[xXX・V]


「ん……くっ……。」
胸の突起を指先で引っ掻くように弄られ、マルコは押し殺した声を上げた。

ハオに囚われてから何日も日が経っている。
その間、数日おきに度々ラキストが現れマルコの体を嬲っていた。
何度も何度も、時間をかけて全身をくまなく探られた。

ラキストは尖った乳首の形を舌先で微かに触れ、ゆっくりと何度も辿る。
もどかしく緩慢なその愛撫にマルコは震えた。
体はさらに胸を突き出して、もっと強い刺激を求める。
それに答えるように、ラキストはそこを軽く噛んだ。
さらに大きく、マルコが体を反らせる。
そこを吸い上げながら、ラキストは愛撫の手をマルコの花芯へと伸ばした。
濡れたそこに軽く指を当てる。
動かす必要すらなく、小刻みに体を揺らしマルコの方から擦り付けてきた。
「あ……っ う……厭、だ……。」
自分でもそれが分かるのか、マルコは顔を歪めた。
「離せ、触るな……ぁ。」
マルコが喘ぎながらやっとのことで拒絶の言葉を吐く。
しかしラキストは逆に当てるだけだったその指を動かし始める。
濡れた亀裂に沿うように、そこを撫でる。小さな水音が聞こえた。
止め処なく蜜を溢れさせている秘所を、ラキストの指が進み始める。
まずは、一本。何の抵抗もなくそれはマルコの体内へと飲み込まれた。
内壁の凹凸一つ一つを確かめるように、ラキストの指は中を擦った。
浅いところまで引き抜く度に愛液は量を増して絡み付いた。
ラキストは一気に指を三本まで増やす。
しかしそれでも抵抗らしい抵抗をせず、マルコの体はその指を咥え込んだ。

毎回、決してラキストは挿入をしてこなかった。
指だけをマルコの秘所に差し入れ、かき回すのだ。
その快楽は日に日に強くなり、いつしか声を押さえる事は不可能になっていた。

