今日の天気は晴れ、すっごくいい天気!
まるで世界がこの私を賞賛しているかのようだわ!
このパフェもとってもおいしいし!
それにしても…
「ねぇ、やっぱりよっぴー、機嫌悪くない?」
「え、そうかなぁ。 そんなことないよ」
うーん、そのわりには爪楊枝を何本もバキバキ折ってるんだけど…
時々舌打ちする音が聞こえてくるし。
やっぱりツインテールと対馬クンが一緒に映画館から出てきたからかしら?
ま、仲良さそうだったけど、ああなってたとはねー。
「ほらほら、よっぴーも食べましょ? アイスが溶けちゃうわよ」
「うん、そうだね」
食べ物与えておけば、機嫌も良くなるわよね。
しばらくすると、カランという音と共にドアが開き、1組のカップルがやってきた。
あら? あの髪型はツインテール? 服が違うけど、着替えてきたのかしら?
それにしても、スイーツを食べる店まで一緒になったとは、奇遇ねぇ。
「……(チッ)」
「ねぇ、また舌打ちしなかった?」
「え? してないよ」
どうやらツインテールを見ると反応してしまうみたいね。
よっぴーの背中から黒いオーラのようなものが見えるわ。
「ナオちゃんごときに、対馬君はやらせはしない…この私がいる限り…(ブツブツ)」
な、何なのこれは…
おーい、よっぴー戻ってこーい。
でも、何だかあの二人、対馬クン達とは雰囲気が違うわ。
ちょっと聞き耳立ててみようかしら。


「ったく、ホント今日は暑いわねぇ」
「何言ってるんだよ、外に出るのに誘ったのはそっちだろ?」
「ま、そうだけどね。 あ、ここの勘定はアンタ持ちだから」
「えー!? そこまで金持ってないよ!」
「はぁ!? アンタ馬鹿か!? アンタがアタシにおごるのは当然の義務だろうが!」
「そんな義務、請け負った覚えなんかないよ!」
「アタシに口答えする気か!? このイカ!」

あら、何だか喧嘩してるみたいね。
ちょっと離れてるし顔もあんまり見えないけど、まぁツインなんてそうはいないか。
「あれ? なんだか喧嘩してるみたいだねぇ。
 やっぱりいがみ合ってたから、そうそう長くは続かないよね」
あ、何だかよっぴーがちょっとだけニヤニヤ笑ってる。

「ん? どこ行くんだよ」
「トイレよトイレ!」
「そんなでかい声で言うなよ。 恥ずかしいだろ、姉貴」
「う…うっさいわね!」

「姉貴って…対馬クン、乙女さん以外にお姉さんっていたっけ?」
「あれ、よく見ると違う人だよ。 確かに見た目は結構似てるけど」
「ん? そういえばそうね」
なーんだ、私達の勘違いか。
なんとなくよっぴーもがっかりしてるわ。
まったく、いくらあのツインテールに対馬クンをとられたからって、ここまでいじけることないのに。


店を出た私達は、今度は公園まで行くことにした。
よっぴーの気分も、歩いているうちに少しは晴れたみたい。
「エリー、ちょっと飲み物買ってくるけど、何がいい?」
「そうねぇ…それじゃサイダーで」
「うん、ちょっと待っててね」
そう言って、売店へと駆け足で向かっていった。
それにしても、そんなに対馬クンのこと好きだったのかしら?
あんな無個性な人間、そんなにいいとは思えないんだけどなー。
私だったら、絶対選ばないわよ。
というより、選択肢にすら入ってない…いや、そうでもないかも。
「はい、どうぞ」
「ありがと、よっぴー」
海を眺めながら、しばらく二人でボーッとしていた。
大きな船が汽笛を鳴らしながら横切っていく。
ふとよっぴーの顔を見てみると、何だか少しだけ悲しそうだった。
「ねぇ、よっぴー」
「何? エリー」
「対馬クンのこと、好きなんでしょ?」
「えぇっ!? な、何を言ってるの!?」
「あのねぇ、私だってそこまでニブチンじゃないわよ。 で、どうなのよ?」
「うぅ…エ、エリーにはかなわないなぁ……でも、もういいんだ…」
「どうして?」
「だって、対馬君はナオちゃんを選んだんだもん。 それは対馬君の意志でしょ? それじゃあ仕方がないよ」
「でも、それを認めたくないよっぴーがいるのでした」
「うう〜…」
あ、またふさぎこんじゃったわ。


