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〜Can't Stop Fall'in Love〜


「…大丈夫か藤林、キツいんじゃないか?」
「これ位…平気です。それより、岡崎君こそ気にしないで好きなように動いて下さい」


今、俺はクラス委員の藤林と一緒に体育倉庫の中に閉じ込められていた。
ただ閉じ込められているだけだったらまだよかったのだが…現在、藤林の体は俺の両腕の間にあって、さらにマズい事に俺の体は藤林の両脚の間にポジションを取っていて…
ぶっちゃけて言えば、まあ…限りなくアレに近い体勢になっていると言うことだ。


(そもそも春原がヘンな事言い出さなかったら、こんな事にはならなかったんだよな…)
そう、話せば長くなるのだが…昼休みに資料室で二年の宮沢と三人でお茶を飲んでいるときに「体育倉庫に二人きりで閉じ込められる」おまじないの話になり、俺としては疑いつつも、とりあえず十円玉を三枚立てることが出来てしまい、宮沢の言う呪文を三回唱えてみただけだ。
藤林を選んだことに特に理由はない…が、ただ何となく藤林の顔が頭に浮かんだだけだ。

そして放課後―
運悪く体育教師に捕まった俺は、どういう訳かクラス委員の藤林と一緒に体育倉庫の用具の整理をする事になってしまった。
まさかと思いつつ用具を片付けていると、ちょうど藤林の頭上にある用具が崩れかかっているのが目に入ってきて…

…―まさに間一髪だったが、とりあえず藤林は無傷で済んだ。
不思議なことに、アレほど盛大に崩れてきた用具達は今、絶妙なバランスでも保っているのか…直接俺たちに重みを掛けて来ていない。
その代わりに俺たちは、崩れてきた用具に押し潰されるような格好で、身動きが取れない状態になってしまったのだが…


「…大変なことになってしまいましたね」
「ああ、そうだな…」

何度目かの同じようなやり取り…だが黙っているとイヤでも伝わってくる、互いの息遣いと心臓の鼓動、そして体温。沈黙に耐えきれなくなって同じやり取りを繰り返す…

(それにしても…藤林ってこうして見ると、やっぱり可愛いんだよな…)
この状況でそんな場違いな考えがふと頭をよぎる…姉譲りの整った顔立ち、きめの細かい色白の肌、ショートボブに切り揃えられたツヤのある髪、そして…おとなしそうなイメージに反して、意外に自己主張している身体…

(マズい…)
不謹慎な考えと同じように、不謹慎な部分が頭をもたげて来る。
(この、限りなく密着した状況でそんな事になったらマジでシャレにならん)
藤林に緊急事態を悟られる前に、腰を浮かそうと試みるが―
“プスッ”
「痛ぇっ!」
無造作に浮かせた尻に、何か針のような物が突き刺さり…思わず反射的に腰を前に突き出してしまう。
「あ…っ!?」
突き出した腰の先には…当然、藤林の…
顔を真っ赤に染めて、驚いたような…照れたような…そんな表情で俺のことを見つめている藤林。
(誤解だーーっ!今のは事故だっ!アクシデントだっ!!決してワザとじゃないんだーーーっ!!!)
「お、岡崎君っ。そんな無理して動こうとしなくても、もっと楽にしてればいいから…」
そう言ってやさしく微笑みかけてくる。

(ダ、ダメだぁぁーーーーっ!これ以上この状況が続いたら、俺の理性が持ちそうにないっ!それに、藤林はただ巻き込まれただけじゃねぇか?やっぱりこんなの、フェアじゃ…ない!)
声にならない叫び声を上げ、思わず自己嫌悪に陥ってしまう…

(…そういえば、宮沢から呪文を解く方法を聞いていたな。えっと、確か―)

“まず、お尻を出して― 『ノロイナンテヘノヘノカッパ』 と3回唱えてください”


…マテ。
呪文を解く方法を思い出したのはいいが、ちっとも状況が改善されてないような気がするのは何故だろう…

(…つまり、この状況を脱出するためには…この体勢でズボン(とパンツ)を下ろさなければいけない、と…)
若干の思考停止があったが、まずはこの状況から脱出することが最優先事項で、方法云々については後で何とか言い聞かせればいい―と言う風に自分を納得させることにした。

(とりあえず、どうやってズボンを下ろすかだが…)


 ・ 自分で脱ぐ 
>・ 椋に脱がせて貰う 



俺の両腕は塞がっている。
藤林の上で四つんばいの姿勢をとっているからだが、この姿勢で無理矢理ズボンを下ろそうと身体を支えている腕を外したら、目の前にある柔らかそうな膨らみに顔をうずめる事になる。

“藤林の胸に顔をうずめながらズボンを下ろす俺”

―何か、どんな言い訳も通用しそうにないような…

(―となると方法はひとつしかない、が―ここはもう、強引に押し切るしかないな…)

「藤林っ!」
「えっ!?ど、どうしたの岡崎君」
「その…頼みが、あるんだ…」
「あ、あの…私に出来ることでしたら…」
「ちょっと、言いづらいんだが―…俺のズボンを、脱がせて欲しいんだ」
「えぇっ!?」
「ああ、心配しなくてもいいから…俺に全て任せてくれないか。大丈夫、ちゃんと外に出してやるから。」
「〜〜〜○×#%☆$△@¥〜〜!!!???」
…何だか、藤林がパニックを起こしているように見えるが、とりあえずズボンを下ろすことを改めて頼み込んでみる。

