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〜お大事に〜
文:拓哉さん  絵:柊トモカ
「ケホ、ケホッ」
(やべぇ、本格的に風邪を引いてしまったみたいだな)

最近はこのみが世話を焼いてくれることもあって、そんなに不摂生をした覚えは無いのだが―
 この間、雄二とこっそり親父の秘蔵のウイスキーを飲んで朝まで居間で寝てたのが悪かったのか…それとも、風呂上りに深夜テレビに見入ってしまい、湯冷めしたのがマズかったのか…

(どちらにしても、タマ姉にバレたら『鍛え方が足りない!』とかいって強制トレーニングに突入することになるな)

“ぶるぅッ”

いまの悪寒は風邪のせいだけじゃないような…

(あー…なんか頭がぼーっとしてきた…。春夏さんに欠席届は出してもらったし、今日は一日ちゃんと寝ることにしとこうか)



「―ん〜…熱は下がってきてるの…かな?」
“ぴと”
熱っぽいオデコに誰かの手が当てられる。
ひんやりとした感触が心地いい…

「…このみ、か?」
「あっ、タカくん起きた?具合…どうかな?」
「ああ、朝よりは…良くなってるな」
「そっか、よかったぁ。―あっ、じゃあタカくんお腹すいてないかな?雑炊作ったんだけど…食べられる?」

そういいながら、このみが心配そうに顔を覗き込んでくる。
正直なところ、食欲はあんまり無い。だけどこういうときは無理にでも食べて、体力を付けとかないといけないし…それに何より、このみには心配を掛けたくない。
「そうだな、貰おうか」
「うん♪ じゃ、ちょっと待っててくれる。今、温め直してくるから」

嬉しそうに返事をして、ぱたぱたと台所に向かっていく
(…やっぱり、心配は掛けたくないよな…)

「タカくん、できたよ〜」
そういってお盆を持ってあがってくる
お盆の上には雑炊の入った手鍋にお茶碗、五枚ほどの小皿の上には梅干を潰したものやら菜っぱを刻んだもの、塩コンブ、錦糸卵とかがのっていた。

「コレ、このみが作ったのか?」
「うん。作り方はタマお姉ちゃんから教わったんだけどね…カツオ節でダシをとって、うす味にしてるから、身体が弱ってても大丈夫だって。あと、梅干とか塩コンブとかをちょっとずつ、混ぜながら食べるんだよ」
支度をしながら、嬉しそうに料理の説明を始める。
(タマ姉、料理に関して“だけ”は結構マトモなんだよな…)
「ふ〜、ふ〜…ハイ、タカくんあ〜ん…」
そういいながら、当たり前のように雑炊のよそったスプーンを口元に寄せてくる
「…ひとつだけ確認しとくけど、そこら辺にタマ姉や雄二が隠れて見てるとかいうオチはないだろうな…」
「タマお姉ちゃんなら、今日はユウくんと用事があるからって先に帰っていったよ」
「…イヤ、気にしないでくれ。さすがに被害妄想だと思ったから」
「それより、タカくん。雑炊冷めちゃうよ」
「あ、悪い悪い…」
“ぱくっ”

「・・・」
「えへ〜」
(なんか、今このみにうまくノセられてしまったような…)

「どうかな、タカくん。美味しい?」
「…旨い」
「えへへ…よかったぁ〜。じゃあ次、あ〜ん…」
「・・・」
(…誰もみていないんだし、今日ぐらいこのみに甘えても…いいよな)
“ぱくっ”




「タカくん、タカくん、まだお風呂は入れないんでしょ?身体、拭いたげるね〜♪」
食事を終えて後片付けを済ますと、こんどはお湯の入った洗面器とタオルを持ってきて、そんな事をいい始める。―っていうか、既にパジャマのボタンに手をかけようとしているし…

「ま、まてっ、はやまるな!それくらいは自分で出来るっ」
「も〜、病人が遠慮なんかしたらダメだよ」
「いや、そーゆー問題じゃなくって…ともかくっ、自分でするから!」
「むぅ〜……―てりゃっ☆」
「なっ!?」
“ばっ”
どうやったのか知らんが、あっという間にパジャマの上着を脱がされてしまった。しかも、しっかりとマウント・ポジションまで取られてるし…
「えへ〜、タマお姉ちゃん直伝の『タカくん早脱がせの術』だよ」
(どんな術だよ!―っていうかタマ姉〜っ、このみに教えるのは料理だけにしてくれ〜〜!!)

「ほらぁ、身体拭くからじっとしてないとダメだよ」
“ふきふき”
「とりあえず、背中だけでいいからっ!あとは自分で拭くって!!」

「むぅ〜…タカくん腰細〜い。なんかズル〜イ」
“ふきふき”
「はなし聞けって!わ…わき腹はやめろっ!そこはっ、そこはダメなんだ〜…あぅっ!」
「あ、タカくんココが弱いんだ…覚えとこ(ぼそ)」
「このみ〜なんか今、さりげなくエライこと口走ってなかったか?」
「えへへ〜、なんでもないよ。じゃあタカくん、今度は下の方を拭いたげるね」
「わ〜〜〜っ!!まてっ!マジでまてっ!!それはいくらなんでもマズいって〜〜〜っ!!」
「も〜タカくん、そんなコドモみたいなことばっかり言ってたらダメだよ〜」
「イヤ、子供じゃないからイヤがるんだって」
「問答無用〜…てりゃ☆」
“ずる…”
(グッバイ、俺のズボンとパンツ。非力な俺を許しておくれ…)