「こういうときは…てやっ」
ムギュっとよっぴーの胸を揉んでみた。
「きゃん! …もう、なにするの!」
「だって、元気がないんだもん。 それとも、もっと揉んで欲しい?」
「いいよ、そんなことしなくても…」
そういうと、また海のほうを眺めだした。
「あーあ、まったく! あのねぇ、よっぴー。 嫉妬の炎をメラメラと燃やさないの!」
「え? そ、そんなことないよ」
「いーや、私にそんなごまかしは通用しないわよ。 あ、メラメラは言い過ぎたか」
私はお互いの顔がくっつきそうなぐらい接近して、よっぴーの顔をじっと見つめた。
「とられたのなら、むしろ奪ってやろうとは思わないの?」
「そんな…そこまでしようとは思わないよ」
「そっかー、よっぴーの対馬クンに対する気持ちはそんな程度だったんだー」
こう言うと、さすがのよっぴーもちょっとむっとした顔になった。
「つ、対馬君のことをどうとも思ってないエリーにはわからないよ!」
ほら、つっかかってきた。 まだ諦めきれない証拠ね。
「なら、白黒はっきりつけたら?」
「え?」
「対馬クンに告白しちゃいなさい」
「で、でも…対馬君にはナオちゃんが……」
「確かにそうだけど、対馬クンが自分にウソをついてあのツインテールとつきあってるのかもしれないんだから。
 厳しい事を言うようだけど、このままだとずっと後悔が残るわよ?」
「エリー…」
ちょっと考え込んでからよっぴーは口を開いた。
「…うん、やってみるよ」
「OK。 カニっちに連絡して、対馬クンを今度呼び出してあげるから。
 その時に、正直に自分の気持ちをぶつけるのよ?」
「うん!」


そして運命の日。
気になる結果はと言うと…
「うっ…ぐすっ…エリー……」
「はいはい、私の胸でよければいくらでも泣きなさい」
よっぴーは対馬クンに自分の気持ちを打ち明けた。 そして返ってきた答えは…

「ゴメン、佐藤さん。 気持ちは嬉しいんだけど…俺はもう、あいつ以外の女の子を愛することはできないよ」

とりあえず、理由がどうあれよっぴーを泣かせた対馬クンには『お嬢様ダブルニープレス』を後でくらわせるとして、
まずはよっぴーを慰めてあげるのが先決。
ということで、カラオケに連れて行って全てを発散させてあげることにした。
「で、なんでカニっちと乙女先輩がいるの?」
「まぁ、女の友情ってやつさね」
「佐藤にはつらい現実だっただろう。 しかし、これをバネにして、また新しい恋愛を見つければいいさ。
 今日は私のおごりだ。 思いっきり騒ごうじゃないか!」
「カニっち…鉄先輩…ありがとう」
「おーし、そんじゃあ心置きなく歌いまくろうぜー!」
「それじゃ、私がいっちばーん!」
「こら、姫! ここは上級生である私が一番だろう!」
そう言って、乙女先輩が私からマイクを奪い取ってしまった。
でも、急に困ったような顔をした。
「ところで…どうやって曲を選ぶんだ?」
「それはこのリモコンで…」
「何、そうなのか!? いや、よくわからないものでな…佐藤、ちょっと曲を入れてくれないか?」
「はい、この曲ですね? って演歌ですか…」
こうして、私達は存分にカラオケを楽しんだ。
結局、乙女先輩は自分で曲を入力することができなかったけど。
よっぴーもちょっとは元気を取り戻したし、これで万々歳ね!
さて、対馬クン覚悟しなさいよ?


<オマケ>

「…ということがあったらしいんや。 あ、情報はカニっちからやで」
「よぴー、かわいそうネ。 でも、これも人生ネ」
「で、ウチらはどうしたらええやろ?」
「そとしておいてあげるネ。 慰めるのは、姫達がしたからもういいネ」
「そうかぁ? ここはウチらもよっぴーを励ましてあげようやないか!」
「マナがそんなこと言うと不安でしょうがないネ。
 とんでもないこと言いそうだから、 いらんことしちゃダメネ」
「せやけどさぁ…」
「空気読めないマナがそんなことしたら、よぴーがますます元気なくなる確率メチャ高いネ」
「なんやとー!? まるでウチがアホみたいやんかー!」
「まるでアホじゃなくて、もうアホそのものネ」
「がふっ」


(作者・シンイチ氏[2006/06/10])

テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル