scene1

「おやさい、きらいだよぉ…こうた、かわりにたべて」
「いやだよ。それよりぼくもおさかなきらいなんだ、ほのか、たべてよ」
「やぁだっ!たべてっ!!」
「おまえがたべろ…あっ!!」
べちゃっ
「!!…吼太!!ほのか!!いい加減にしなさい!!あなたたち、何てことするのっ!!」
「「うわーーーん!!」」
「なごみ、それくらいにしてやれ。…いいか二人とも、食べ物を粗末にしたらダメだ。食べてもらえない
 お野菜もお魚も可哀想だろう?それに、せっかくママが作ってくれたんだから、ママにも失礼だな?」
「くすん、くすん…パパ…」
「っく…っく…うん…」
「よし、それじゃママにちゃんと謝っておいで。そうしたらママ、きっと許してくれるから」
「ママ、たべものをそまつにして…ごめんなさい」
「ごめんなさぁい…」
「…二人とも、もう絶対しない?」
「「うん」」
「約束よ」


「あの子達、眠っちゃいました。…あなた、ホントにすごいですね」
「まぁ、親としてあれくらいはな。なごみ、きっとものすごく怒ると思ったから
 俺がなんとかしなきゃと思ったんだ。ああ言えば二人とも分かるよ。ママに似ていい子だから」
「ふふ…きっとパパに似たんだと思いますけど」
「ところでなごみ…最近ご無沙汰だったな…」
「そ、そうですね…準備、しましょうか」
「こ、子供たちを起こさないようにな」


scene2「小さな俺、未来のあたし」

「パパ、ほら!きょうのさんすうのテスト、96てんだったんだよ!!」
「おっ、凄いじゃないか!」
「パパがほのかのおべんきょうみてくれたおかげだよっ」
「いや、ほのかが頑張ったからこんなにいい点が取れたんだろ?偉いぞ、よしよし」
「えへへっ…やったぁ」
(………ほのか、最近なごみによく似てきたなぁ…わが娘ながらメチャクチャ可愛い)

「ママ、おさらあらいおわったね」
「ええ。吼太が手伝ってくれたおかげで、早く終わったのよ。ありがとう」
「ねぇママ、あしたのあさ、ともだちといっしょにサッカーいってもいい?」
「…いいわよ。でもちゃんと今日のうちに宿題もやっておくように。わかった?」
「うん!!」
(ふふ…吼太ったらとっても素直…あの人によく似てきたなぁ…)


「ふぅ、今日もお疲れ様、なごみ」
「あなたこそ。…あたし今、とっても幸せなんです」
「…俺も今、そんなこと考えてた。色々と忙しいけど、子供たちのおかげで辛くはないな」
「そうですね…。それじゃ、おやすみなさい、あなた…」
「おやすみ、なごみ…」
(じーーーーーーーーっ…)
「「!?」」
「またチューしてる〜」
「パパとママ、なかよしね」
「なっ、い、いつから見てたんだ?」
「こ、こらっ!早く寝なさい!!」
「「はーい」」


scene3「Everlasting love」

「「おばあちゃん、こんばんはー」」
「あら〜、その声は吼太ちゃんに、ほのかちゃんね〜」

「のどかさん、急に押しかけてすみません」
「いいのよ〜、ありがとう。4人とも元気そうね〜」
「母さんも元気そうで何より」
「私もおばあちゃんって呼ばれるようになったけど、まだまだ元気よ〜」
「あはは…すみません」
「あらあら、謝ることなんてないわ〜。とっても嬉しいんだから〜。
 あんなに小さかったなごみちゃんが、お母さんになるのを見ることができたんだもの〜。
 と〜っても感謝しているわ〜。」
「母さん…」
「ねぇねぇ、おばあちゃん。ここにかざってあるおはな、きれいだね」
「あら〜、ほのかちゃん、よく気がついたわね〜。これは、麦藁菊っていうのよ〜」
「むぎわらぎく?」
「そうよ、吼太ちゃん。このお花はあなた達のママの誕生花…お誕生日のためのお花なの」
「「そうなんだ〜」」
「お花にはね〜、『花言葉』っていう特別な意味があるの。このお花の花言葉は『不滅の愛』」
「!」
「ママはず〜っと、パパや吼太ちゃん、ほのかちゃんがだ〜い好きってことなのよ〜」
「か、母さん…」

