朝、起きると、達人になっていた。

俺を起こしに来た乙女さんが床で失神している。
無意識に投げ飛ばしてしまったらしい。あの乙女さんがこの「俺」に・・・?

「くっくっく ハッハッハッ アーハッハッハッハ!

  ・・・ついに俺様の時代が来たのだ!!!」

蟹沢家の玄関に向かう・・・ 面倒だっ!

「・・・・・」
アッパーとストレートの間のパンチ。「ジョイント」
バコッ 
ふん、もっと派手な音が鳴ると思ったがな。
蟹沢家の壁に大穴が空く。
「てめー人んちに何しやがるっ って レオ??」
カニが飛び出してきた。
「なーにぃ? レオちゃん? 出涸らしをさらいに来たの〜 いいわよー 今なら米10キログラムつけたげるわ。」

 「いいえ、お断りします。」「今日は貴女に用があってきました。松笠の呂布」
マダムから笑みが消える。
「女の身でありながらその力は同門の橘平蔵をも凌駕したと言う・・後継者の座を結婚を理由に平蔵に譲ったと聞いているが・・・さて。」


「フン 知っていたか。レオちゃんも隅に置けないわね。」構えるマダム。

「麒麟も老いたるは駄馬にも劣ると言うが・・・ふっ衰えてはいないようだな。」
こちらも構える。2人とも残像を描きながら腕を動かす。 一見向かい合って盆踊りの練習をしているかのように見えるだろう・・・・

みるみるマダムの額に玉のような汗が噴き出していく。
「きぬ、アンタには母親らしいことは何にも教えてやれなかったね。」
「え・・・いきなり何言ってんだ?」
「これが・・・アンタに残してやれる最期の母親の姿だ・・・忘れんじゃないよっ!!」
    「えっえっ? そんな母親おかしいデスよ?」
レオの姿が一瞬ブレた・・・カニにはそう見えた。そのようにしか見えなかった。
 張りつめた空気が一瞬ゆるんだ・・・? と思った瞬間・・・
「ぐはあ・・・」 血を吐きマダムが倒れる。
「くうぅ。 ワタシを倒し。何を望む・・・?」
「知れたことっ 我が望むはっ 「天」 すなわちっ 松笠最強の座!!」

目指すは松笠最強の漢 竜鳴館館長・橘平蔵の首!!!今、レオ最強伝説が幕を開けるっ!!!!!                 


竜鳴館 道場・・・
「・・・・呂布が逝ったか・・・」平蔵が目を細めて言う。
 「まだ死んでねーよ!!」 カニが涙目で吠える

 「ところで対馬クンは何でいきなりそんなに強くなったの?」
 「・・・ 私の整体のせいだ・・・毎晩整体を施している間にレオのチャクラが開眼してしまったらしい・・・」
「ふむ・・・ しかしあの呂布をも倒すとは恐ろしいまでの勁・・・さすがに鉄の血筋と言うところか・・・」
「いえ、レオの才能は異常です。歴代の中でもあれほどとなると皆無です。」
「平蔵ー勝てるのか??」
「はっはっはあんな若造の一人や二人ぃ・・・・ 」豪快に笑う橘館長

「むうっ」片膝をつく・・・・
「やはり無理ですっ 」乙女が肩を支える。
「え?」「館長は先週の山ごもりで古傷を痛めてしまったんだ。常人ならICUに入っていなければいけないほどの大怪我だ。」
「・・・レオは私が倒します。いえ、姉として私が止めなければっ」


道場の前には乙女さんが立っている・・・仁王立ちってやつだな。思わず苦笑する。   平蔵は中か?
「乙女さん・・朝ので実力の差がわからなかったのかい?」

 今やうちのヒエラルキーは
   俺>>(超えられない壁)>>乙女さん>>スバル>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>カニ>>>>>>>>>>>>>>回覧板>>>>>>フカヒレ。という感じだ。
     「私はお前のお姉ちゃんだ。朝は不覚をとったが今度こそお前を止める。」
「鉄!!地獄蝶々を使えっ!!」平蔵の声が響く。
「ははっ乙女さん使っていいぜ! ちょっとは楽しくなるってもんだ。んん? 丸腰の相手には使いにくいかい? なら俺も武器を使わせてもらうよ。」

