WBC…正式名称『ワールド(W)・ボトルシップ(B)・クラシック(C)』。

世界一のボトルシップファイターを決める大会で、100年近い歴史を持つ大会である。

現在のチャンピオンは岩本帆眼、ボトルシップ帆眼流創始者にして初の日本人王者である。
またの名を松笠腐敗、ボトルシップ界では知らない者はいないと言われる、生きる伝説である。

そんな彼の弟子の一人、対馬レオ。
ボトルシップを愛しながら闘争とは無縁の道を歩んできた。

そんな彼の日常は、ある一通の招待状−WBC日本大会決勝トーナメントの誘い−により、劇的に変化していくのであった。



対馬レオがWBC出場を決めたその日、同居人であり姉であり、そして恋人でもある鉄乙女と真の意味で心を通わせ、二人は夫婦となった。
その夜、白無垢姿でレオの寝所に現れ、三つ指をついて『不束者ですが、末長くよろしく』という乙女をレオは心行くまで愛した。
今までは恋人でありながらも、乙女の絶対的優位は変わらなかったが、その日の彼女はレオに全てを委ねてくれた。
翌朝、朝靄のたゆる頃、レオの腕枕で幸せそうに眠る彼女の姿があったという。

そして現在、鉄乙女は学校に行き、対馬レオは何故か自宅にいる。
レオはWBCで勝つ為にはまだまだ実力が足らず、修業が必要だと考えた。
既に、一般的な書物から得られる程度の内容から、遥か高みに到達しているレオには、試合まで1ヶ月という短い期間で劇的に実力を上げる方策が見当もつかなかったのである。



そして現在、鉄乙女は学校に行き、対馬レオは何故か自宅にいる。
レオはWBCで勝つ為にはまだまだ実力が足らず、修業が必要だと考えた。
既に、一般的な書物から得られる程度の内容から、遥か高みに到達しているレオには、試合まで1ヶ月という短い期間で劇的に実力を上げる方策が見当もつかなかったのである。
武道の達人ではあるものの、ボトルシップに関しては素人である乙女は彼を気遣い、とりあえず竜鳴学園館長・橘平蔵に、大会出場の為、レオを休学扱いにできないかどうかを相談しに行ってくれた。
「細かなことは私に任せ、レオはボトルシップに集中してくれ。」
と言ってくれた乙女に、レオは心より感謝していた。しかし、レオの心配事は別にあった。



「(何かとんでもない過ちを犯している気がする・・・)。」
テンションに身を任せ、WBCへの参加を誓ったものの、冷静になってみると、急に不安になってきたのだ。
「(乙女さんは既に本気だし、今更やめるなんて言ったら・・・ブルッ!)」
背筋に嫌な汗が流れてきたので、レオは考えるのをやめた。
「はぁああ・・・。」
深い溜め息をつくと、頭を抱えた。
そこへ、
「どうやら悩んでいるようだな。」
「え?」
突然の声に振り向くと、そこには見知った面々が居並んでいた。
「私より先に世界を狙うなんて、対馬くんのくせに生意気ね・・・ま、本気なのは聞いたけどね。」
「私に出来ることがあれば何でも言ってね、対馬くん。」
「ひ、姫に佐藤さん!?どうして・・・?」
「鉄先輩に呼ばれて来たんですよ、センパイ。」
「べ、別に対馬の為に来たんじゃないんだからね!」「椰子に近衛まで・・・。」
対馬家の女人率が凄いことになった!!



「それは私が呼んだからだ、レオ。」
「乙女さん!?それにお前ら・・・。」
そこには乙女、そしてスバル、カニ、フカヒレの面々もいた。
「一体どうしてみんなが!?そもそも学校は!?」
「それはワシが話そう。」
「か、橘館長!?」
対馬家の漢率・髭率が上がった!
「話は鉄から聞かせてもらった。まさかお前があの松笠腐敗の弟子とは知らなかったぞ。」
「館長は師匠をご存じなのですか!?」
「うむ、知ってるも何も松笠腐敗はワシの師匠でもあるからな。」
「えぇっ!?」
「と、言ってもワシが松笠腐敗のもとにいたのは一月ほどだからな。そう、あれはワシが若き日に世界中を旅していた時のことだ・・・」
「長くなりそうなら帰っていいですか?」
「しょぼ〜ん。」
「「ナイス椰子!(一同)。」」



「せっかくワシの武勇伝や恋バナから話そうと思ったのにのぅ。ならばワシが見た松笠腐敗の奥義について話すとしよう。」
「師匠の奥義っ!?」
その言葉にレオの瞳の色が変わる。
「うむ。実はワシはその松笠腐敗に勝負を挑んで敗けてのう、一月との条件で弟子入りをしていたのだ。」
「え!?ヘイゾー負けたの!?」
「そう驚くな蟹沢、当時のワシはまだお前らよりも年下の、一段階しか変身できない紅顔の美少年だったからのう。」
「謝れ!美少年に謝れ!!」
「え、エリー落ち着いて!」
「それはどうでも良いとして、松笠腐敗の奥義についてのお話を!!」
「鉄は対馬のこととなると容赦ないのう。だ が そ れ が い い。そう、あれは修業の最終日、ワシは松笠腐敗に洞窟の奥に呼ばれた。そこは真の闇、僅か1メートル程の距離にお互いがいながら、何も見ることが叶わぬ程。松笠腐敗はワシにただ待つような言った。」



