恋の角砂糖




濡れた音が部屋の中に充満する。
長い間あえなくて乾いていた心は、潤いを求めていた。
部屋の中に聞こえるのは濡れた音と……。

「は、あぁああぁっ!」
サイバーが俺の口の中に勢い良く熱を吐き出す。
俺はその雫を一滴残らず嚥下した。
「いっぱい出したね……たまってたのかな?」
「はぁ、は、ぁ、ショルキー……」
サイバーが濡れた目で俺に何かを訴えかける。
顔は赤く、目尻から涙がこぼれ、体には無数の赤い痕が散っている。
そんなサイバーの姿を見て、俺は自分の背筋にぞくりと何かが這い上がるのを感じた。
「ショル、キー……足りない……」
「……俺もだよ、サイバー」
「ふっ……ぅ……」
俺はあらかじめカバンの中から出しておいた、ローションの瓶のふたを取り、サイバーの後ろと自分の指
にたっぷりと塗りつけた。
サイバーの体はそんな刺激でさえも敏感に感じ取っているようだった。
しばらく、襞をいじるようにほぐしたあと、指を一本サイバーの中にうずめる。
「ひっ、あん……」
「サイバー、いつもより中、熱いね……」
「言うなよぉ、あ、あっ!」
いつもより熱く、うねるようなサイバーの中を丁寧にほぐしていく。
いいところを刺激しつつ、そっと指を増やし傷つけないようにそっと中を探る。
「あ、あぁっ、ショ、ルキィ……もう、もう平気だから……」
「もう?きっとまだ痛いよ……?」
「だ、大丈夫だからぁ……はやくぅ……」
そんな快感におぼれた顔でおねだりされちゃかなわないな……。
俺はサイバーの中から指を引き抜くと、自分自身をさきほどまで指を入れていた場所に当てる。
指との違いに驚いたのだろうか、サイバーの体がびくっと反応する。
「力、抜いてくれよ……」
「ふ、あ、あぁあっ!」
ゆっくりとサイバーの中に自分自身をうずめていく。
驚くほどすんなりと俺を受け入れていくサイバーの中はとても熱くて、すぐにでもイってしまいそうだ。
「サイバー、大丈夫か……?」
サイバーが俺にしがみついて、激しく首を縦に振る。
「それじゃ、動くからな……痛かったら爪立ててもいいから」
「あ、あ、あぁああっ、ショルキ、ィッ!」
前後に腰を動かすと、サイバーが激しく嬌声を上げる。
その声も、搾り取られるような中の温度も、どんどん俺を追い詰めていく。
(まったく、サイバーにはかなわないな……)
「ふぁ、あ、ああっ!」
サイバーの爪が背中に食い込む。
けれども、この痛みも俺の体を追い詰めていく一因にしか過ぎなかった。
「あ、ああ、ショ、ショルキッ、ショルキー!」
「ふ……サイバー……!!」
目の前で星が散った。
俺はサイバーの中に熱を吐き出し、サイバーも俺の腹に熱を吐き出した。
「は、あ、はぁ……ショルキー……」
「何だい、サイバー」
「……足りない……」
「…………俺も」
夜が深さを増しても、俺たちが眠るのには相当の時間を要した。




「……ふぅ……」
隣を見ると、力尽きたサイバーがすぅすぅと安らかな寝息を立てて寝ているのが見える。
「やりすぎた、かな……?」
がんばりすぎるな、というMZDの言葉が頭をよぎる。
「ま、やっちゃったものはしかたがない、ということで」
俺は隣で眠るサイバーの髪の毛に手を通す。
少し癖のかかった水色の髪の毛が手にかかる。
「それに、俺はアレがなくてもきっとこうなってたと思うよ」
俺の頭にアレ……ボゥイからもらった砂糖瓶が思い浮かぶ。
俺は、起こさないようにサイバーの額にそっとキスを落とした。
「うぅん、ショルキー……」
サイバーが寝返りを打ちながら、寝言を漏らす。
「それにしても、何か忘れてるような……」
ステージを終えたときから、いやその前から何かが心に引っかかっている。
俺はその正体を探る。
「あ」
砂糖をテーブルに置き。
紙コップを二つ持ってサイバーの元へ行った。
「あの砂糖瓶……テーブルの上に置きっぱなしだ……」
大丈夫だろうか、と思いつつ俺は隣で眠るサイバーに目をやる。
「……大丈夫、じゃないかもしれないな……」
明日回収しなくては……。
俺は砂糖を使ってしまったかもしれないどこかの誰かに心の中で謝りながら、枕もとの電気スタンドを消
した。


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