右手に持った包みを解く・・・・・


・・・ボトルシップ・・・・

「レオっそれは命の次に大事なものではなかったのか? そこまで変わってしまったのか?」
乙女さんの悲痛な声。
「勘違いをしてもらちゃ困る。これは命と同じくらい大事なもんだ。余裕ってヤツさ。乙女さん。この大事な大事なボトルシップで相手させてもらう。」

乙女さんは怪訝そうな顔したが、一度深呼吸をし、鞘を左手に持ち、腰を落とした。抜刀術の構えだ。
「来るか!鉄乙女!!」「いくぞっレオっこの抜刀術見切れるものなら見切ってみろ!!!!」
更に腰を落としたと思った瞬間 乙女さんはダッシュした。神速からの抜刀術!!人の身では絶対回避不可能な超必殺技であるー
「とった!」確信した。 間合いは完全に乙女さんが制していた。しかし。。。


音・・・・すらしなかった。 3尺5寸の地獄蝶々の刃は、レオの持つビンの底で受け止められていた・・・!?。
「スローすぎてアクビがでるぜ。」
「くっ」 飛び退いて間合いを離す。

 ・・・・!!!!レオがいない? 靴の・・ウラ? 
   ドロップキック・・・・ ノーモーションからのドロップキックが完全に鉄乙女の 顔面を捕らえていた。
まるで子供に蹴っ飛ばされた空き缶のように転がっていく乙女さん。
  「女の子の顔面を蹴るなんて・・・対馬クン、アンタ・・・」
「死合いに男も女も関係ない・・・・。そうだろっ乙女さん・・ってさすがに頑丈だな。」
立ち上がる乙女さん・・・・泣いている?
「おやおや痛かったかい もっと手加減してあげればよかったかなー?」
「レオっお前が強くなったのは私もうれしい。 だが、今のお前はただの外道だ。今までお前を鍛えてきたのに精神はまったく鍛えられてなかったんだな。お姉ちゃんは情けなくって涙がでてきたぞ。」


「平蔵っなんでレオは急にあんなに強くなったんだよ? 見た目はヘタレのままだろー?」
「蟹沢っお前は拳銃を持った相手に勝てるか?」
     「ん? 勝てるわけねーじゃん」
「相手が構えてから撃つまで10秒あれば どうだ? もちろん着弾地点は変わらん。」
「そんなら余裕じゃん。簡単によけられるYO!」

「今の対馬がその状態だ。莫大な勁により、完全に鉄の動きを見切っている。」
「じゃあ、乙女さんは勝てないじゃねーか!」
「ふふっどうかな? もう鉄は対馬の弱点に気づいたようだぞ。」


先ほどと同じ構え。神速からの抜刀術の構えだ。 

周りの温度が下がっていくような感覚・・・・
「いくぞっレオ!!!これで最期だあーーー!!!!!」
鉄乙女の姿が消えるっ   ダメージを負っているにもかかわらずさっきより疾い

抜刀術・・剣術において最速のソレは間合いに入れば最強である。しかし、弱点が二つある。
一つは、一回きりであること、初撃を外されれば死に体となる。
もう一つは、鞘より外側が死角になること。 右利きの鉄乙女の左側は死角となる・・・・・
レオは見切っていた・・・・抜刀より速く左側に・・・・


「蟹沢・・・ さっきの拳銃の話だが・・・もし拳銃が暴発した場合。弾が出ると思っていたお前は 暴発の破片を避けられるか?」
「えっ?」
 「それが答えだ・・・・所詮対馬は素人だったということだ。」


パリーン

ボトルシップが砕け散るっ それは舞い散る雪のように綺麗だった。

鉄乙女は・・・左手で刃を抜き、対馬レオを斬っていた。
「お前は抜刀術の奥深さをを知らなかった・・・一朝一夕で身に付く強さなど所詮紛いものだ・・・いつも言っているだろう毎日の鍛錬が・・・」
うすれゆく意識の中で・・・いつもの説教がいつまでも続いていた・・・。



はっ 目が覚める ここはベッドの中??夢オチっ?
「おっ 今日は ちゃんと起きてるなー 感心だ。もうおにぎりは用意できてるぞっ」俺を起こしに来た乙女さんが階段を降りていく・・・・・
 ふと・・・棚を見ると・・・命と同じぐらい大切なボトルシップが割れていた。


(作者・名無しさん[2006/08/12])

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