私は昔、荒れていた。
…いや、昔というほど過去の事でもないが、とにかく荒れていた時期があった。
夜の街に繰り出しては、迷惑な輩を片っ端から片付けた。
それは、言葉で注意するなんて易しいことではなく、実力行使で黙らせるといったものだった。
腕っぷしには自信があったから。
でもそれは、決して『人のため』にしていたわけではない。
ただ気に入らなかっただけだった。
自分の目にはいる、全てのものが。
そして、そんな不細工な私の心も。
そんな日々に明け暮れていた。
手当たり次第に傷つけ、そして傷ついた。
たくさん血を流せば、自分の中の悪いものも出ていくんじゃないかと思った。
でも、流れ出すのは温い血だけだった。
結局また同じ事の繰り返し。
どうしたらこんな生活が変わる?
どこかに切り替えるスイッチでもあるのだろうか。
でもそんなものは見つからなかった。
…喧嘩ばかりしてた頃は。
私のスイッチは弟だった。
弟―鷹文のおかげで、私は変わることができ、そして目標ができた。
それから私の周りの状況はあっという間に変わった。
世界が拓けた、とはこういうことを言うのだろう。
そうして朋也とも出会えた。
そうして駆け抜けたたまゆらの日々。
一緒に馬鹿をやって、恋愛をして…。
あの頃の私からは想像もできない、楽しいことばかりだ。
目標の第一歩でもある生徒会長にもなった。
隣には大切な人がいる。
―今、私の心は輝いている!
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