三本の指がマルコの中を探っている。
その動きに合わせて、マルコは身を捩った。
「あ……っ。」
舌が、胸を離れ下半身へと向かう。
そして、血液が集まり敏感になっている花芯へと辿り着いた。
既に濡れそぼっているそこを、始めは優しく拭うように舐める。
しかし、それは逆にマルコの秘所から蜜を溢れさせるだけだった。
後から後から湧き出てくるそれをラキストが音を立てて啜り始める。
その度にマルコは腰をくねらせ、快楽を求めた。
「ふぁ……っ んんっ……。」
中を探っていた指が、膣の入り口を大きく広げる。どれだけ広げられても、それは苦痛にはならなかった。
熟れた色が空気に晒されて震えた。じわりと染み出た蜜が、双丘を伝っていく。
意識はラキストが触れる一点に集まり、頭が朦朧と霞みだす。
躯は熱く火照るばかりで快楽だけが全身を這い回る。
マルコはどこか心細そうで、それでいて婀娜めいた潤んだ瞳を彷徨わせた。
蕩けた中を探る指と、尖った花芯を弄ぶ舌に翻弄される。
もっと躯を深く犯して欲しくて、マルコは下半身を押付けるように動く。
脳内が痺れたように霞みは更に濃くなり、真っ白へと近づいていく。
断続的に背を反らせ、マルコは激しい吐息に混じり喘ぎ声を高く上げた。
きつく閉じた瞳から涙が溢れ、零れた。
ただ、もっと触れて欲しい。それ以外のことはもう何も考えられなかった。
堪らずに躯を動かし、自らを高ぶらせるあと少しの快楽を得ようとする。
「あ……んんっ……っっ!!」
躯を疼かせていた熱たちが、一気に弾ける。全身に、激しい衝撃が走った。
大きく背をしならせマルコは絶頂を向えた。体中を熱いものが駆け巡る。
高みに押し上げられたまま、熱は体からなかなか去らなかった。
急に緊張の弛緩した躯が、余韻を引いて痙攣している。
唇の端からは、一筋の唾液。
それでもまだ躯の奥が少し物足りなさそうに痺れていた。
ラキストは肩で息をしているマルコの腕を掴んで無理矢理身を起こさせる。
そしてラキストは屹立した自身の物を取り出すと、マルコに握らせた。
「っ!!」
びくりとしてマルコが引こうとした手を上から掴む。
「出来るだろ、やってみろ。」
ラキストは掴んだ手を上下に動かす。
マルコの手の中でラキストの物が擦れ、硬度を増した。
熱く脈動を繰り返す欲望の塊。掌で感じるそれはマルコを戸惑わせた。
その行為がひどく淫らに感じて、直視できずに目を伏せる。
ラキストは構わずマルコの手を上から掴み、動かし、奉仕を強要する。
あえて見ないようにすればするほど、そこへの意識は高まるばかりだった。
そしてそこからいつしか透明の液体が零れ、マルコの手を汚した。
ぬめる掌で淫らに音を立てながらマルコの奉仕は続いた。
「そろそろ出すぞ……」
そう言ってラキストはマルコの肩を掴むと、口元にそれの先端を押付けた。
柔らかな唇をこじ開けるように、ラキストは淫液を注ぎ込む。
マルコは口内でそれを受け止めた。喉が少し動いて、それを嚥下する。
殆ど反射的にそれを飲み下したマルコを、ラキストはやや驚いて見つめる。
「お前……、」
何かを言おうとしたラキストを遮るように、部屋の扉が開いた。
ノックも何も無く、突然入ってきたハオは無遠慮に二人の方へ近づいてきた。
「邪魔するよ。」
短くそう言い、ハオはマルコを見る。
一糸纏わぬ裸体に絡み付くような視線がマルコを犯す。
「お楽しみだったのかな…?」
「いえ……。」
すっ、とラキストは掴んでいたマルコの肩から手を離した。
「ラキスト、具合はどう?」
不躾な視線から逃れるようにマルコは躯を丸めた。
しかしすぐにラキストの手で押さえられ、ハオの目の前に全てを晒される。
真っ白な肌、桃色に息衝く尖ったままの乳首、そしてラキストはマルコの足を大きく広げ、
未だに小さく収縮する蜜口を暴いて見せた。
「そんなに広げたら奥まで見えちゃうよ、ラキスト。」
普段は閉ざされている濃い赤色のその奥まで視線が射抜く。
内襞に絡まる愛液が光を受け、そこをより淫らに見せる。
マルコは恥辱に頬を上気させた。
「へぇ、随分弄ってやってたんだね。」
揶揄うようにハオが指摘する。
「それとも、随分感じていたのか……。」
ハオの繊細な指先が、マルコの体を這っていく。
「あっ……。」
快楽を教え込まれた上に、一度昇りつめた体は、ほんの少しの刺激でも簡単に震えた。
