお姉ちゃんだって岡崎くんの事が本当に好きなんだっていうのもさっきの勝負でわかりました。だから・・・」
「う〜ん、それもそうね。私も椋とは喧嘩なんてしたくないし、こんなことで姉妹愛が壊れちゃったら嫌だもんねー」

・・・はい?
「私もその意見に賛成。朋也もそれでいいわよね?」
「ちょ、ちょちょちょっとまて。お前たちはそれでいいのか!それはいわゆる二股というものだぞ!?」
事態が飲み込めない俺は慌てるしかなかった。
「大丈夫よ、私たちがいいっていってるんだし。それに私たち一卵性双生児なんだから元はひとつでしょ?だから問題ないって」
「そうですよ。でも私とお姉ちゃん以外の女の人追いかけたら許しませんからね」
少し気分を落ち着ける。
二人がいいっていうんだから俺はそれに従おう。
むしろ、従わないと俺の命が危ない・・・。
まぁ、世間ではめちゃくちゃいわれるんだろうな、俺・・・。
「わかった。これから二人とも平等に愛していくよ」
「うん、よろしくね」
「はい、よろしくお願いします」
こうして、俺は二人と付き合い始めた。

数年後。
俺は、電工の仕事に就き、親父と縁を切るためにアパートを借りた。
ちなみに二人はというと杏は保育士、椋は看護士になった。
そして、今は三人で暮らしている。
さすがに両親からは反対されたらしかったが、二人とも家を飛び出してきたらしい。
なんて行動力のある姉妹なんだろうと俺は感心すら覚えた
「しかし、二人とも、本当にいいのか?」
「何いってんのよ。私たちはもう朋也がいない生活なんて考えられないわよ」
「そうですよ、朋也くん。私たちは朋也くんがいてくれればそれでいいんです」
二人の意思はかなり強くこれ以上何をいっても無駄なので好きにさせるようにした。
「「ふつつかものですがこれからよろしくお願いします」」
「あぁ、よろしく」
本当にこれでよかったのかはわからない。
だけど俺たちが選んだ道だ。
どんなに険しく、きつい道でも。
俺たちは前に進み続ける。
それが俺たちの「幸せの道」だから。