「今日は子供たち、のどかさんと会えたのがすごく嬉しかったみたいだな」
「ええ。帰り際は、もっと一緒にいるって泣いてましたからね。…あなた」
「ん?」
「母さんが言っていた通りです。私の誕生花の花言葉は『不滅の愛』。
 私はこれからもずっと、吼太、ほのか…そしてあなたに、絶えず愛情を注ぎます」
「なごみ…」
「愛しています、あなた…」


scene4「ちっちゃなちっちゃな天使たち」

「うーっす、レオー!!邪魔するぜーー!!」
「「カニおねえちゃん、こんにちはー!」」
「おぉっ、レオジュニアたち!お出迎えサンキュだぜ。レオに似て可愛いなー」
「何言ってるんだよ。ちゃんと二人ともなごみに似てきてるぞ。特にほのかなんかな」
「えへへ…ほのか、ママそっくりってパパによくいわれるんだよ」
「観察力が無いのは相変わらずか」
「ケッ!ムカつくヤツだぜ。昔っからオメーは気に食わなかったけどな!」
「それはあたしも同じ」
「「そうなの?」」

「カニおねーちゃんとママ、なかよしじゃないの?」
「ほのかはママもカニおねーちゃんも、だいすきだよ?」
「!!」
「うっ…」
「そ、そんなことないぞ?なごみもカニも仲良しだ。な、二人とも?」
「え、ええ…そうよ、吼太、ほのか」
「……レオの言うとおりだぜ」

「ちょっと遅くなっちったけど、今日は二人の小学校入学祝を届けに来たんだよ。
 …コイツら見てると、なんだかオメーらが幸せなの、ちょっと分かる気がするぜ」
「カニ……」
「へへ、じゃぁな、吼太、ほのか。また遊ぼーぜ!」
「「うん、カニおねーちゃん、ばいばーい」」

「…やっぱり、あの子たちにはかないません」
「はは…純真な瞳であんなこと言われちゃな…。子供たちに感謝してるよ。
 なごみとカニが二人のおかげで、少しずつ仲良くなってる気がするからな」
「あなた…」
「今度、カニん家にも遊びに行こうか。きっと子供たちも喜ぶぞ」
「はい…そうですね…」


scene5「こうた ねっけつモード」

「おかえり吼太、ほのか…っ!?」
「…ただいま…」
「吼太、そのケガ、どうしたの!?」
「きょうのほうかごね、クラスのおとこのこたちが、ほのかのこと『めがわるい』っていったの。
 ほのかはきにしなかったけど、こうたが『やめろ!』って、そのこたちとケンカになっちゃって…」
「…そうだったのか」
「ぼく、じぶんのことはなにをいわれてもいいけど、ともだちや、ほのかのことを
 バカにされるのはイヤなんだ。パパ、ママ、ケンカしてごめんなさい…」
「確かにケンカはあまりいいこととは言えないが…大切な人が酷い扱いを受けるのは許せないよな。
 パパも吼太ぐらいの年頃は同じようなケンカをしたんだ。やっぱり吼太はパパの子供だな」
「そうね、ママもそんな奴らは許せないわ。…さぁ、いらっしゃい。手当てしてあげるから」

「こうた、けが、だいじょうぶ…?」
「ん?うん、だいじょうぶだよ。どうしたの?」
「あのね…きょうはありがとう」
「?」
「なんだかきょうのこうた、カッコよかった。
 ほのかたちはふたごだけど、『おにいちゃん』ってかんじがしたよ」
「そっか…でもこれからはあんまりケンカしないようにするよ。
 …それより、ほのかメガネかけたら?ママもかけてることあるし」
「うん、ママとおそろいのがいいなっ♪」


