「夕飯はベジタボーッ!!」
「出たな ぱんつ要員」
「ぁん? なんか言った?」
 今夜も窓からカニ乱入。
 相も変わらず暇な奴だ。
「いや、なんにも」
「あれ、今日はスバルもフカヒレもいねーのか?」
「あぁ、あいつら今日は予定あるって」
「なーんだなんだぁ? それじゃあそれじゃあ、可憐なボクが寂しいレオの相手をしてあg」
「遊びたいなら勝手に遊べ、のちに帰宅しろ」
「ンだとゴルァッ!? テメー『据え膳食わぬは漢の恥』って言葉知らねーのかよっ!?」
「そういう言葉だけ正しく覚えるなっ! そもそも意味解ってんのかお前っ!?」
「よく知んない」

 もういい、こいつはシカトだ。スピリチュアルアタックだ。

「ねーねーレオー。ひまー」
「……」
「無視かよ。シ カ ト でぃすかぁ? いーもん、そしたらレオの秘蔵本持って乙女さんのとこ行ってこよー」
「やめぃっ! あぁもうカニっ! お前ちょっとそこに座れ」
「お? やっとボクの相手をする気になりましたね?」
「ちょうどいい機会だ、お前に少し『教育』というものをほどこしてやる」
「え? 幼馴染調教? うわぁ、レオ、それはちょっとヒくぜ?」
「教育だ教育。頭ん中のちっこいカニ味噌使ってよく考えなさい」
 そう言って俺は束になったレポート用紙をカニに渡す。
「なになに……? 『正しい幼馴染まにゅある
byシャーク鮫氷』? なんだこれ?」
「なんでも、『幼馴染の正しい在り方』をまとめたもんらしい」
「どーせゲームの中の『幼馴染』でしょ」
「まぁ……確実にそうだろうな」
「こんなもんボクに読ませてどうしようってのさ?」
 カニが不満気に手をぶんぶん振り回す。
「や、ひまつぶし。それじゃ俺が読み上げるからよく聞いておくよーに」


「『カニ。お前は属性的に『幼馴染』というポジションに位置していながらも『悪友』属性となっているっ!!
  これは非常にもったいないことだとは思わないのかっ!? 元来『幼馴染』という属性は最強であるものっ!
  メインを張れる立場にいながらそれをむざむざ捨てるとは何事かっ!?』」

「 だ が そ れ が い い 」

「自分で言うかっ!? っていうかつっこまんでよろしい」
「『そこで俺はお前を矯正すべくこのマニュアルをつくりあげた。これに従い、立派な萌えキャラになるがいい』」
「くだんねー」
「俺もそう思う。心から」
「でもちっとおもしろそうだからやってみよーぜ。どーせひまだし」
 ってことで


STEP1
『幼馴染たるもの、主人公に無条件で愛を注ぐべし』
「どうみてもエロゲーです、本当にありがとうございました」
「ん〜、どっちかってゆーとレオがボクに愛を注いでるんだよね」
「誰が何を誰に注いどるか、誰が」
「愛してないのかよっ!? こんなに可愛らしい美少女が毎晩窓からやってくるんだよ!? これを愛さなきゃ男じゃねーだろっ!!」
「大声で愛愛叫ぶな恥ずかしい。どこぞの愛マニアかお前は」
「カニミソッ」


STEP1‐2
『幼馴染たるもの、犬チックであるべし』
「……なんだかあいつがなんのゲームをやったか解る気がしてきたぞ」
「犬チック?」
(うーん……個人的には椰子が犬チックだと思うのだがどうだろう)
「ボクは言うなれば子犬系ってとこかな? えへっ、愛らしくてみんなにかわいがられるタイプ」
「狂犬だろ」
「がるるるるるるるるっ!!」
「いてーっ! 噛むなっ!! このド畜生がっ!!」


STEP1‐3
『幼馴染たるもの、主人公を『ちゃん付け』で呼ぶべし』
「……また随分懐かしいゲームをやったんだな、あいつ」
「ちゃん付け? 『レオちゃーん♪』とか? うぉっ、なんか照れるぜコレ……」
「レオちゃーん レオちゃーん」
「連呼すんな」
「もうっ、レオちゃんたらぁ♪」
「……おきぬちゃん」
「名前で呼ぶなっつってんだろこのダボがぁっ!! ボクは後半でキャラ薄くなったりしねーぞっ!?」


STEP1‐4
『幼馴染たるもの、髪型を変えてドキっとさせるべし』
「だからキャラが限定されすぎだっつーに」
「髪? じゃあちょっとほどいてみるぜ」
「……」
「……ど、どうかな? カナ?」
「悲しいくらいKOOLで平常心」
「 嘘 だ っ !!」


STEP1‐5
『幼馴染たるもの、初えっちでは失敗すべし』
「あ、なんでだろう、ちょっと胸が痛い」
「ええええええええええっちってオイ!! アレか!? ボクとレオがアレでナニすんのかっ!?」
「しないしない」
「うっわこれまたすごい冷静ですねぇオイ」
「悪い、こんな時どんな顔をすればいいか解らないんだ」
「……照れれば、いいと思うよ」
「いやそれはない」
「お前バカァっ!?」


STEP ?
「それにしてもフカヒレも暇だな」
「よくこんなもんマジメにつくるよねー」
「まぁひまつぶしにはなったかな……」
「……なぁレオー。まだ続きはあるんだろ?」
「まぁ……結構な量だぞコレ」
「じ、じゃーさじゃーさ、また今度やろうぜ。結構おもしろいじゃんコレ」
「そ、そうかぁ?」
「で、でも恥ずかしいからスバルとフカヒレがいない時なっ!
 それと、この事誰にも言うんじゃねーぞ? 絶対だぞ? 絶対だかんなっ?」
「それはフリか?」
「フってねぇよっ! 本気と書いてマジだよっ!!」
「んじゃ、ヒマでヒマでしょーがない時にな」
「よしっ♪ そんじゃボクもう帰るねー。ちゃんと朝起こしに来いよー」
 機嫌良さげにそう言って、カニは窓から出て行った。
 ……コレの何がおもしろいんだ?
 カニのおもしろがるポイントがいまいち解らなくなったな。
 でもまぁ、暇だったらまたやってやるか。


(作者・空気詠み人知らず氏[2006/08/10])

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