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〜ゆく年、来る年〜
ちちち…ちゅんちゅんちゅん。

「…ん」
朋也がおぼろげながら目を開けると、ベランダに止まっているスズメの影がカーテン越しに見えた。
一月一日、元旦。本来ならめでたい日なのだが、正月の朝というのはどうしていつもこんなに寒いのか。
屋内とはいえ、夜に冷やされた空気に布団から出した顔がさらされとても寒い。あわてて布団を頭からかぶり直す。

二度寝。この寒い日に暖かい布団に包まれて寝なおすのは筆舌に尽くしがたい気持ちよさがある。
(そういえば、何か今日は大事な用事があったような…)
だが、そんな一握りの思考も覆いかぶさってくる睡魔の前に押しつぶされようとしていた。

トントントン。
誰かが部屋のドアをノックする音で一瞬だけ睡魔が俺の頭から遠のく。

「おい、朋也。起きているか。私だ」
この声は…智代か。

トントントン。
智代の声とドアをノックする音。今の俺にはそんな声や音さえも子守唄に聞こえる。
あ〜、もう駄目だ…。

「起きろっ!!」
ガバアッ! 俺の上に覆いかぶさっていた暖かいものが取り去られる。
その直後、体全体に刺すような冷たさが襲い掛かる。

「うおっ!? さ、寒いっ!」
あまりの温度の急激な変化に俺は慌てて飛び起きる。
この感触を強いて言うなら、赤道直下の熱帯夜で寝ていて、朝起きてみたら
隣に北極グマが居る北極大陸に移されたような感じだろうか。
…少々大げさだが。

「おい、今日は何の日かちゃんと分かっているんだろうな?」
俺の布団を取り上げた智代が睨み付ける。

「一月一日」
「うん、そうだな」
「元旦だな」
「うん、そうだな。で、元旦の日にする私たち日本人恒例の行事と言えば何だ?」
「…寝る」
俺は智代の掴んでいる布団を引っ張り戻す。

「こらあっ!」
「俺の布団…返せっ!」
智代と綱引き…いや、布団引きの状態になる。
だが、地面に二本の足でしっかり立っている智代と、ベッドの上で腹ばいになって布団にしがみ付いている俺。
いくら男と女の力の差があろうと、この絶対的な地形効果(?)の影響で俺はあっという間に
ベッドから引きずり降ろされてしまう。

ドスンッ。
「痛ぇっ!」
目のめりで床に突っ伏した。

「まったく…お前のだらしなさは年が変わっても全然変わらないな…」
呆れ顔で智代が布団を俺の手の届かない所に畳み込む。
その時、俺は初めて気が付いた。

「あ、智代、お前その格好…」
智代が着ていたのは、桜色の明るく輝くとても綺麗な晴れ着。
いつもはヘアバンドで留めている髪も後ろにポニーテールで結んでいた。

「やっと気づいたかっ」
早く気づいてくれよ、と言わんばかりに智代が腰に手をあてて得意そうな顔をする。
殺風景なこの寒い部屋にまるでそこだけ春が来たような…。

「どうだ? 似合っているか?」
振袖を文字通り俺の前で振って、まるでショーモデルのようにかろやかにその場でくるりと回る。

「…ああ、すごく似合ってるぞ」
ここは素直な感想を言っておく。というか、智代に晴れ着は似合わない、
とか言う男がいたら観てみたいものだ。

「そ、そうか?」
少々照れくさそうに智代が笑う。
「むちゃくちゃ女の子らしいぞ」
「そうかっ」
その言葉に智代が目を輝かせる。

「どうだ、分かったろう。早起きは三文の得、だという事を」
「…一体俺が何を得したんだ?」
「私のむちゃくちゃ女の子らしいところが観られたからだ」
えへん、といわんばかりに胸に手を当てて言う。

「ほら、新年早々良い事が起こったんだから、初詣をするともっと良い事が起こるぞ。
だから、さっさと支度しろ」
…どんな原理だよ。
…まあ、晴れ着姿の智代と二人並んで参拝道を歩くのもなかなか悪くない。
あれほど俺を蝕んでいた睡魔もいつの間にかすっきり消えていた。

うーむ、それにしても改めてみると、智代のような芯の強い女の子には晴れ着姿はとてもよく似合うと思う。
もともと長身な上、スタイルも良いし、綺麗な長い髪が映える。
その智代の姿を見て、俺は何とも言えない気分になる。

「なあ、智代。お前さっき、「元旦の日にする日本人恒例の行事」があるって言ったよな」
「うん? その恒例の行事の初詣にこれから行くところだが」
「実は俺たち日本人には、初詣の他にもうひとつ恒例の行事があったんだよ!!」
某マガジンミステリー調査班のような剣幕で智代に詰め寄る。

「何だそれは?」
老婆に化けた狼とも気づかず、期待に満ちた表情で聞き返してくる赤ずきんちゃんこと智代さん。
俺はそんな智代に心の中でほくそ笑みながら、溜めていたネタを一気に吐き出す。
「それは…姫始めだーっ!!」

ガオーッ!
…と、オオカミのポーズでおどけて見せる。
いや、もちろんこれは冗談だが。
いくら智代が彼女とはいえ、新年早々からそんな事を許してくれるはずが無い。
だが、すごくしたい。それだけ、晴れ着姿の智代はとても魅力的だった。だが、