scene6「ほのかの描く夢」

「いやしかし、お前んとこの子供たちも大きくなったなぁ」
「まぁな。そういうお前はどうなんだよフカヒレ、結婚とか」
「うるさいっ!!俺は一人の女に一生縛られるなんて御免なんだっ!!」
「へいへい」
「僕は大きくなったら、スバルおじさんみたいにカッコよくなりたいな」
「おっさんじゃない!…まぁそれはいいとして、俺を見習うってのも、どうかと思うんだが…」
「そうとも。スバルを見習うくらいなら、この俺みたいになるよう努力すべきだ!!」
「えぇ?父さんが、『フカヒレみたいな大人にはなるな』っていつも言ってるよ?」
「レェェェオォォォ!!お前は子供に一体どんな教育をしてるんだぁ!?」
「『ヘタレになるな』ということを息子に教えちゃいけないのか?」
「もし吼太に何か変な事を吹き込んだら…潰しますよ」
「ガーン」

「ほのか、お前はどうなんだ?やっぱ俺みたいな男がいいと思うか?」
「私もスバルおじさんはカッコイイと思うけど…パパみたいなダンナさまが欲しいな」
「えっ?」
「それで、私はママみたいな奥さんになって、ママみたいなママになるの。いいでしょ?」
「…そ、そうだな。ほのかにピッタリかも知れないな」
「ほうほう、『幼妻ほのかタン』か…なかなかに萌える…」
ギ ロ リ ! !
「…うぅ…なんでもないです…」

―いつも優しくて、どんな時でもがんばっているパパとママ。
 私はそんなパパとママが大好きです。いつか大きくなったら、
 ママに負けないような、すてきな人になって、パパのような
 男の人と一緒に、ずっとくらしていきたいです。
                           対馬 ほのか―


scene7「天使たちの居ぬ間に」

「あの子達、大丈夫でしょうか…?」
「なぁに、ママに似て運動神経はいいんだ。臨海学校でも今ごろ注目を浴びてるさ。
 さぁ、なごみ。もう一杯いこう」
「あ…すみません。あなたのグラスも空いてますね…どうぞ」
「ありがとう。…やっぱりこうしてると、思うんだよな」
「…え?」
「たまにはこういう時間が欲しい、ってね。…もちろん子供たちのことは愛してるさ。
 だけど、時々は、なごみと二人っきりでいたいんだよな」
「あなた…」
「…はは。やっぱりこうして、なごみと一緒に飲む酒が一番おいしいから…な」
「私もです、あなた。…え…っと…今晩は…その…」
「お…おう…そうな。俺たちだけだし、久しぶりにゆっくり、な。
 …しかし、なごみは相変わらず可愛いな〜」
「もぅっ、あなたったら酔ってるでしょう」
「いや、ホントだよ。ママになっても、いくつになっても、なごみは可愛いし、キレイだよ」
「それは…あたしがいくつになっても、あなたがずっと愛してくれるからですよっ」

「「ただいま〜」」
「お帰りなさい。随分と日に焼けたわねぇ」
「あれ?パパはどうしたの?」
「父さんにもお土産買ってきたのに」
「昨日、ちょっとお酒飲みすぎちゃってね。まだ寝てるの…。
 もうこんな時間なのね…。よし。二人とも、起こしてきてくれる?」

「パパ、パパ、起きて!ちゃんとお土産買ってきたよ!」
「あはは…わかった、わかった。起きるから身体を揺さぶらないでくれ」
「ねぇ父さん、昨日僕たちが遠泳してたらね…………」


scene8「紫水晶と涙」

「あなたー!吼太ー!ほのかー!夕食の準備ができたわよー!」
パァン!パァン!パァン!
「なごみ」「母さん」「ママ」
「「「お誕生日おめでとー!!!」」」
「…びっくり。そうか…それでみんな今朝からコソコソしてたのね」
「母さん、これ、僕とほのかから」
「…新しい鍋掴み。これ、もしかしてあなた達の手作り?」
「うん。学校で習ったから、吼太と片方ずつ作ったんだよ。
 ほら、それぞれに私たちのイニシャルが入ってるでしょ?」
「母さんの好きな青と黒のチェック柄にしたんだよ。どう?」
「ええ、とっても気に入ったわ。ありがとう」
「ママ、ケーキも買ってあるんだよ。えっとローソクローソク…」

