鹿島槍ヶ岳 2889.1m |
2007.08.05〜08.07 |
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台風5号の行方を気にして、計画より一日後にずらし、念願の長野県大町市にある「鹿島槍ヶ岳」へと、我が家を朝4時出発。大型トラックに煽られながら中央道をひた走り、双葉S.Aでつかの間の休息をして、目的の大町温泉に着いたのは8時。温泉街は、朝食の支度で大忙しの時間だ。下山時に宿泊予約してあるホテルの駐車場に車を停め、タクシーで大町アルペンラインを、扇沢方面へ15分程走って登山口の柏原新道に着いた。今回は、人任せの計画に乗っかった登山なので準備不足は否めないが、さあ、どんなハプニングと感動が待っているのか、イザ出発・・・・ | |
【コース】 爺ヶ岳登山口→(柏原新道)4時間→種池山荘(泊) 種池山荘→(40分)→爺ヶ岳→(1時間30分)→冷池山荘→(1時間30分)→布引岳→(2時間05分)→鹿島槍ヶ岳 鹿島槍ヶ岳→(30分)→吊り尾根→(往復15分)→鹿島槍北峰→(1時間30分)→キレット小屋(泊) キレット小屋→(4時間)→五竜岳→(1時間10分)五竜山荘→(3時間40分)→アルプス平テレキャビン駅 | |
【爺ヶ岳登山口】8月5日8:50 予報に反して天気は良好、いやがうえにも気分はたかまり、気がはやる。本日の目的地「種池山荘」まで上り4時間のコースだ。歩き始めてすぐに急登が続き大汗が身体中から噴出す。風が無い!蒸し暑い!顔からボタボタと汗が落ちる。思わず叫んだ「風よふけ〜!」「雲よ太陽を覆え〜!」マジ アヂーー! | |
【水平道】11:30 しばらく登ると、扇沢の大駐車場が樹林の間から眼下に見える。車がちっちゃーーーい!こんなに遅い歩みなのにいつの間にか高みに来ていたのだ。 スポーツドリンクの粉末入りの水を飲む。真水よりも体に染み渡って体の乾きを潤してくれる気がする。下山してくる人毎に種池山荘まで後どのくらい?と聞いて、自分を元気付けながらあえぎあえぎ登り続ける。 | |
【種池山荘】13時着 | |
遅めの昼食の途中、なにやらざわめきが起こって雷鳥がいると大騒ぎしている。 エーーーッ!雷鳥?私、まだ一度も見たこと無いのよ!と、 入れたばかりのコーヒーをほっぽらかして騒ぎの方に走った。キャーーーッ!いたよーー! しかも、子連れ雷鳥。お花畑の中で花をついばんではチョコチョコ歩いている子供と、 母鳥は子供たちを見守っている。大勢の人間が大騒ぎしているのに動じないよ! なんだか、雷鳥のイメージが違ってきた。もっと野生の魅力に心震わされるものかと期待していたから、 なんだかガッカリ・・・・・・ニワトリみたいなんだもの〜! | |
【キヌガサソウ】 種池山荘の庭に群生していました | |
【種池山荘より爺が岳を望む】 そんな雷鳥にも飽きて小屋の中に入ると、今夜は二枚の布団に三人程度の混みようらしい。マア良い方かな!三時近くになってこれから二時間以上も歩いた先の冷池山荘まで行く人が大勢いる。イヤーー元気だ!私たちはここまでが今日の限界。 種池山荘には自由に使える水が無いので、小屋から1人1リットルの水が支給されてその水で顔も洗い、歯磨きもするのだそうだ。夕食はニシン、ひじき、油揚げのキンチャク、など結構美味しかった。疲れていたので8時過ぎに就寝。 | |
乾燥室に濡れた物を干しに行こうとしたら、庭下駄が全部出払っていたので、仕方なく自分の登山靴を出して履き、一歩、そして二歩目に激しくスッコロンだ!自分でも一瞬何が起きたのかわからなかったけど、気がつけば登山靴の両足の紐がしっかり結わえてあった。二人三脚してるんじゃないんだから〜!痛いよ〜!ストーブの角に脇腹を激しく打ちつけ、片手両足で全体重を受け止めたので、傷だらけだし痛いし、恥ずかしいし!デモね!誰も知らん振り!気の毒で見ていられなくて知らん振りしたのか、それとも冷たいのか!あ〜あ!初日からやっちゃったよ〜!明日からの山歩き、持ちこたえれるかしら??