初めて聞くマルコの鈴の鳴るような声は、ハオを興奮させるには十分に甘かった。
「もっと声、聞かせて……。」
マルコの嬌声を煽るように、ハオが囁きながら硬くなった乳首を指先で弾く。
その度にマルコは逆に声を出すまいと唇を噛み締めた。
そんなマルコを嘲笑うかのように、ハオは愛撫の手を全身に伸ばした。
胸の横を通り、腰を抱くように掌を滑らせ、下から丸みを帯びた双丘を撫で上げる。
ゆっくりと背中を這い上がり、再び両の胸へと戻ってくる。
そして、両側から優しく包み込んで柔らかく揉む。
ハオはマルコの顔を覗き込むようにして様子を窺い、頬を朱に染めて俯く予想通りの反応を見て楽しんだ。
片手が乳房を離れ、下半身へと伸ばされた。
左の指先で乳首の先を、右手の指先では花芯を同じように円を描いて弄ぶ。
下肢はいやらしい音を立てその愛撫を受け入れた。
大量のぬめりの力を借りて、ハオの指が体内へと潜り込んでいく。
体は、歓喜に打ち震え、そして理性は激しい嫌悪を感じた。
すでにマルコのモノではない体とは裏腹に、唇は戦慄きながら言葉を紡いだ。
「厭ぁ…… 触るな……っん……。」
何を言っても聞き入れてもらえないのは分かりきっていた。
むしろ、言葉を吐くほうが面白がらせるだけだと分かっていた。
それでも、拒絶の言葉を吐くことは止められない。
それすらやめてしまえば、本当に堕ちてしまうだろう。全てを失ってしまうだろう。
それだけは認めたくなかった。
僅かに残った理性が、誇りを守ろうと必死の抵抗をしていた。
そんな葛藤すら打ち砕くように、ハオはぬめる膣内を探り、弄虐する。
卑猥な音を立てるようにわざと指を蠢かせながら出し入れを繰り返した。
「っ……。」
マルコはその度に躯を上下させる。
それは、自分でも既にどちらか分からない動きだった。
逃れようとしているのか、快楽を求めてなのか。
ハオの指はその動きに、ただ頑なに中を閉ざそうとするだけだった以前のものではなく、
温かな内側に包まれるようなものを感じた。
ハオはじっとマルコを見下ろし、紅潮する頬や、歪む顔を楽しんだ。
指を引き抜くと、濃い愛液が粘つくように指に纏わりついていた。
ハオはその指に、ちらりと舌を伸ばした。
そしてマルコの唇に強引にその指を捻じ込み、同じようにその味わわせる。
「分かるかい?これがお前の味だよ、マルコ。」
マルコは激しい嫌悪に顔を背けた。
ハオは僅かに肩をすくめた。
「ラキスト、押さえろ。」
その意味するところと、これから始まるであろう行為にマルコが肩を震わせ、縋るようにラキストに視線を向ける。
しかしラキストはハオの命じられればそれが何であろうと決して逆らわない。
ラキストはマルコを仰向けに転がし、頭の上から太腿を掴むとハオの前に大きく広げる。
「厭……ラキ、ストっ……。」
苦しそうな息で、マルコは呟く。
ハオは蔑んだような瞳で、マルコをじっと見る。
そして無言で自らのズボンに手をかけ、ファスナーを下ろした。
ハオが太腿に手をかけると、ラキストは暴れるマルコが身動きを取れないように肩を押さえつける。
硬い床に痛いほど強く押付けられ、マルコが苦痛の表情を浮かべる。
しかしすぐにその表情を消し、ハオを睨みつける。
蔑みの眼と、鋭い眼が互いを映す。
ハオはマルコをそうして見下ろしたまま、自らの怒張をマルコの秘所に押し当てた。
マルコが腰を引こうとするが、二人の男にしっかりと押さえられていてそれは叶わなかった。
ゆっくりと、その切っ先がマルコの襞を分け入って、潜り込む。
抵抗すらできず、それは体内へと呑み込まれていった。
マルコはそれでも必死に首だけを起こし、ハオを刺すような眼で睨む。
「やめろ……やめろっ!!」
しかし、むしろマルコの躯が自らそれを咥えようとすらしていた。
引き込まれるような膣の律動に合わせ、それは根元まで深く突き刺さる。
ハオが抽送を繰り返すより先に、マルコの内部は包み込んだ熱いモノを断続的に絞り、
その度にハオとマルコの両方に快楽を与えていた。
きつく締め付けその形を躯で感じれば、電流のように悦楽が下腹部から背中を通り、頭の芯まで走る。
「や、やぁ……んっ。」
先ほどまでの鋭い目線は、すぐに蕩けた。
ただひたすらに熱かった。
もどかしいほど緩慢な動きで、ハオのモノはマルコの内襞を擦った。
