対馬邸

いつもの事ながら休日になごみはうちにきて、色々と俺があんまりしない家事全般を一手に引き受けてくれる。
そんな仕事がひと段落つき、とあるスーパーのチラシの何気なく見るなごみ、と、ひとつの所に視線が止まる
「牛肉バラエティパックタイムサービスで100g53円」
そして時計を見てなごみは言う
「センパイ、今日はすき焼きにしませんか」
「いいな、でも材料が」
「私、買い物行ってきますね。センパイはこっちで色々用意していただけると助かります」
「任せろ、万全にしておくよ、いつもやってもらってばかりだからな」
「では、少し行ってきます。」
「分かった、きをつけてな」
後に松笠二時間戦争と呼ばれるタイムサービスという名の戦場になごみは大切な人と食べるすき焼きを思いながら向かう。


鮫氷邸

「新一?今日、カレーにするから、このお肉を買ってきて」
「姉上、お言葉ですが」
「買ってくる!」
「はい」
フカヒレは半ば半泣き状態で了承する、今の姉は少し機嫌が悪い、
使い魔は出ていないが、不思議な声がどこからともなく聞こえて来るからだ、ら・らー、と。


「あと、きぬちゃんちのおばさんが必ず出て来るから、自転車、『ぶりゅんひると』か『でんどろびうむ』使いなさい」
「かしこまりました姉上」
フカヒレは姉の額に電気が走る時は予想が必ず当たる事を知っている、
あまり良くない未来を想像しながら少し欝気味で愛車『でんどろびうむ』にまたがる。
今日は早く終らせよう、そして自転車は加速していく


松笠市街スーパーマタタビ

「て、店長〜?ホントに大丈夫ですか?」
いかにも心配そうに店長にこれから起きるであろう惨劇をあらかた予想しているバイトちゃんこと佐藤良美は、
ちゃっかりその日の特売品を店員特権で先行買取りをしながら言う。
「ふふふ、最早語るまい!」
(もうなんで私の周りは変なのばっかりかなぁ)内心あきらめ状態でため息をつく。
「対馬君、来ないかなぁ」
今回は残念ながら叶わない希望を胸に、店員としてのやる気はゼロでひたすらその時をまつ。


松笠駅前商店街午後六時少し前

タイムサービスに向けわずかだが、徐々にそして確実に主婦たちの衝突が広がり始めた、
「まさか、あの牝豹の娘・・・!がふっ!」
(これがタイムサービスの魔力、主婦が襲って来るなんて!)ランダムで襲って来る主婦を倒す、
もうすでに十二人との格闘を終えたなごみは再度スーパーマタタビを目指す。


蟹沢邸前
六時を前にしていきなり殺気だつ蟹沢一家にただならぬ気配を感じてしまった俺は、珍しく自転車にまたがるマダムに遭遇した。
「こんばんはレオちゃん、ウチのあれ、愛人でもらってくれない?」
なごみと半同棲生活を始めた俺に、このごに及んでまだこんな事を言って来る。
「そうだぞレオ、ボクがいいって言ってるからもらっとけ、ココナッツに飽きたらボクが遊んであげるよ」
だから娘までこんな事言っちゃうんだって、あれ?なんか今物凄い爆弾発言を聞いた様な、
「あれ、お姉さんどこいくんスカ?」
「スーパーマタタビに買い物、今日お肉安売りだからいくのよ。」
ふーん、マズイ、なごみがヤバい、こんなのを戦場に放り込んだらなごみは間違い無く的にされかねない。
「あ、あのー」
台詞を言う前にバビューンと加速していくマダムの乗る赤い自転車、
見送る事しか出来なかった自分は心の中でなごみに謝罪しながら己のふがいなさを呪った。