「え?奥義は?」
「話は最後まで聞け、対馬。ワシはそのまま一晩待った。ようやく洞窟内に朝日が差し込み、目が見えてきたワシは驚愕した。なんと松笠腐敗の手には、精巧な『戦艦松笠』のボトルシップがあったのだ!」
「「!!??(一同)」」
「そうだ、松笠腐敗は明かり一つない空間で、音一つ立てずに完璧なボトルシップを作れる!!その名も、『無明無音の型』っっ!!!!」
「「・・・・・。」」
あまりの衝撃に言葉も出ないレオ達。ちなみにカニは熟睡中だ。
「そ、そんな事が本当に・・・?」
「佐藤の言うことも分かるが、館長のお話は本当の話だと思う。私もかつて爺様から『無明無音の型』を使う達人の話を聞いたことがある。てっきり武道家とばかり思っていたが・・・。」
「いや、松笠腐敗は武道家としても達人だ。何しろ若き日とはいえ、このワシに勝ったのだからな。」



「おいおい、そんな化け物にどうやって勝つんだよ。て、言うかもうボトルシップ関係な・・・アッー!?」
「あれ、今フカヒレの声がしなかった?」
「いや。」
「しなかったわよ。」
「誰それ?」
「スバルの聞き間違いじゃねーの?」
「そうか・・・つか、よっぴー何げにヒデーな。」
「コホン。」
乙女が咳払いをし、騒つきを収める。
静まったのを見て、彼女はレオの肩に手を置き、話し始めた。
「今日館長をお連れしたのは、今の話をして頂くのと、お前に修業をつけてもらう為なんだ。」
「・・・乙女さん。」
「松笠腐敗に勝つには、この『無明無音の型』を身に付ける以外無いと思う。それには一度でもこの技を見た館長に修業をつけてもらうのが一番だと思う。ただ・・・。」
「?」



珍しく言い淀む乙女に、不思議な顔を向けるレオ。
「私は恐ろしいんだ・・・館長の修業は地獄を見ることになると思う。でも今のレオなら、必ず乗り越えられると思う。たが、レオがもしそれを乗り越えたとき、レオがレオじゃなくなる気がして・・・。」
「乙女さん・・・。」
レオ優しく微笑むと、乙女の手を握った。
「大丈夫だよ、乙女さん。俺は何があろうと、変わらないよ。」
「レオぉ・・・。」
近付く二人の顔。
「はーい、ストップストップ!!」
「ひ、姫!?」
「なーに私らを忘れてストロベリってるのよ。せっかく来てあげたのに。」
「ご、ゴメンナサイ。って、みんなはどうしてここに?」
「それはね、修業の間、対馬くんのサポートをするためだよ。」
「えっ?」
「日本大会予選までの一月、館長はお前と烏賊島に籠もるそうだ。その間の炊事洗濯、その他モロモロあるだろ?お前が修業に集中できるよう、みんながサポートしてくれるんだよ。」
「え、いいの?学校はいいの?」
「もちろん授業には出てもらう。サポートはそれ以外の時間となる。とはいえ、鉄だけでは負担が大きいからな。」
「みんな・・・。」



「その代わり、必ず優勝すること。私に世界を見せるのよ。世界といってもあのアニメは関係ないからね、ナイスボートっ。」
「対馬くんのお世話!対馬くんのお世話!(対馬くんが修業に集中できるよう頑張るね)。」
「まぁ最近は家に帰りたくありませんし・・・て、変な誤解はしないでくださいよ、キモいです。」
「く、鉄先輩に頼まれたから仕方なくだからね!アンタなんか別に・・・モニョモニョ。」
「ぐっー(熟睡)。」
「ちくしょおっ!ちくしょおっ!どうしてレオばかり女が集まるんだっ!!」
「頼りにしてくれよ、親友。」
「・・・ありがと(遠い目)。」
「よしっ!これで万全の態勢が整ったわけだ!!みんな!レオを絶対に優勝させるぞっ!!」
「「オーッ!!!(一同)」」



威勢よく声を上げる生徒達を見つつ、橘平蔵は心中複雑な想いを抱いていた。
「(無明無音の型・・・か。かつて、この奥義を会得した者は少ない。あの神々しくも妖艶な完成度・・・かく言うワシもあれを見せられたとき、思わず一物をビンに突っ込みたくなる程であった・・・。対馬、修業は厳しいものになるぞ、覚悟せい)。」



「あれ、そういえば祈先生は?」
「途中まで一緒だったんだけど、急に『憩っ!?』とか言って、『私は急用です!!』てな感じでどっかいっちったんだ。」
「憩・・・エステのキャンペーンか何かかしら?」
「さぁ?」


謎と陰謀が立ちこめるWBC日本大会決勝トーナメント。
本当の試練はこれからだ!!
愛する妻、友の為、闘え対馬レオっ!!!


(作者・名無しさん[2007/10/09])


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