「タカくんって、普段はそれくらいなんだ…」
「ノゾき込むなぁ〜〜〜っ!!!」




(はぁ、なんかムダに疲れたような…とりあえずもう遅いし、寝るか…)

「ん、しょっと」
“どさっ”
このみが客間からフトンを持ってきて、寝支度を整えている

「…ここで寝る気か?」
「うん、お母さんに電話したら『病気の彼氏を放り出して帰ってくるような、薄情者を娘に持った覚えはない』だって」

(寝巻き用意してたってコトは、ハナっから泊まるつもりだったってコトだよな…)

「…風邪、伝染るぞ…」
「平気だよ、タカくんの風邪だもん」

“こつん”
「うん、熱も下がってきてるみたいだし、もう大丈夫そうだね」
自分のオデコで熱を測りながら、嬉しそうにつぶやく。当たり前だが、すぐ目の前にはこのみの顔がある。
「ああ、このみのおかげだな…」
皮肉じゃなくて、本気でそう思う

「えへへ…でもね、タカくん。このみ先生の診断によると、タカくんはこのみ分が不足してるんだよ」
「…なんだよ、それ…」
「病気や疲れて身体が重いときなんかは、このみ分をしっかり採らないといけないんだよ」
「…そうだな。そうかもな…」
「だからね…このみの元気、タカくんに分けてあげるよ…」
そういって、目を閉じて唇をよせてくる
「…風邪、伝染るぞ…」
「平気だよ、タカくんの風邪だも…んっ―」





「ケホ、ケホッ…えへへ〜」
「う〜ん…まさか、ここまでお約束な展開になるとはな…」
「ど〜せ二人で、風邪が伝染るようなコトしてたんでしょ」
(見透かされてますか、春夏さん!?)
「えへ〜…」
「顔にしまりがないっ」
“こつんっ!”
「あいたっ…―おかーさん、病人をおたまで殴るなんてヒドイよ〜」
「病人だからって、関係ないわよ。シャンとしなさい。シャンと」
「う〜〜…」
春夏さん、あいかわらずのスパルタっぷりだ

「きょうは一日おとなしくしてなさい。タカくんも、ほどほどにね」
「な、なにをですかっ!?」

“ぱたぱたぱた・・・”

春夏さんが出て行くのを確認してから、このみにそっと耳打ちする
「このみ…身体拭いてやろうか?」
「ダ、ダメだよっ、絶対ダメっ!タカくんのエッチ〜〜!」
途端に顔を真っ赤にして、フトンにくるまる。完全防御の構えだ。
(不公平だ…)

「あー…このみ?」
「エッチなタカくんなんて知らない」
(そんなこといって…自分がして欲しいときは、しないとスネるくせに…)

「じゃあ…この貴明先生が、このみが元気になる薬を処方してやるよ」
「…なに」
「ホラ」
“ぴらっ”
「このみが行きたがってたテーマ・パークのチケット。元気になったら、二人で行こうな」
「・・・」
もそもそとフトンから顔をだしてくる

「…約束だよ。今度のお休みまでには絶対によくなるから…」
「ああ、約束だ。だから、がんばって元気になれよ」
「えへ〜、何だか元気が出てきたみたい。タカくん先生はスゴイ名医だね」
「このみ専門の名医だからな。―で、これが今日の分のお薬―…」

「〜ん…ぷはぁ…もぉ、タカくん…また風邪、伝染るよ…」
「平気だって、このみの風邪だからな…」


【エンド(レス?)】

●というわけで、今回のエロスは前回のクラナド・藤林椋エロスで鮮烈デビューを果たされた拓哉さんのSSを
掲載させて頂きました〜♪ 今回はエロは薄めで、激甘ラヴに重点を置いたSSとの事だそうですけど…?

●キバ○シ「俺たちはとんだ思い違いをしていたようだ。いいか、今回のSSはエロスとは程遠いシナリオと
拓哉さんはおっしゃっているが…。もう一度見直してみて欲しい」
ナ○ヤ「どっからみても良くあるイチャイチャモンのSSじゃねーのか?」
キ○ヤシ「即断は禁物だぞ、ナワ○!!(+□+) いいか、このキーワードだけに全精力を注いで欲しい。
「タカくんって、普段はそれくらいなんだ…」

イ○ダ「まっ、まさか、キ○ヤシさん、これって!?Σ( ̄□ ̄;)」
キ○ヤシ「フッ、さすがに勘のいいイケ○は気付いたようだな…( ̄ー+ ̄)
そう、このセリフから、このみはタカ坊の最終形態を知っている事が推測される。
つまり、今回のSSは『そこはかとなくヤッちゃってますっ(>ヮ<)』SSじゃなくて、
読者の知識と想像力を働かせる事で、その無限の広がりを発揮できる、
『ヤッちゃってること巧妙に隠してますっ(>ヮ<)』SSだったんだよ!!(°□°lll)」

「な、何だtt(ryΣ(´Д`lll)

●つか、このみって何もしらないウブなネンネかと思えば結構進んでるトコもあったり。
デパートの買い物での下着選択イベントでは「タカくんって、こういうの好きなんだ…」とか、
双子シナリオでは主人公と姫百合姉妹が寝っ転がっているのをタマ姉と同じく(?)3Pと解釈したり(爆)
きっと、エンディング後の修学旅行から帰ってきた後は、
『リアル・タカくんエネルギー』を文字通り注がれちゃってるんでしょうなぁ…(*´д`*)(死滅)
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戻ります〜♪