その動きが余計にマルコに中を意識させる。
「沢山可愛がってあげたみたいだね、ラキスト。」
膣内を自らのモノで確かめるように探りながら、ハオはラキストに話し掛けた。
ラキストは黙ってマルコを押さえつけている。
そして下を向いてこそいたが、その眼はマルコを見ていなかった。
「お陰でやりやすい。お前に頼んで良かったよ。」
蕩けていたマルコの表情が一瞬にして強張った。
ラキストを見ようと首を反らすが、それより先に突然ハオの律動が激しく、速くなる。
「あっ……! んんっ……。」
マルコは揺さぶられながら、項垂れるように下を向いたラキストを見た。
その表情を確かめようと目を凝らすも、浮かぶ愉悦の涙で姿は歪み、真意を測り知ることは出来なかった。
呆然とするマルコに追い討ちをかけるように、ハオが続ける。
「入れるなって命令、ちゃんと守っていたのか?」
ハオの冗談めかした問いに、恭しくラキストが答える。
「勿論です、ハオ様……。」
戯れのような命令一つで自分の躯が弄ばれていたのだと思うと酷く遣る瀬無い。
自分の意志とは関係ない所で慰みに扱われる躯を、マルコは惨めに思い、恥じた。
しかし何を思おうとも、淫行は止まらない。
「それならいいんだ。こいつの中は僕しか知らないんだからね。
 ……でも、そろそろ指だけじゃ足りなくなってきていたんだろう?」
ハオが笑いながら指摘したそれは、事実だった。
ラキストの指でかき回される度、疼きを覚える最奥を何度恨んだ事だろう。
望んでもそこだけは決して鎮めてもらえなかった。
それが今、ハオの熱い肉茎で擦られ、突かれ、かつて無いほどの充足を感じていた。
背をしならせ、腰を浮かし、マルコはその陵辱へ堕ちていく。
溶け合うように快楽を貪ることに次第に抵抗を無くし始める。
「そんなに欲しいのかい? 絡み付いてきて、前よりすごくイイよ……?」
自分の体が変わってきたことを指摘され、マルコは屈辱を覚えた。
初めて犯されたときは、どれだけ突き動かされようと苦痛しか感じなかったが、今は違う。
体の奥深くまで揺り動かされ、激しく出し入れされれば感じてしまう。
さらに強い刺激を求め、自ら腰を振る事すらしてみせる。
「ふふ……いい子だ。 もっとしてあげる……。」
抑えようとしても抑え切れない高い嬌声。
女としての快楽を教えられた体は、マルコの意思に反してハオとの情交を歓んだ。
「淫乱だね…… 恥ずかしくないのか?」
何を言われても、もう反論することもできない。
ただ本能の命じるままに何も考えず、行為にだけ没頭した。
快楽の波だけで躯が一杯になっていく。
理性は消え去り四肢は性感だけに支配される。
一際深くまで貫かれた瞬間、マルコは最奥で絶頂を迎えた。
抑えようともしなかった嬌声は、大きく響き渡った。
びくんびくんと何度も背を仰け反らせて震える。
「ん?なんだい?もうお仕舞いなの……? 駄目だよ。もう少し付き合ってもらうよ?」
ハオはそう言って、痙攣を繰り返すマルコの奥を突き上げる。
絶頂を迎え一息つく間も与えられず、マルコは為すがままに犯され続けた。
「ひっ……ひぁ……。」
ハオの陰茎が、マルコの中で更に硬く、大きくなる。
ぐったりとして動けないマルコの躯を自らの為だけに使う。
内襞は生々しく濡れたままで、淫らな音を立て続けた。
「ん……僕もそろそろイクよ……。」
ぐっ、とハオが下肢を密着させ、小刻みに奥を突く。
「やめ……、厭、いやぁ……!!」
正気を取り戻したように、マルコが掠れた声で抵抗を始める。
お構いなしにハオはその腰をしっかり押さえ、奥を揺らし白く濁った精を吐き出した。
熱い液体が、躯を満たしていく。
マルコはそのおぞましさに、狂ったように叫んだ。

瞳を潤ませ、マルコは息を吐く。
痺れの余韻に身動きもとれずにいたが、やっとこの淫虐からも解放される、そう思った。
一刻も早く放たれたものを掻き出し、洗い流したかった。
しかしハオは、まだマルコを自由にするつもりはない。
更なる責苦の提案がされる。
「ラキスト、お前も入れたいだろう?」
マルコは怯えたような複雑な表情でラキストに目を向けた。
呼ばれたラキストが口を開く。
「しかしハオ様、『系譜』は……。」

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