『まったく、お前はホントにスケベなヤツだな…』
と呆れ顔で返されるのがオチだろう。ところが。

「…いいぞ」
「へっ?」
思いもしない返答に声が上ずった。

「姫始め、するんだろう?」
「マジ!? いいのか?」
これこそ正に棚からボタ餅。何事も言ってみるものだ。
えーっと、そういえば着物ってどうやって脱がせるんだったっけ…。
巫女服は脱がせやすいって聞いたが。えーい、ままよ!
脱ぐ役割分担は智代に任せる! 俺はただ智代に快感を与えてやる役に徹する!
サッカーでいうと、一番の華といわれるフォワードみたいなものだ。
智代はそんな俺をゴールへと駆り立てるミッドフィルダーといったところか。

「じゃ、智代っ! さっそくいただきまーすっ!」
「おいおい、まだ準備が全然出来てないぞ…。まずはお米を研いでからだな…
ってこらっ! なっ、何をするっ!」
智代が何か言ったようだが、かまわず彼女の口を自分の唇で塞ぎ、ベッドに押し倒す。

「ちょっ…朋也…ダメっ…こんな朝はやくからっ…はあんっ」
智代の体がピンク色に染まるまでにそう時間は掛からなかった。


**************************************************************************
きゅっ、きゅっ。
智代はこの家のどこにあったのかも分からない冠婚葬祭儀礼の本にペンで何やら書いている。

「ほら、そこの蛍光ペンで印をつけたところを声を出して読んでみろ」
「ふむふむ…」
言われるままにマーキングされた箇所を読み上げてみる。


「姫始め(ひめはじめ)」
頒暦(はんれき)の正月に記された暦注のひとつ。正月にやわらかくたいた飯(=姫飯(ひめいい))を食べ始める日とも、「飛馬始め」で馬の乗り初めの日とも、「姫糊(ひめこ)始め」の意で女が洗濯や洗い張りを始める日ともいわれる。



「…………」
「…………」
「…さいですか」
「…そうだ」
智代が着物の襟を直しながら、俺をジト目で見つめる。
いや、今の世の中、こっちのほうの意味を知っているほうが稀有な存在だと思うんだが。

「ま、まあ、お前もずいぶんと気持ちよさそうだったから良いじゃねぇか」
「ばっ馬鹿っ…! あれはだな、その、恋人が…そういう事を求めて来たら、
拒まずにちゃんと受け止めてやるのが彼女としての役割と言うものだろう…!」
顔を真っ赤にして智代が必死に弁明する。可愛いったらありゃしない。

「それとさ…前々から聞いててホントかウソか迷ってたんだが…
着物の下は『穿かない』っていうのはホントだったんだな」
「…っ!」
智代の顔がますます真っ赤になる。

「その…なんだ…。わたしもウワサに聞いてたが、男ってのは女の子が「穿いてなかったら」
その…すごく嬉しいというのはやっぱり本当なのか…?」
おそろおそる聞いてくる。

「男の夢のひとつさ!」
親指をグッと立て、これ以上ない爽やかな笑顔で返す。我ながら良い表情だったと思う。
その俺のあまりにも爽やかな表情に、

「プッ…あはははっ」
智代がにらめっこで負けたように笑いだす。
笑う角には福来るというが、彼女の笑顔を見ているとそうなんだな、って実感できそうな気がした。

「まったく…お前は本当にスケベなヤツだな…」
笑い泣きの涙を指で拭いながら呆れ顔で返される。その仕草がとても嬉しい。
そして俺は彼女に向き直る。

「あー、そうそう、忘れてた。新年になるとしなくちゃいけないもうひとつのヤツ」
「…ああ、そうだな」
智代もそれが分かっているのかベッドの上で正座をして俺に向き直る。

『新年あけましておめでとうございますっ』

俺たちの一年は、ここから始まる。

おしまい


●はい、大変お待たせいたしましたー。「日曜日のエロス」と銘打っておきながら、
何と木曜日の午前1時半くらいにまで伸びてしまいました…。
昨晩は日付変更線を越えてまで日エロの更新を今か今かと息を潜めて見守っていたオオカミさんたち、
お疲れ様でしたー(笑) やっぱSSは多大な精神力を疲労しますね。

『エロ絵も描く』『エロSSも書く』『両方』やらなくちゃいけないのが『日エロ総帥』のツライところだな。
覚悟はいいか? …アタイは出来てる( ̄ー+ ̄)(ブチャラティ調)

いや、まあ投稿日エロSSのストックはまだあるんで、わざわざわたしが書かなくても良いんですけどね。
何故か智ぴょんエロスSSはひとつもないので、最近影の薄い彼女を書き下ろしてみました。

●どうでもいいけど、毎週の日エロのタイトルは詰まったときは邦楽のタイトルから
よく引っ張ってきてるんですが、邦楽でお正月ソングといったら検索しても
『お正月』『一月一日』
ないんですよねー。
お陰でタイトルのネーミングが付かなくて『エロス29タイトル未定』のままでした。
クリスマスソングは腐るほどあるっていうのにねぇ。

●次回はめでたく日曜日のエロス第三十回目です。
まあ三十回目ですから、新キャラ登場とか、すぺしゃるとか、久々にweb漫画復活とか色々考えてますので
楽しみにして待ってて下さいませ〜。つか、今週は遅れに遅れまくったからあと三日で次回のエロスなんだよな…_| ̄|○
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戻ります〜♪