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【種池山荘より】 | |
【種池山荘より針の木岳と蓮華岳】 | |
【種池山荘より夕日を浴びた立山】 | |
【種池山荘と立山・剣岳】8月6日 小屋の朝食を済ませて、ちらし弁当¥800を受け取り、5:50出発。 天気は快晴、朝露に濡れた這い松の道を緩やかに登っていき、 振り返ると、赤い屋根の種池山荘の向こうに立山連峰と剣岳が朝日に輝いている。 さすが堂々として凛とした風格は私の10名山のトップに位置する山だ。 | |
【爺ヶ岳南峰頂上】8月6日6:30 三つの峰からなる爺ヶ岳の南峰の稜線近くに、お爺さんが種まきをしている雪形が、麓の安曇野から見える事から、この名前が付いたそうです。 | |
【コマクサ】 | |
爺ヶ岳でのんびりしていられない。これから先が長いのだから・・・ しばし山頂の醍醐味を味わった後、中峰、北峰を巻いて下る。 | |
【冷乗越】7:50 赤岩尾根の分岐地点である冷乗越から見上げる 鹿島槍ヶ岳の双耳峰が 吊り尾根に雪を残して朝日に眩しい。 | |
【タカネバラ】 | |
【冷池山荘】8:00 2387m 爺ヶ岳より300m近く下って冷池小屋着。この時間で も小屋にはまだ出発していない登山客がいる。小屋の前でお茶を沸かして軽食。 ここ冷池山荘は標高2387mに位置している。これから2889mの鹿島槍ヶ岳山頂まで約500mを登る訳だ。しっかりと腹ごしらえをして、8:45冷池山荘出発。 | |
【アオノツガザクラ】 | |
【遭難の碑の先に布引岳を望む】 布引東尾根から吹き上げる涼風に、背中の荷物の重さも、流れる汗も消し飛ぶような心地良さに酔いしれながら、一歩、又一歩と高みを目指す。 | |
【黒部渓谷を隔てて立山連峰を望む】 足元の可憐な花々が元気をくれる。 | |
【コイワカガミ】 | |
【布引岳山頂】9:55 2683m 通過地点の布引岳 | |
【布引岳より鹿島槍南峰を望む】 登山道が果てしなく伸びたその先に、円錐形の鹿島槍南峰が聳えている。さあ、頑張って頂上を目指そう! 鎌尾根から雲が湧き上がってきた。 | |
【鹿島槍南峰直下の尾根道】 頂上へとジグザグに伸びた登山道の脇には高山植物がその可憐さで夏山を彩り、 左方面を見ると、立山連峰がその美しくも険峻な姿を誇示いている。 剣岳登山では大変な思いをしたなぁ!等と、苦い経験の反省をしながらサラに一歩登る。 | |
【ミヤマコウゾリナ】 |
【キヌガサソウ】 |
【トリカブト】 |
【テガタチドリ】 |
【鹿島槍ヶ岳山頂】10:50 2889.1m ワーーーーッ!黒部渓谷を隔てて剣岳がどっしりとその黒々とした姿に真っ白い雪を残して対峙している!それに連なる立山連峰。 頂から四方の山々を見渡す醍醐味は苦しい思いをしないと味わえない! 種池山荘のチラシ弁当はイマイチだわ! 天気が良すぎて暑い!日陰が欲しいなんて思うのは3千メーター近い山頂では見当違いかもしれないけど・・・・ 11:40頂上出発。 | |
【吊尾根】12:10 鹿島槍は南峰北峰両方で一つの山なのだから北峰にも登らなくては・・・・降りてきた人に聞くと往復15分位だと言う。見上げると北峰の頂上は、はるか上のほうに聳えているのに信じられない。意を決して背中のリュックを吊り尾根に置いて空身で登り始める | |
