薄れゆく意識の中、見たのは崩壊する古代大陸の欠片。
それは崩れていく世界に似ていた。
最期に、マルコが見たその檻と、その扉は。

これは私が最後に出した答。

[騙る檻]


あの日、死んでいれば良かった、と。
貴方に再び会えて、ただそう思った。
勝てることなどないと分かっていた。
それでも貴方に挑んだ理由。

貴方に殺されたかった。

それ以外に他ならない。
11月に降る雪の日 。
貴方が私に気が付かなければ。手を差しのべなければ。
私はあの時棄てられた赤子のまま、無力なままただ死んでいったものを。
死ぬはずだったものを。
貴方は私を拾って、悪戯に私を生き長らえさせた。
あの日死ぬはずだった私を。

貴方が少しだけ、長くくれたこの命。
貴方に会えて良かった。
貴方がいた。
それだけで、この世を生きて良かった。

その貴方が、
私の世界が、

もう終りだと謂うなら。
私は終わるのだろう。
私に生を授けたその手で私は終わる。

そっと、抱かれて。
この瞬間のために産まれてきたに違いない。

「私もすぐに行くよ」

「楽園へ…」

嗚呼、楽園は此処に。


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