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  藤林椋再生計画  「恋心」



 私が最初に岡崎さんと会ったのは、1年ももう終わりというときの掃除の時間のときでした。
 その時私は掃除当番で、最後にクラスのゴミ箱を焼却所に運んでいる途中、一階の階段の最後の段で転んでしまいました。 
 幸い怪我はなかったんですが、ゴミ箱に入っていたごみがあたり一面に散らばってしまいました。
 私はぼーぜんとしてしまってその場で座り込んだまま動けなくなってしまいました。
 周りでは学年の違う知らない人たちがなにか話しながらただ見るだけで通り過ぎていました。
 何もできないでいた私は悲しくて、恥ずかしくて泣きそうになりました。

「おいお前、邪魔だ。早く片付けろ!」

 それはやさしい言葉ではなくてとってもつらい言葉でした。
 声のほうを見てみるとその人はわたしのすぐ後ろに立っていて、
手はポケットに入れたまま脇にかばんをはさんで上から私をにらんでいました。

「はら、早くしろ!」

 とまたその人は私をにらんでます。
 周りの人たちは私たちを遠くから目を合わせないようにして通り過ぎていました。
 私は目に涙を浮かべながら、でも何とか立ち上がりごみを拾い始めました。
 するとその人も持っていたかばんを床に置いて一緒にごみを拾い始めました。
 私はびっくりして手を止めてその人を見ていました。
 その人は私を見て

「お前なにやっているんだ、どっからか早くほうきとちりとりをもってこい」

 と私に言ってごみを拾い始めました。
 私は「は、はい!」といって走り出しました。
 すぐ近くの教室に行ってほうきとちりとりを借りて戻るとその人は

「ほら、おおまかなごみは拾ったから早くここら辺をはけ」

 と床を指差しました。
 「はい」と私はほうきを動かし、ごみを集めました。
 その人はちりとりを持って最後まで手伝ってくれました。
 その時私はその人が私と同じ学年だということに気づきました。
 ごみを全部拾い集めるとその人は、

「後はお前一人でも大丈夫だろ。俺はもう行くからな」

 といってその人は床に置いていたかばんを持って昇降口に歩き出しました。
 私はあわてて「あ、ありがとうございました」というとその人は振り向いて

「今度から気をつけろよ」

 といって歩き出しました。
 私はその人が歩いたほうをぼーとみていました。

「椋〜〜〜」
 と階段の上からお姉ちゃんが私を呼びながら降りてきました。

「どうしたの?教室で待っていてもなかなか帰ってこないから心配したじゃない」
 とお姉ちゃんは私の隣においてあるゴミ箱を見て

「椋、まだごみ捨ててないの?」
「うん、捨てる途中でここで転んじゃって、いままでごみを片付けていたから」
「本当?まったくどじね〜。怪我とかしてない?」
 といってお姉ちゃんは私の制服についているほこりをはたいてくれた。

「うん、大丈夫怪我はないよ。ごみを片付けたから後は捨てるだけだよ」
「そ、じゃ早くごみを捨てて帰りましょう」

 そういってお姉ちゃんは焼却所に歩き出した。
 私はゴミ箱を持って、またあの人が歩いていったほうをぼーと見ていました。
 ちょっと先から「椋〜、いくよ〜」とお姉ちゃんの声が聞こえて私は焼却所に歩き出しました。

「あ、そういえば・・・あの人の名前聞くの忘れちゃった・・・」
 私は最後に一番大事なことに気が付いた。

 これが私と岡崎さんの最初の出会い。
 多分岡崎さんは忘れていると思うけど、私はあのときの岡崎さんの声のおかげで動くことができた。
 次に岡崎さんの事を知ったのは2年になって少したってからのことでした。

 2年になって少したったある日の夜、私は部屋で占いの本を読んでいると
お姉ちゃんがめずらしくクラスのことを話しはじめました。

「でね、私のクラスにね岡崎朋也というのがいるんだけどね、そいつが周りとは違うのよ。
いつもむすーとしていて誰とも話さないし、いつも遅刻してくるのよ。
今日なんか4時限目に登校してきて、そのままお昼の授業はずーと寝ているんだから」
 私は「ふーん」とお姉ちゃんの話を聞いていると、