【鹿島槍北峰山頂】 2842m 荷物が無いというのはこれほどにも違うものなのか、はるか上だと思った頂上は7分位で到着してしまった。アレーーーッ?なんだか侘しい頂上だこと!見捨てられたような頂上の有様。看板だって申し訳程度に有るだけ!北峰には来なくていいよって言ってるみたいだ。ガッカリしてすぐに下山。往復15分は正解だった。 | |
【ミヤマアキノキリンソウ】 | |
【八峰キレット】 吊り尾根から今日の目的地の「キレット小屋」までは 2時間のコースだが、 地図にも「急な登下降、鎖,ハシゴの連続」と、 注意書きが有る程、難所中の難所らしい 昨夜種池山荘でスッころんだ時の怪我は、 思ったよりダメージを受けて無かったようで、良かった! | |
鹿島槍にこんな難所が有るなんて知らなかった!甘かった自分を反省し気持ちを引き締めて岩峰に取り付く。それからの2時間は文字通り鎖と梯子の連続で少しも気を抜けない。眼下にキレット小屋が飛び込んできた時はホッと安堵のため息が漏れたけど、それから小屋までが又、急な絶壁で、ここにこそ梯子が欲しいと思った。兎に角無事キレット小屋に到着。13:55 | |
【キレット小屋からの夕日】 | |
【夕日に輝くチシマキキョウ】 | |
キレット小屋で受付の際、洗面所で身体も顔も洗えると聞いて大喜び、 でも、水はチョロチョロしか出なくて・・・・・ それでも、乾燥室が有って、汗になった衣服がすっかり乾いていました。 種池山荘では乾燥室とは名ばかりで気持ち悪い思いをしたので、 この小屋は登山者にとても親切! 夕食は、ハンバーグにキャベツの千切り、生野菜に飢えていたので残らず平らげてしまった。 夜は、近くの人のいびきが、もの凄くて、とても眠れない! 頭ぶっ叩たくか、ケリ入れてやりたい程! 空いている離れた場所に行ってやっと寝付くことが出来た! 他人のいびきなど関係なく熟睡出来てこそ、真のアルピニストなの?・・・・ ・・・・・外は雨だ・・・・ | |
【8月7日】6:00出発 夜明けを待たずに出発する人の、あわただしい身支度の気配に眼が覚める。昨夜の雨もすっかり上がり、 冷涼な空気が小屋全体を覆って、彼方に立山連邦、 中でも盟主剣岳は その険しい姿を朝靄の中に浮かび上がらせている。 小屋での手作りの玉子焼きに感動しながら、 朝食を済ませ、 ツアーガイドの率いる団体の 準備運動をまねて身体をほぐし、サア、出発! | |
【朝靄に浮かぶ剣岳】 | |
いきなり岩腹を横切る気の抜けないコースだ。 一足先に出発したツアーのグループが道を譲ってくれたので、 岩に付けられたルートを示す黄色の丸印を読みながら慎重に進む。 そういえば、初日に行き会った団体の人は、 立ち止まっている時でも膝がガクガク震えていたのを思い出した。 あの人は無事に下山できたかなぁ・・・ | |
【キレット小屋】 2518m |
【口の沢のコル】 2416m |
キレット小屋を後にして、急峻な岩峰の連続をやり過ごしホッと一息、 振り返ると、山の窪みにスッポリ挟まっているようなキレット小屋がはるか下の方に見える。 そのまま眼を上空に移すと、朝日に輝く鹿島槍ヶ岳の双耳峰が優美な姿で空に聳えている。 彼方に目を移すと、剣岳は雲海に浮かび、目指す五竜岳は眼前に迫って早く来いよ〜! と手招きしてる感じ。 身震いする感動を覚え立ち尽くす。 今日は五竜岳を経て白馬五竜スキー場のアルプス平まで、 それからテレキャビンで下りて、タクシーで車を置いている駐車場まで・・・・ ・・・・ガンバッ!・・・・ | |
【鹿島槍ヶ岳】 |
【ミヤマキンポウゲ】 |
