「裏切られた……今度は……今度こそは、と思ったのに」
「結局世の中こんなもんか」
「ちょっ……待ってよ、よっぴー」
「触らないでよ」
差し出した手は、痛烈に払いのけられる。それは間違うことなき、決定的な断絶。
「ぅ……」
言葉はつい消えた。
常日頃から、己の力の絶対性を信じていた。そしてそれに見合う、成果をなしてきた。
不可能だと思うことは無かった。迷うこともなかった。
したいことをし、欲しいものは全て自分の力で手に入れてきた。
そんな彼女が今、生涯で初めて、『どうしていいのかわからなくなった』。
絶望によどむ視界に―――黒い『像』を捕らえた。
(スタン…ド……ッ)
―――本気、だ
刹那、全身が警鐘を鳴らした。
(やばいッ!よっぴーは、本気で、私を『捕りに』きているッ!)
「せいぜい、孤独に押しつぶされない様にねェェッ」
「ローズクイーンッッ!!」
エリカもとっさにスタンドを発現ッ!瞬く間に伸縮自在の茨の鞭を振るうッ!
だが攻撃ではない!エリカの頭に、戦おうなどという考えは、露ほども無いのだから……
ブィシィィィッ!
竜宮の入り口にある柵に巻きついた鞭が、エリカ自身を高速で外へ引っ張り出した!
衝撃に耐え切れず柵が折れるッ!
全身を強かに打ち付け、それでもなおエリカは、とっさに立ち上がり一目散に逃走する。
最中、良美を振り返ることさえしない。攻撃的かつ、制圧前進が基本のエリカにとってこれは、『らしくない』行動だった……
なぜなのか?何か計算があって、誘い出すために逃げているのか?
それとも親友のよっぴーを傷つけられず、やむを得ず逃げているのか?
答えは、そのどちらでもない……
なぜならッ!エリカはッ!あの怖いもの知らずで強いあの姫はッ!
今、ただ純粋に佐藤良美のスタンドに『恐 れ を な し て』逃げているのだからッ!!
「あのスタンドに『捕まる』のはまずいッ!もし捕まったら……もし捕まってしまったならッ!」
「私は……私は、『自分』を失ってしまうッ!!」


「……さすがは『霧夜さん』
 迷いの無い逃走、相変わらずすごい判断力と決断力だね……」
エリカの逃走を目の当たりにしても、佐藤良美は動じない。
「でも、逃げられない……逃げられないよォ……
 私のスタンド……完全無敵の『ブラックサイド』からはッ!」
佐藤良美のスタンドッ!黒づくめの『ブラックサイド』が発現するッ!
「ブラックサイドはッ!すでにッ!霧夜エリカを標的に決定しているッ!!
 射程は無いッ!標的はどんなことがあっても逃がさないッ!確実に『捕る』のよッ!」


(作者・名無しさん[2006/06/11])

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