「藤林、その…やっぱり…ダメかな…?」
「―あの…わ、私…そういう事って経験…したことがないですから、その…どうやったらいいのか全然分からないんです…」
「そうなのか?でも、思ったよりもあっさりと済むモンだぜ」
「そ、そうなんですか?色々と大変なんじゃないんですか?」
「まぁ、そういうのもあるみたいだけど、俺のときはあっさりと済んだぞ。」
「…岡崎君は、そういう事をしたことがあるんですね…」
「ああ、まぁ2,3回ほどな…」
「その…私なんかでいいんですか…?」
「何言ってるんだ、藤林以外にいるワケないだろ?」
「岡崎君…」

また沈黙…そして、何度か深呼吸をしてから藤林が口を開く
「あ、あの…よろしくお願いします。」

何故だか、お願いされてしまった。
(っていうか、お願いしたのは俺のほうなんだが…)
…なんだか会話がかみ合ってない気がするが、とりあえず藤林が引き受けてくれそうなので、そのまま押し切ることにする。

「そ、そうか…悪いな。それじゃあまず、ベルトを緩めて俺のズボンとパンツを下ろしてくれないか?ちょっと今、両手が塞がってて…あ、恥ずかしかったら目を瞑ってやると良いから。」
「あ、ハイ…やってみます(かちゃかちゃ)」
たどたどしい手つきでベルトを緩めていく藤林。緊張しているのか、微妙に手が震えている…
「そんなに緊張しなくても、もっとリラックスしてやればいいよ」
“びくぅっっ!”


「あれ…?」
(…なんか、固まってしまった…)
「お〜い、藤林〜…」


何度となくそんなやり取りがあって、ようやくズボンとパンツを下ろすことに成功する。
(よしっ)
お尻が出ているのを確認すると、宮沢に教えてもらった呪文を唱える…

『ノロイナンテヘノヘノカッパ×3…』
そして…


“どんどんっ!”
“どんどんっ!どすんっ!どごぉっ!!ばきぃっ!!…どんがらがしゃーーっっ!!!”

…凄まじい破壊音の後、体育倉庫の中に聞き覚えのある声が響く…

「椋っ!朋也っ!大丈夫っ!?」
聞き間違えようもない、杏の声だ。

「―杏か…?」
「朋也!?そこにいるの?椋は、椋は無事なの?体育倉庫からすごい音がして、二人が閉じ込められたって聞いたんだけど…」
「ああ、俺も藤林も大丈夫だ。ただ…用具が突っかえてるのか、ビクともしないんだ」
「そうなの? ―って何よ、簡単に持ち上がるじゃない…」

…さっきまでは全然ビクともしなかった用具があっさりと除けられる。
後ろを振り向くと、ちょうどそこに立っていた杏と目が合う。藤林の脚の間に、ズボンとパンツを下ろした状態のまま…


“ゴ…ゴゴゴゴゴゴゴッ!!!!!”
(何故、地鳴りがっ!?)
―などと、こんな状況でも思わずツッコミを入れてしまう自分が哀しい。

「…お楽しみの最中だったみたいね〜…ジャマしちゃったかしら♪(ゴゴゴゴゴ…)」
楽しげな口調とは裏腹に相変わらず響き渡る地鳴りの音…

「な、なあ…杏、冷静になって聞いてくれ。話せば長くなるんだが、コレには非常〜に深いワケがあるんだ。」
“ゴゴゴゴゴゴゴ…!!”



「 死 刑 ♪ 」
ニッコリと微笑む杏。その笑顔は―俺が今まで見たこともなかったほど透き通っていた…
(あー、コリャ間違いなく死ぬな、俺…)

“―…法全書”
…それが俺が見た最期の光景だった…
(―っていうか…どっから出してきたんだ、そんなモン…)
薄れていく意識の中で、やっぱりツッコミを入れてしまう俺。遠くで藤林が杏に弁解(?)をしてくれているような気がしたが…



―あれからひと月…
俺と椋は公認のカップルということになっている。
きっかけがきっかけだけに、複雑な心境ではあったけど…正直、悪い気はしない。
告白してきたのは椋のほうからだったけど、最近は俺のほうも椋に惹かれているのが自分でも良く分かる。

―放課後の資料室…春原が十円玉を瞬簡接着剤で止めようとして、失敗していた…
「くっそぉぉぉ〜〜〜また、失敗だ〜〜」
「諦めろ。お前には一生ムリだ、春原。」
「ズルイぞ!岡崎ばっかり…俺だって二人っきりで体育倉庫に閉じ込められて、可愛いカノジョをベットするんだ!」
「ちなみに、それをいうならゲットだからな」

「あの〜朋也くん、いますか?」
「ああ、悪い…そういうワケだ春原。俺は今から椋の買い物に付き合うことになっているから、先に帰るぞ。」
「アンタ等、幸せそうですねぇ!」

「どうしたの?春原君」
「また、例のおまじないに挑戦して失敗してたんだ」
「あ、アレですか」
「そう、アレだ」
ちなみに、椋には体育倉庫のおまじないのコトは、付き合い始めるときに全て話してある。話しておかないとフェアじゃないと思ったからだが…

“それって、その…わ、私とだったらそうなってもいいって…こと、ですよね…?”

…正直、嫌われても仕方がないなって思っていたんだが、意外にも椋の返事はそんなコトは気にしてないってかんじだった。
(そういう考え方も、出来るモンなんだな)

ふと、何気に椋の方を見る
(なんか最近、益々可愛くなっているよな…)

「どうかしました?」
視線を感じたのか、椋がこっちの方を振り向く。
「あ、イヤ…なんでもない」
見とれていたなんて言えるワケもなく…そのかわりに、そっと手を差し出す…そして、手のひらに柔らかいぬくもりが返ってくる。
その感触をしっかりと確かめて―

「行こうか…」
「は、はい」


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