【北尾根の頭より五竜岳を望む】 2560m 鹿島槍が優美で女性的な山だとしたら、 五竜岳はどっしりとした男性的な感じがする。 | |
【五竜岳頂上】 10:00 2814.1m 途中で、岩に掛かった鎖を見失ってコースをはずれてしまったけど、 少し登り返してコースを修正し、五竜岳頂上に着いた。 後で気が付いたけど手前の分岐地点にリュックを置いて来れば良かった。 又、分岐地点まで戻るのだからぁ!シッパイ! | |
【五竜岳からの下り】 生憎、頂上に着いた途端にガスって来てしまったので、 早々に元の分岐まで戻って五竜山荘を目指す。 | |
【ミヤマシャクナゲ】 | |
ここから五竜山荘までは少しのハシゴと鎖を過ぎれば、 なだらかな尾根を横切るコースで快適な道だ。 途中で岩の上で休んでいる人が「その下に雷鳥が居ましたよ!」と言ったので それからは眼を皿のようにして雷鳥を探しながら 足元を気にしながら歩いたので今までより数倍疲れた。 結局、野生の魅力に溢れた雷鳥には会えなかった・・・・ | |
【五竜山荘着】11:10 2451m ガスの中から突然五竜山荘が現れた。 不思議だ!今まで何にも見えなかったのに・・・・ | |
【ハクサンフウロ】 | |
小屋では家族連れがお弁当を広げて和やかなムードだ! ここまで来れた事で安心して食事をしていたら、 テレキャビンの最終は4:15だからぎりぎり間に合うかどうかだ急げ! と言う事になって、大慌てで後片付けをして空模様の怪しくなってきた小屋を後にする。11:50。 足元には高山植物が群生して珍しい花々も多い。 時間が無いので写真を撮る余裕も無く、 眼に焼き付けて花々に、心の中で「こんにちわ」「さようなら」を言う。 アルプス平まで4時間の下りは自分の膝との戦いだ! 今にも雨が降りそうだったのに高度が下がるに従って太陽は熱斜を浴びせてくる。 だんだん膝が主張してくる。 私のか細い(?)足よ!お願いだから頑張って! と祈りながら長い尾根下りを必死で下りる。 | |
12:30 遠見尾根より見上げる 雪渓の上に五竜岳が有るはずなんだけど! | |
【池塘】12:45 まだ、残雪が残っている | |
【中遠見】13:45 こんなに晴れて暑いのに五竜岳はガスの中に スッポリ包まれている ストレッチなどしたら、足の疲れが少しおさまった。 | |
14:07 果てしなく続くと思われた遠見尾根も こんな標識が現れたら、 何気に人間界が近い事を感じさせる あと少しだ! | |
【ミヤマホツツジ】 | |
【ヤマアジサイ】14:33 麓の里の生活の音が聞こえるようになった | |
【地蔵の頭】14:59 1673m やっと地蔵の頭に着いた。 家族連れの観光客が大勢 高山植物を愛でながら 幸せそうな顔をして散策している。 突然夢から醒めた気分がした。 自分の汗のにおいが気になる。 下界モードにスイッチを切り替えないと・・・ | |
【アルプス平】 冬は「白馬・五竜スキー場」となる シモツケソウが一面に群生して紅色の山になっている。 テレキャビンまでは、さらに30分下る。 この30分が3時間にも思えた。膝がもう限界。 | |
【テレキャビン駅】15:25 1515m テレキャビンの駅には 泥で汚れた靴を洗うようにブラシが備えられているので水道で綺麗に洗いテレキャビンに乗り込む。 ・・・・間に合った・・・・ | |
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