更に戦いは激しさを増す、最早警察すら介入しない無政府状態のソマリアのごとき惨事だ。
カチッ!パカッ!フカヒレはハンドル脇のボタンを押し前にすえ付けられている改造籠を展開する。
サメスガアイver.2はメガネに踊る照星を捕えていた、FCSは量産主婦を捕え、トリガーが引かれた。
自転車前面にすえつけられた改造籠のなかから無数のロケット花火が発射される。
その軌道は量産主婦たちにあたかも誘導するかの如くその量産主婦たちを効率的に倒している、ただ今のはすべて運で命中為ていたのだった。
サメスガアイに新たな反応が現れる、かなり早いがサイズは痩せ型、「雷光の○爵(ライトニング○ウント!)!スバルか!」
迫り来るそれは進路の邪魔な量産主婦だけを潰しまっすぐスーパーマタタビに向かっている、
ヤツは自炊している、間違い無くまとめ買い派だ、ヤツはを止めねば肉が買えない率は跳ね上がる、
買えなかった時には、姉のそれこそマーベラスな射撃&サブミッションのコンボの対象にされる、
そう思ったフカヒレはペダルを踏む力を上げた。「間に合え〜!」

「着いたか、まずは肉!」スバルはスーパーの店内に突入しようとした瞬間脇から物凄い衝撃を喰らい吹き飛ぶ、
「のわっ!やってくれるじゃないの!ってカニん所の!」
赤い自転車を今の瞬間駐輪場に停める大柄の女性、それを見てか量産主婦たちは口々に言い出す
「呂布が出たぞ〜!」
そう、松笠の呂布ことカニママが降臨した合図だった。


「まとめてかかれ〜!」
なごみはスーパーマタタビの前に到着したが入口での呂布の出現の混乱に巻き込まれていた。
カニママの威力は圧倒的だった、もうKOカウントが150を越えている、
「椰子か!カニん所の母ちゃんを一緒に止めるぞ!」と、スバルがなごみに気付いたのか助力を仰ぐ、しかし真の悪い事に、
なごみの精神の均衡はこの異常事態を長く耐えうるモノではなかった。
「フンッ、ウザってぇんだてめぇは、とち狂ってお友達になりに来たのかい?」ガキンッ!
自分の家の引き出しの中に何故かわからないが置いてあったもの、FN-M249MINIMIフォー○レスカスタムを構え無差別に乱射する(犯罪です真似しないでね!)。
「まて!中のひとがちが・・・」
「ギャ!」
「グエッ!」
まさに無差別射撃、さすがにここまで大掛りな飛び道具を想定していなかったスバルとカニママは一時後退を余儀なくされた。
30秒後、突如乱入してきた白い自転車にその車体ごと店内に突っ込まれる、
均衡を破られた店前から量産主婦たちが雪崩こんで来る。
「邪魔だぁ〜、どけ〜」
なごみを引きずったまま『でんどろびうむ』で店内を安売り肉目指し突っこむ。


「ふざけるな!」どげっ!
店内に入った30メーターの所で、店長の飛び蹴りがフカヒレ本体を自転車から吹き飛ばす。
「佐藤〜!(店長もこの名字)俺にとって、毎度お前に頼まれた買い物を邪魔されるのは屈辱なんだ!」
「対策を練ったのは誉めてやる、だが貴様と話す舌を持たぬと言ったはずだ!だが、漢の道を教えてやる」
店長自慢のコンボが店内に響き渡る。
「み、み○みさん、バイト代安過ぎッスよ・・・」
フカヒレはもう屍の様だ。
「見ろ!貴様が潰した段ボールを!段ボールを馬鹿にするもの段ボールに泣くだ!これはな・・・」
このあと小一時間店長は誰も聞いてない段ボール談義を為ていた。
「あれ、私・・・」
なごみは引きずられたショックで気絶為ていたらしい、しかし運良くゴール前、
日頃の行いが良かったのかあまり無事ではないが肉をゲット、レジに向かうが、
「雑魚が、向かって来るか!」どうやら目的を忘れたカニママが一騎討ちを挑んだ様だ。
だが、なごみは目的を果たし、レオと食べるすき焼きを思い浮かべて「センパイとすき焼き〜!」
センパイダイスキモードに入ったなごみには立ち塞がるカニママが目に入っていなかった。「待ちなどこへ・・・、やっぱり親子だねぇ、私の後ろをとるなんてアンタぐらいだよ」
カニママの後ろを取ったのはのどかさんだった、
その手には最早神器とも呼ばれるト○テックのバルカンがカニママをポイントブランクで構えられていた。
「あのー、今日だけなごみちゃんを見逃して頂けるとありがたいですぅ」
「毒気抜かれたけど、久しぶりにアンタとなら楽しめるねぇ」
「あらぁ、では早速」
バキーン
「雑魚どもがー」
普段のんびり屋ののどかさんだが持ち前の運動性能でカニママの体力を削っていく。
「えいっ」
ばろろろろろろろ!

