よつばと姫編

「いい、よつばちゃん?狼は生きろ、豚は死ね、よ。」
「わかったよ、えりかおねえちゃん!おおかみはいきろ、ぶたはしね、だね」
「ちょっ、ちょっとエリー、よつばにあんまり変なこと教えないでよう。」
「あっ、まま!おかえりなさい!」
よつばが笑顔で振り向く。
「ただいま、よつば。」
「あら、おかえりなさい。フフ、よっぴー、英才教育ってやつよ。
よつばちゃんはこれだけかわいくて頭が良くて良い子なんだから、
小さいうちからしっかり教え込んであげないともったいないわよ?」
うう、レオ君、何故かエリーの方が私より親馬鹿っぽいよ・・・。
よつばのことを頼んで買い物に行ってたら、まさかこんなこと教えてるとは。
「ただいまー。」
「ぱぱもおかえりなさいー!」
よつばがちょっと遅れて入ってきたレオ君に抱きついた。
「わたしね、おっきくなったらせかいをぎゅうじることができるうつわだって!
せかいをとれたら、ぱぱとままにせかいのはんぶんをあげるね!」
「よつばちゃーん、私にはー?」
「もちろんえりかおねえちゃんにもはんぶんあげるよ!」
「やった♪」
「はははは、それじゃあよつばの取り分がないじゃないか。」
「レオ君、そういう問題じゃないよ・・・」
「はっ、しまった、つい!姫、よつばにあんまし変なことふきこまないでくれよ。」
「私、変なことなんて教えてませんー、本当のことを教えてただけですー!」
「まあ確かに、よつばならなあ・・・」
・・・二人ともよつばの魅力にぼけぼけだ。


「全く・・・。よつば?」
ぼけぼけな二人は放っておいて、よつばを呼ぶ。
「なあに、まま?」
「あのね、よつば。ママはね、よつばが元気で、笑ってくれるだけで幸せだからね。」
「?うん、わかった。」
笑顔で答えるよつば。
私と同じ苦しみだけは、絶対味合わせまい。
「どうしたの、まま?」
ちょっと悩む顔をしちゃったか。心配してくれるよつば。
ああ、やっぱりかわいい、抱きしめちゃうよ!
「あー、よっぴー、よつばちゃん独り占めしないでよー!私たまにしか会えないんだから!」
「良美、俺も混ぜてくれー!」
飛び込んできたレオ君も一緒に抱きしめる。
「ふふ、二人ともだーいすきだよ。」

「ぬかった!のり遅れた。私も子供作ろうかな・・・」


よつばと乙女編

「ははははっ、大きくなったな、よつば。いや、はじめまして、と言ったほうがいいか。
私の名は鉄乙女。お前の、そうだな・・・、伯母のようなものだ」
鉄先輩は笑顔でよつばを高々とだきあげた。
「はじめまして、おとめおばさん!」
「うむっ、いい挨拶だ。だが、そう呼ばれると少し複雑な気持ちになるな」
微妙そうな顔をする鉄先輩。
「よつば、乙女お姉ちゃんって呼びなさい」
さすがにまだおばさんという年ではないし、気になるだろう。よつばに注意する。
「うん、わかった!はじめまして、おとめおねえちゃん!」
「はは、よつば、ありがとう。
すまんな、佐藤。助かった。いや、もうお前は佐藤ではないんだな。
むむむっ、良美と呼んで良いだろうか?」
「ええ、もちろんです、鉄先輩」
「そうか、ありがとう。お前ももう学生ではないのだし、先輩をつけなくても良いぞ。
そうだな、レオのように乙女さんと呼んでくれると嬉しいな」
「あっ、はい。わかりました、乙女さん。」
乙女さん、か。フフ、レオ君とおそろいだ♪
「しかし、ほんと久しぶりだね、乙女さん」
それまで黙っていたレオ君が声をかけた。
「そうだな、最後に会ったのはよつばが生まれたばかりの頃だったからな」
あれ以来、か。確かにかなり久しぶりだ。
大学を卒業してから、鉄先輩は武者修行の旅で海外を周っていた。
日本に戻ってくることもほとんどなかったし、折角親戚になったというのに、
全然会う機会がない日々が続いていた。
「乙女さん、海外での武者修行はどうでした?」
「うん、やはり世界は広かった。いろいろと自分の未熟を思い知らされたりすることもあり、
ためになるものだったな。ただ、やはり私は日本が好きだということも確認させられた。
これからはしばらく日本で精進しようと思う」
米のない暮らしというのはもう耐えられそうもない、と呟く。
「そっか、じゃあこれからはこっちで修行?」
嬉しそうなレオ君。むむ、ちょっとジェラシーかな。