「二人とも、もう眠ったか?」
「ええ。すごくはしゃいでいたみたいだから。…私もですけどね」
「…なごみ、子供たちの前では渡せなかったが、俺からもプレゼントがあるんだ」
「まぁ…このイヤリング…宝石がちりばめられてる…」
「アメジスト。確か、なごみの誕生石だったろ?派手なのがあんまり好きじゃなさそうだから、
 小さくあしらわれているものにしたんだ。きっと似合うと思うんだが…」
「…ありがとう…ございます…」
「な、なごみ…なにも泣かなくても…」
「今日は…っ…嬉しい…ことが…いっぱい…っく…ありすぎて…」
「…おめでとう、なごみ…」


scene9「少しずつ大人に」

「ただいまー。ちょっと友達とサッカーやってて遅くなっちゃったよ」
「あら、おかえりなさい、吼太。ご飯もうできてるから、手を洗ってらっしゃい」
「…母さん、なんで今日、お赤飯なの?」
「………」
「ま、まぁ今日は…その…お祝いなんだ。そうだろ、なごみ?」
「ええ。そうね。とってもおめでたい日なの」
「なんか、ほのかがずっと黙ってるけど…まぁいいや、お祝いなんだね!
 じゃ、すぐに行くから待っててよ!」
「はは…こういうとき、男親としてはフォローに困るんだよな」
「別にいいわよパパ。私なら大丈夫だから」
「ほのかもこれからどんどん大人になっていくのよ、ゆっくりと、ね」
「そうそう。いずれはママみたいなキレイな女性に成長するだろうしな」
「…あ、ママっていえば、子供のときからずーっと気になってたことがあるの。
 ママと一緒にお風呂に入ってた頃からなんだけど…」
「「いぃっ!!?」」
「ねぇママ、なんでママって…」
「お待たせっ!!僕もう腹ペコだよぉ。早く食べよう!」
「そ、そうだな。それじゃ、いただこうか!」
(ありがとう吼太。明日の晩御飯は吼太の大好物にしてあげるからね…)

「…ヒヤヒヤしましたよ、もう…」
「ははは…子供たちも随分成長して来たからな…ああいうことも話題にあがってくるんだろう」
「そういえば、さっきほのかが質問するきっかけを作ったのは、あなたの言葉でしたね?」
「いやっ、あれは、その…なごみが今も昔もキレイな女性だって言いたかっただけで…」
「そんなこと言ってもダメです。許しません」
「そ、そんな、なごみぃ…」
「今夜、子供たちが眠ったら、ちゃんとお詫びをしてもらいますからね」
「お、お手柔らかに…」

「晩御飯のときは聞きそびれちゃったけど…まぁいいや、明日パパに聞いてみよっと」


final scene「これからの二人に」

「パパ、じゃ〜〜ん!どうかな?」
「おう、セーラー服がよく似合ってるぞ、ほのか」
「えへへ…やっぱりパパに褒められると照れちゃうな…」
「吼太のほうは…あ、ちょっとシワになってるわね」
「い、いいってば母さん…もう子供じゃないんだから」
「ふふ…そういう意味では、ね。でも、あなたたちはいつまでも、父さんと母さんの『子供』よ」
「?」

「そうだな…吼太、ほのか。二人は俺たちの最高の子供だよ。あんなにちっちゃかった二人が
 今では中学に上がって、制服を着るようになるなんて…」
「年を重ねるごとに、どんどん幸せになっていくの。あなたたちのおかげよ。ありがとう」
「母さん…」
「パパ…」
「はは…慣れないこと言うもんじゃないな…。そろそろ入学式、行くか」
「そうね、さぁ…行きましょう、二人とも」
「「うん!!」」

(俺たちの愛する子供たちが、こんなに立派に成長しました。
 これからも俺は父親として、なごみと支えあって子供たちに愛を注ぎます)
(この子たちがこれから先も、健やかに生き、幸せな道を歩んでいかれますように…)


(作者・◆WbnK3gH7Sc氏[2005/11/02〜12/02])

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