(もう、めちゃめちゃだよぅ、ここのバイト辞めよかな、掃除するの私たちなんだけどな)
店の惨状を横目にもはや目が横一本線になったよっぴーは淡々とレジ業務をこなす。
「今回はまた一段と激しいわね」
「だからって知り合いのオリビエさんと同じ事やらないの!エリー」
「はーい」
「もう、なんで乱闘に混ざるかな」


「なごみおかえり!ってどうしたんだその生傷は」
「勲章です。センパイとすき焼きを食べる為の試練を乗り越えた証です。」
「そうか、手当するからな、良かった無事に帰って来て、カニん所の母ちゃん出たときは心配したさ」
「ちょっと怖かったです。」
「そうか、良し!手当終わり!じゃあ一緒にすき焼き作るか!」
「はい!」
このあと食事途中に乙女さんが帰宅し乙女さんを交えて団欒を楽しんだ。

今回の肉を巡っての乱闘騒ぎは二時間位で事態の収拾を得た、怪我人は実に五百人、内止めに入った警官十人、
商店街に及ぼした被害総額は億の大台にまで登った。ほとんどが次の週に完全復活しているのが松笠マジックだ。
しかしながら事態を重く見た神無川県警は事態の対策のためにとある刑事二人を派遣(左遷)を決定したのだった。
「松笠って美人多いらしいぜ?」
「マジか?俺頑張っちゃおうかな〜」
「センパイ女の子見つけたら俺にも!」
『なんでお前がいんだトオル!』
ちょっとチョイワルの中年デカともう若手とは言えない中堅刑事は一路松笠へ向かう。


「私の出番がきたのは、貴方が買い物出来なかったって事ね?」
仁王立ちする姉、正座する弟、まさにこんなベタベタの展開を期待を裏切らずやってくれる男、
フカヒレは最早弁解しても無駄と判断して観念為ていた。
「あ、姉上!なにとぞ寛大な措置を!」
「貴方が買ってこないからいけないのよ!ほら、肉無しカレーがまだ有るじゃない!」
「うわ〜ん、もうカレーは勘弁」
「ほら赤井君も食べる!」
「な、ルーの全がけは辞めろ!」
「うぷ」
「いけない!赤井君!」
ゴサッ!
「私に向かって、吐こうなんて良い度胸ね?」
キュインキュイン、ビビビ〜ム!
「さ、サ○コミュ!」
以後一週間、姉さんの彼氏も巻き込んだ肉無しカレーの責め苦が続いたという。


「って、ウチがオチじゃないのかよ!」
「良いから肉食え!」
「うおお、肉うめー」

「最後にスバル兄さんと良い子と約束だ、肉ばっかり食わないでちゃんと野菜もな!」
「オッサンでしょ!」
「オッサンじゃない!新きゃらの近衛にまでいわれた・・・」


(作者・時給255円氏[2006/05/28])

PC用眼鏡【管理人も使ってますがマジで疲れません】 解約手数料0円【あしたでんき】 Yahoo 楽天 NTT-X Store

無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 ふるさと納税 海外旅行保険が無料! 海外ホテル