「まあ、そうなるな。修行を兼ねての仕事をしてみようと考えている。
姫から自分のところでボディーガードをしてみないかと誘われているので、
お前の同僚になることになるだろう。またみっちり鍛えてやろう」
「・・・もう社会人なんで、ほどほどにお願いします」
あっ、レオ君冷や汗かいてる。
フフ、最近少しお腹がでてきたように感じるし、ちょうどいいのかもしれないな。
「むっ、そうだ。これ、よつばへのおみやげと思って持ってきたのだが。」
リュックを漁り、鉄先輩は変わった形の物を取り出す。
「わーい、おめんだ!」
取り出した物は石でできた仮面だった。
「あーーーーーーっ!そ、そそそそそれは!!それ、ど、どうしたの?」
大声をあげるレオ君。どうしたんだろ?
「むっ?いや、イギリスをまわっていたときにな、夜中に賊に襲われてな。
倒して縛っておいたんだが、次の日の朝に起きると賊はいなくなっていて、
これだけが落ちていたんだ。逃げられてしまったが、まあ戦利品と言ったところか。
お面なんで、子供向けのものかと思ってな」
よつばに渡そうとする鉄先輩。
「さすが乙女さん、常識では計り知れないことを平気でやってのけてる!
そこにしびれる!憧れるぅっ!けど、それをよつばに渡すのは危険すぎーーっ!」
が、叫びながら突撃していったレオ君に奪われてしまった。
「ああっ!なんで、ぱぱ?よつばのおめん・・・」
泣きそうなよつば。レオ君、どういうことかな?
「うっ、よつば、泣くな、泣かないでくれ、これはね、危険なの、めーなの!
危ないから取っただけなの。ね、ね、だからね、こっち睨んでるお二方、
怖いからやめてくれると助かるかなー、なんて」
あっ、つい。あれ、危険な物だったんだ。だったら仕方ないか。
「むっ、そうだったのか。レオは博識だな。それはすまないことをした。
そうだ、代わりにあれをやろう」
今度は大きくてきれいな赤い石のついたペンダントを取り出し、
よつばの首にかけてくれた。


「まあ、あれは大丈夫か・・・」
今度は、レオ君は飛びつかなかった。
「わあい、ありがとう、おとめおねえちゃん!」
「うむっ、いい返事だ」
にっこり笑う鉄先輩。
「よかったね、よつば。わざわざありがとうございました、乙女さん」
「いや、それほどの物でもないさ。まあ、これからしばらく居候させてもらう身としては、
これぐらい当然だろう」
ハイ?イマナニカイイマシタカコノヒト?
「お、乙女さん、そ、それどういうこと?」
「むっ?あちらでお会いしたお前のご両親に、きちんと頼んでおくように頼んだんだが。
もしかして聞いていなかったのか?姫のところで働くとなると家の方が遠いのでな。
家が見つかるまでの間置いてもらいたいのだが・・・」
「聞いてないぞ、親父、お袋―――っ!」
聞いてないですよ、お義父さん、お義母さん!
「まあすぐに家を見つけられるように努力するので、すまんが、頼む」
ぺこりとお辞儀する鉄先輩。まあ、仕方ないか・・・
「まあ、困った時はお互い様ですよ。ようこそ対馬家へ、乙女さん」
「そうか、ありがとう良美!」
がしっと手を握りしめられる。
「わあい、おとめおねえちゃんおとまりだ!やったあ!やったあ!」
よつばも喜んでるし、まあ良しとしようかな。
けど、鉄先輩と同居か。まさかこんな日が来るとは。
喜ぶよつばの頭をなでながら一人ごちた。


(作者・89氏[2005/11/16〜23])

テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル