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〜世界の中心でグッジョブ! と叫ぶ〜
「ううっ…ぐすっ…うう」
「おい、大丈夫か?」
 目の前には転んだ拍子にバケツ一杯のワックスをかぶってしまった十波。俺を誘導して罠にはめるつもりだったんだろうが、俺もそこまで間抜けではない。自業自得、罠を仕掛けた十波が逆にその罠にはまってしまったのだ。

「もう、あっちいけぇ!」
 涙目で顔をゴシゴシとこする十波。顔全体に掛かった白濁ワックスに涙と鼻水が混じるのだから、十波の顔はとんでもない事になっていた。

「ぐっ…ぐすっ…うう…」
 いつまでも泣き顔の由真を見て、さすがにかわいそうだと思った。いくら自業自得とはいえ、身も心もボロボロの女の子をこのままにしておくにはいかない。

「着替えとかもってきてる?」
「え…?」
「体操服とか、何でもいいから」
 ぐずっと鼻をすすった十波の表情がますます重くなる。

「持ってきてない…」
「え?」
「昨日体育の授業で汚れちゃったから、洗濯に出して…今日は授業ないし…」
 そういえばそうだった。俺と十波のクラスの体育授業は合同で行う。昨日は雨上がりのグラウンドだったため、男子のサッカー、女子のソフトボールともにとても泥臭い授業となったのだった。

 もちろん、俺も昨日の汚れで洗濯に出していて、今日は持ってきてない。男子の友達にジャージを借りるという手もあるが、残念ながら俺は他クラスには雄二ほど親しい友人は居ない。となると、残りはこのみかタマ姉に絞られるわけだが…。

「じゃあ、俺、ちょっと体操服借りてくるから。その前に、ほら」
 俺は十波の目の前に手を差し出す。その手を十波はキョトンとした表情で見ている。

「はやくつかまれよ。このまま座りこんでるままじゃマズイだろ?」
 いくら人通りの少ない移動教室練とはいえ、誰かがこないとは限らない。十波は少しためらうと、おずおずと俺の手にすがった。

「とりあえず、ここの音楽室の中で待ってろ」
「…うん」
 十波は子供のように言われるまま頷く。いつもこんな風に素直だったら可愛いのに…。なんて事を思ってしまう。

「じゃあ、行ってくる」
 十波が音楽室へ入るのを確認してから、俺は現場を後にした。さて、まずはどこから向かうべきか。

 このみとタマ姉。上級生のクラスに向かうのは緊張するものだが、逆に下級生のクラスにいくのは気恥ずかしいような気がした。となるとタマ姉だ。俺は三年生の教室目指して一目散に駆けて行った。


「タマ姉!」
 三年生の教室にたどり着いた俺は、ちょうど教室から出てくるタマ姉を見つけて声を掛ける。

「あら、タカ坊? どうしたの、こんなところまで来て?」
「今すぐ体操服を貸して欲しいんだ」
「は?」
 今は一刻を争う。だが、単刀直入に用件を聞いたタマ姉は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていた。

「…な、何に使うの?」
「? 着るに決まってるじゃないか?」
 そう答えると、タマ姉の顔は驚愕の表情を経ると、やがて憐れみのそれへと変化した。

「いや違う、俺じゃなくて他の子が!」
「そ、そうよね、確かにタカ坊はちょっとマニアックなところがあるけど、そういう事に関しては人の道を外してないとお姉ちゃん思ってるわ」
 まったくお約束だ。タマ姉は俺が着ると勘違いしたらしい。

「で、何で着るの? 体操服を借りるならわざわざ私のところに来ないで、その子の友達に借りればいいのに」
「いや、そいつ今、白濁液でベトベトになってるんだよ。流石に人目に触れさせるのはまずいから、かわりに俺が頼みに来たってワケ…」

ガシッ。

 突然目の前が真っ暗になる。

ギリギリギリギリ…。

「あいてててっ!」
 突然こめかみに襲い来る激痛。それがタマ姉のアイアンクローによるものだと気付いたときにはもう遅かった。力ずくで引き剥がそうとするが、ビクともしない。さらなる激痛が俺の頭全体を覆いつくそうとしていた。

「わ、割れる割れる割れるッ!」
「神聖な学舎で一体何をやってるのかしらね〜? タカ坊はちょっとマニアックな子だと思っていたけど、まさかそこまで進んでいるとはね…。そう、あの純真だった頃のタカ坊はもう居ないのね…。さよなら…」
 アイアンクローの体勢のまま、俺は片手で持ち上げられた。こめかみに食い込む指の力がますます強まる。
 フ、FINISH HIM!?