「そういえばね、1年のおわりに私が掃除の時間に階段で転んでごみを散らかしたとき、
片付けを手伝ってくれた人も目つきが恐くてにらんでいたよ」
 と私はその人を思い出しながら話した。

「その人の名前聞いたの?」
 とお姉ちゃんは身を乗り出して聞いてきた。

「ううん、聞くの忘れちゃった。その人はね、階段で転んでごみを散らかして、
何もできないで座っていた私に『おいお前、邪魔だ。早く片付けろ!』ってにらみながら言ったんだよ」
 そういうとお姉ちゃんは「何ですって〜!!」と握りこぶしを握って叫びだした。

「でも私はその人が声をかけてくれたから泣く前に動くことができたんだよ。
その人はずーと恐い顔のままだったけど最後まで手伝ってくれて帰るときに「今度からは気をつけろよ」といってくれたんだよ」
 と私はあのときの気持ちを思い出してちょっと笑っていました。
 そんなわたしをみてお姉ちゃんは「うーーん」と考え込んでしまいました。

「じゃあさ、明日私の教室にきて本当にそいつかどうか確かめてみれば?」
 というお姉ちゃんの提案に私は

「うん、いってみるよ。もしその人ならちゃんとお礼言いたいし」
 
 次の日お姉ちゃんの教室にいってみるとその人はいました。
 教室の隅で誰とも話さず片手でほほを突きながら外を見ていました。

「どう椋?」
 お姉ちゃんは声ををひそめて聞いてきました。
 私はあの日の思い出の人の顔を思い浮かべながら。

「うん、間違いないよ。あの人だよ」
 私はうれしくなりながら答えた。

「そ、なら早速いくわよ」
 といってお姉ちゃんはその人に近づいていきました。私も後ろからついていき、
おねえちゃんがその人、岡崎さんの机の前に立つと

「ちょっとあんた。この前は私の妹がお世話になったわね」

 と腕組をしながらその人をにらんでいる。
 教室ではどよどよちょっとした騒ぎになっている。

 岡崎さんも
「はぁ?何のことだよ。大体お前の妹って誰だよ」
 といすに座りながらお姉ちゃんをにらみかえしている。

「ちょ、ちょっとお姉ちゃん。それだと岡崎さんが悪いことしたみたいだよ」
 と私が横から顔をだしていると。

「ほら、この子よ。1年の終わりのときに会っているはずだけど」
 とまだにらんだまま私を前に押し出した。
 岡崎さんはお姉ちゃんから私に顔を向け私を見ている。
 私は緊張して「こ、こ、こ、この前は・・・」と言いよどんでいると

「誰だこいつは。しらねえよこんなやつ」
 と岡崎さんが言うと

「な、なんですって〜〜〜!!」
 とお姉ちゃんの叫び声が響きだしました。
 その後は二人で大声で口けんかが始まりました。
 一緒にいた私はもう恥ずかしくて恥ずかしくてすぐに逃げ出したい気分でした。

 それからお姉ちゃんは家でも時々岡崎さんのことを話すようになりました。
 私も時々お姉ちゃんのクラスに行ったときに岡崎さんを見ることができました。
 そのときに知りましたが岡崎さんは周りから「不良」と呼ばれているそうです。

でもお姉ちゃんと話しているときやあの時のやさしさを考えると私には岡崎さんが本当に「不良」とは思えませんでした。

 確かに岡崎さんはいつもむすーとしていて目つきも恐いですが、
私はやさしい岡崎さんを知っていましたからそんなに恐くなありませんでした。

 私はだんだんと岡崎さんに惹かれていっていることに気づき始めました。
そして岡崎さんを見に行きたいのでお姉ちゃんに会いに行くことになりました。

 お姉ちゃんも岡崎さんに対して恐がることもなくいつも笑いながら話しています。
私もそんな二人を隣で見ているのが好きでした。
 ・・・でもあるとき気づいてしまいました。

