chapter1「父として、騎士として」

「勇騎は?」
「ええ、よく眠ってるわ。私の大きくなったオッパイに満足したみたい」
「ははは…出産してからまだ日が浅いんだから、無理しないでもう休めよ」
「そうも言ってられないわ。ただでさえお産前後は部下たちに迷惑をかけてきたんだし」
「みんなに負担かけたくないって思うんなら、早く仕事に復帰できるようにすることだ。
 俺だってエリカほど優秀じゃないが、エリカがいない間くらいしのいでみせるさ」
「ママ、はやく元気になって。私もいい子にしてるから」
「…ほら、次期代表取締役もこう言ってるしな」
「ふふっ、リオナが跡継ぎになるかどうかは、まだ分からないわよ?」
「パパ、ゆうきを見てきてもいい?」
「ああ。起こさないよう、静かにな」

「…すぅ…すぅ…ぁぅ…」
(パパ、ゆうきがねごと言ったよ。かわいいね)
(そうだな。リオナも産まれた頃はこんな感じだったんだ)
(そうなんだ…ゆうき、はやく大きくなってね)
(さぁ、もう遅いから、そろそろ寝なさい)
(うん。パパ、あしたもお勉強、がんばるからね。おやすみなさい)

「…まだ寝てなかったのか」
「ええ。さっきリオナがおやすみを言いに来たわ。…レオ、ありがとう。
 あなたが仕事でも、家庭でも、しっかり私をサポートしてくれたから、2人も子供が産めたのよ」
「忘れてないか?俺たちは夫婦なんだから、支えあって生きるのが当たり前なんだ。
 エリカの為だったら、どんな努力だって惜しむもんか」
「…レオ…」
「ただ、エリカの代わりを務めてる間はリオナの面倒を見てやれない。あの子は
 まだ小さいし、もっとパパやママと一緒にいたいだろうから、早く回復してくれよ」
「そうね…おやすみ、レオ。愛してるわよ」
「俺もだ、エリカ。おやすみ…」


chapter2「"ママ"であるように」

「ん?リオナ、勇騎の面倒を見てくれてたのか」
「うんっ。一緒に遊んでたの」
「…ねぇね」
「ほら、パパ。勇騎、私のこと『ねぇね』って呼ぶようになったんだよ」
「本当だ。ちょっとした言葉をもう覚えるなんて…勇騎は天才だな」
「もちろんよ。なんといっても私の血が流れてるんですもの」
「あっ、ママ!」
「エリカ、仕事は大丈夫なのか?」
「ええ、レオのサポートのおかげでね。それで、ちょっと時間ができたから
 この子達に会いたくなっちゃって。我ながら子煩悩よねぇ」
「あ…そうだ。はい勇騎、ママにご挨拶は?」
「…まぁま」
「!!」
「いいコですねぇ〜」

「…今日、勇騎が私のこと『ママ』って呼んでくれた…。
 満足に面倒も見ていない私を…」
「なに言ってるんだよエリカ。時間があるときは、いつも
 会いにきているじゃないか。『ママ』だよ、エリカは」
「リオナのときもそうだったけどね…私、結局逃げてたのよ。
 子供たちを愛しているけど、それでも仕事を言い訳にして
 『母親』としての大事な責務から逃げてたんだわ」
「エリカ…」
「決めた!私、もっとあの子達のそばにいるようにするわ。
 それができてこそ、クイーンなのよね」
「ああ。俺もそうなって欲しいから、いつもサポートしてるし」
「…というわけで…レオ、そのためのパワーをちょうだい♪」
「うわっぷ!ちょっと、いきなり飛びかからなくても…」
「ふふふ…今夜は寝かせないんでそのつもりで!!」


(作者・◆WbnK3gH7Sc氏[2005/12/05-2006/01/24])

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