「あいででででっ! 違う! 違うって! 掃除用ワックスモロに頭からかぶっちゃって着替えが欲しいんだよっ!」
「…え?」
と、気の抜けた声をとともに、俺の頭を掴んでいた指がするっと抜ける。俺はドスンと尻から落ちた。

「痛ぇーっ! もう、そいつ頭からワックスかぶっちゃって、制服がベトベトになっちゃってるから体操服とか着替えが欲しいっていってるんだよ!!」
「そ、そうよね、私てっきり制服じゃ飽き足りないから体操服でしちゃうのかと…」
「な、何と勘違いしてたんだ?」
「う、うるさいわね! 今すぐ持ってきてあげるからそこで待ってなさい!!」
 突然真っ赤になって怒り出したタマ姉はさっさと教室の中に消えていってしまう。まったく、本当に何と勘違いしてたんだ? 俺の頭蓋骨、陥没とか亀裂入ってないだろうな…。きっと真っ赤になっているであろう、こめかみの部分を優しく指でさする。
 涙目で数分間待つと、タマ姉はバツの悪そうな表情をして廊下へ後戻ってきた。

「あ、あはは、タカ坊ごめんね。そういえば私、昨日洗濯に出したのすっかり忘れてたわ」
 …俺の受けたあの想像を絶する痛みは一体なんだったんだ…。


 次に向かったこのみからは辛うじて体操服を借りることが出来た。もちろんタマ姉と同じように、

「タ、タカくんってそういう趣味あったんだ…」
 と涙目で勘違いされたことは言うまでも無い。全力で否定しておいたが。

 何はともあれ、ようやく「体操服を借りてくる」というミッションは終了できそうだ。俺はまわりに誰か居ないか気を配りつつ、音楽室のドアをあけ、中に入った。

「たかあき…?」
 声はすれど、姿は見えず。注意深くあたりを見回してみるとグランドピアノの下に隠れている十波の姿を確認した。

「ほら」
 十波の足元へこのみから借りてきた体操服を投げてよこす。

「誰から借りてきたの?」
「ああ、俺といつも朝一緒に居る小さい子いるだろ? そいつから借りてきた」
「ふーん…」
 十波は足元の体操服に手を掛けると、それと俺の顔を交互に見比べた。

「あっち向けぇ!」
「あ、う、うん」
 俺はあわてて背を向ける。どうやら、十波はグランドピアノの影に回って着替えるようだ。

 ジーッ…

 スカートのジッパーを下げる音が音楽室に響く。ここは音楽室。壁には防音措置がされており、外界からの音はほとんど入ってこない。先ほどまで聞こえていた、グラウンドからの高い金属バットの打撃音や威勢の良いかけ声なども鈍くこもっていて、自分たちは違う世界にいるのではないかと錯覚してしまう。ここに居るのは俺と十波のふたりだけ。

 パサッ

 着衣の落ちる音に俺の心臓は飛び出しそうになった。今振り向けば、十波の生まれたままの姿が…。
 って何を考えてるんだ、俺は! すかさず雑念と妄想を振り払おうと、壁にかけてあるモーツァルトやシューベルトの肖像画を順に目で追っていく。そうしていると、

「う、うう〜」
十波のうめき声が聞こえた。一体何をやってるんだろう? 苦しそうな声だ。思わず振り向きたくなる衝動に駆られるが、なけなしの理性を保ってなんとか我慢する。すると、

「こらあっ! たかあきっ!」
 ピアノの陰で十波が叫んだ。何事かと思い、びっくりして後ろを振り返ると…。そこには体操服に着替えた十波が居た。しかし、何かがおかしい。




「この体操服、サイズが全然合わないじゃないのよっ!!」

ぶばあっ!!