 「お姉ちゃんも岡崎さんのことを好きなことを・・・」

 それは普段は学校やクラスのことを家では話さないお姉ちゃんが岡崎さんのことを話すようになったこと。 
学校でも周りの友達とは違う顔で岡崎さんとは話していることに私は気づいてしまいました。
 
 それから2年も終わり、3年になる前の春休み、私は思い切ってお姉ちゃんに聞いてみた。

「ねぇ・・・お姉ちゃん。お姉ちゃんは岡崎さんのこと・・・好き?」
「ぶーーーーーっ」
 部屋でくつろいでいるお姉ちゃんに聞いてみるとお姉ちゃんは飲んでいたフルーツジュースを思いっきり噴出して驚いている。

「わ、お姉ちゃん。行儀が悪いよ」
「ちょっと椋、いきなりどうしたの?」
 はは・・・とお姉ちゃんはタオルでジュースを拭きだした。

「ねぇ、お姉ちゃん。ちゃんと答えて・・・」
 私の真剣さが伝わったのかお姉ちゃんはじっと考え出して

「・・・たぶん好きかもしれない」
 お姉ちゃんの答えを聞いて「やっぱり」とおちこんでしまいました。
 しかしお姉ちゃんは話を続けて、

「でも・・・私の好きは異性同士じゃないと思うのよ。
私ってほら、いろいろな知り合いがいるけど朋也見たいなタイプは初めてなのよね。
進学校なのに勉強はしない、毎日遅刻はしてくる、それでいていつもにらんでいて近寄りがたいのに
いざはなしてみるととっても話しやすいし楽しいのよね」
 とお姉ちゃんは話しながら考え込んでいる。

 そんなお姉ちゃんに私は勇気を出して
「あっあのねお姉ちゃん・・・、私、岡崎さんのこと好き」
 と強く言った。

「マジで?だって、椋はあまり朋也とも話したことないでしょう?」
 お姉ちゃんは本当に驚いていた

「うん、でもねたしかに岡崎さんはみんなから不良と呼ばれているし、言葉使いも強いし、
いつも怒っているようで近寄りがたいけど、私は岡崎さんのやさしいところを知っているし、
お姉ちゃんと話しているのを見るとそんなに悪い人には見えないし、それに・・・かっこいいし・・・」

「椋・・・、あなたって以外に面食いなのね」
「そんなんじゃないよ。私は岡崎さんが本当にやさしいと思うから・・・」
 私が顔を真っ赤にしているとお姉ちゃんは「はいはい」となだめながら

「わかっているわよ。それなら私は椋のことを全面的に協力してあげるから。
まかせなさい、朋也がなんと言おうと椋とつき合わせてあげるから」
 といいながらお姉ちゃんは握りこぶしを握ってポキポキと骨を鳴らしている。

「わ、わ、わお姉ちゃんそれは違うよ〜」
 私は張り切っているお姉ちゃんの引っ張りながら、

「でも・・・、本当にいいの?お姉ちゃんだって岡崎さんのこと・・・」
 私はお姉ちゃんの顔を見ながら聞くとお姉ちゃんはやさしく

「大丈夫よ、椋。私の場合朋也とは異性でいるより友達でいたほうが楽しいからね」
 と笑顔で行ってくれた。

「さぁーて、どうやって朋也を椋とくっつけようかな〜」
 とお姉ちゃんはやる気満々だ。

「もう、いいよーそんなに気合入れなくても〜」
 と私は張り切っているお姉ちゃんの腕を引っ張りながら

「ありがとう、お姉ちゃん」
 と小さな声でお礼を言った。

 3年になって私は岡崎さんと同じクラスになりました。
 それから毎日どきどきしていました。
 そして始業式から1週間たって、私は勇気を出して岡崎さんの机に近づきました。

「あ、あの・・・」
 そして私の恋の物語が始まりました。