 十波の体に張り付くようにしてボディラインをさらす体操服。普段は目立たない十波の整った曲線が惜しげもなく俺の眼前に展開される。そういえば、このみってどっちかというと幼児体型だったよな…。よく考えてみれば育ち盛り(?)の十波の体のサイズに合うはずがない。いや、しかしこれはこれで! 俺は心の中で密かに親指を立てる。

「ブルマってケツそのものだよな…」

 突然、雄二の言葉が頭の中でリフレインする。…いや、見方によっては普通のケツよりもエロいぞ、これは。しかも、パンツもどろどろになっているだろうから、ブルマの下はもちろんノーパン…。
 ヤバイ。むちゃくちゃヤバイ。ここは外界からの音が一切遮断された音楽室。もちろん、どんなに大きな声を出しても内部からの外にもれるという事は無い。

「どーすんのよ、これ! このままじゃ帰れないじゃないのよ!!」
 顔を真っ赤にして涙目で怒る十波。赤くなっているのは怒りからか、それとも恥じらいからなのだろうか。
しかし、俺の視点は意識せずに十波の肢体を嘗め回すように見つめていた。

「こっ、この変態ーーーっ!!」
その叫びが聞こえた時には、俺の目の前にはお星様が飛びかっているのが見えたのだった。



「あいたたた…何も殴ることはないだろ…」
「うるさいうるさいっ! 最初からこうすればよかったのよ!!」
十波は俺の後ろから学生服を羽織って音楽室から出てきた。

「そうとも言うな」
「うー、たかあきに視姦された…」
 十波が着ているのはもちろん俺の体操服。十波の体には僅かながら大きいが、それでも上半身を隠すには十分だといえる。

 しかし、ガクランにブルマ…。これはこれで十分エロいと思う。やっぱタマ姉が言うとおり、俺はマニアックだったりするのだろうか? 何はともあれ、こんな素敵なシチュを与えてくれたこのみに感謝、感激、雨あられ。明日はこのみにアイスのひとつでも奢ってやろう、と思う俺だった。 

おしまい


●世界の中心でこのみグッジョブ! と叫ぶ(笑)

●というわけで、今回も東鳩2で日エロネタ。東鳩2で最も想像力を掻きたてられると評判の由真シナリオのあのシーンです(笑)
雄二の例のセリフはこのイベントのずっと後になりますが、気にしちゃダメよ?(*゚∇^v)⌒☆
前回アンケートで葉鍵入り乱れてのエロスがダントツ一位だったのですが、今のところネタが浮かばなくてねぇ…(つД`)
あと、着ている最中に気付いていてもちゃんと体操服を着るお約束由真たん萌え(*´д`*)

●雄二の「ブルマってケツそのものだよな…」というセリフは今までのわたしの人生に多大な衝撃を与えるものでした。
だって、小中高校生、12年間ずっとブルマ穿いてたんですよ、わたしは?
12年間ケツそのものですよ!! ぶっちゃけありえないッ!!・゚・(ノД`)・゚・。

●まあ、今では女子のブルマは廃止になってて、存在するのはギャルゲーとエ○ゲーの世界の中のみになってしまった思いますが、無くなった反動からか、この東鳩2ではブルマがそこはかとなく強調されてると思います(爆)
ブルマがまだ学生時代に存在してた頃にもギャルゲーも少なからずやってましたが、
その頃はあんま強調されてなかったような…。

●ちくしょう…アタイっていつもそうだ…『いなくなって 初めてわかるんだ…』
フツーの体操服だと思ってたけれど、ぶっちゃけケツそのもののオメーが好きだった…。
ガクランや制服の上着と組み合わせると激しくエロい(愛佳の書庫着替えイベント参照)という事が
今になってわかった…。

とにかく、これからもわたしはこれからもマニアックなシチュできみうた住民をハァハァ(*´д`*)言わせなければならない。
今のアタイにはブルマ一着でハァハアしている時間なんてないぜ・゚・(ノД`)・゚・。(ポルナレフ調)

アヴドゥル死亡 イギー死亡  ブルマ廃止 -to be continued(つづく)-

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