「ちわーっす。 ありゃ、誰もいないのか?」
俺は今日は一人で竜宮にやってきた。
スバルは部活だし、カニとフカヒレは掃除当番だからな。
「ま、とりあえず一通りこなしてから帰るか」
ちょっとばかりやり残した仕事があったので、さっさと終わらせるとするか。
そして鞄をソファの上に置こうとしたら、ソファで祈先生が思いっきり仰向けになって寝ていたのであった。
「なんだ、先生か」
どうやら土永さんはいないらしい。
散歩にでも出かけたのだろうか。
それにしても、部屋の中で青春真っ盛りの男子生徒と色気たっぷりの女教師が二人きりで一緒にいるとは…
しかも相手は無防備ですよ。 完璧に。
「…ちょ、ちょっとぐらいさわってもわからないかな?」
うん、マズイぞ。
フカヒレと同じような事を考えてる自分が情けない。
いやいや、ちょっと落ち着こうぜ。 こんなところでテンションに身を任せていいのか?
俺はクールな対馬レオだぞ。
しかし、この機会を逃してしまうと…こんなチャンス、滅多にないぜ。
姫だったら間違いなくルパンダイブでもしているだろう。
「…よし」
素早く窓のカーテンを閉め、ドアに鍵をかけた。
祈先生が寝ている事を再確認し、いよいよ準備完了。
フッ、たまにはテンションに身を任せてもいいだろ?
「いくぞ…! 慌てちゃいけない。 ゆっくりと、起こさないように…」
そろそろと動き、豊満な胸に手がタッチしようかという時に…

「う…ううん……」


「ヤバッ…!」
しまった、起きたか!?
だが、まだ触れてはいないはず!
とりあえず素早く間合いを開けるんだ!
「う…うろたえるんじゃあないッ! 対馬レオはうろたえないッ!」
よく見ると、起きてはいないようだ。 やれやれだぜ。
夢でも見てるのかな?
こんなミステリアスな人って、どんな夢を見るんだろう?
「伊達…さん……」
お、寝言か。 なんでまたスバルの名前が?
「なかなかでは…ありますが……童貞ではありませんので…残念ですわ……」
…なんで知ってるの? つーか、どんな夢見てるの?
うーむ、何だか面白そうだから、もうちょっと様子を見てみるか。
「フカヒレさん……どうしてあなたは…ザリガニの匂いが…するのですか……」
夢の中でもこんな扱いか。 まぁ、夢の中だからこそか。
「月白……先生…」
歴史の月白先生か? なんでまたあの人が出てくるんだろ?
「そんなに美男子を……はべらせて…いい趣味をお持ちで……いらっしゃいますわね…」
…はい?
「でも…その真ん中の子は……かわいいのですが…童貞ではありませんわね…いりませんわ……」
だからさぁ、どんな夢見てるんだよ。
「あらあら…大変ですわ……背の高い…怖いお姉さんが…月白先生を睨んでいますわ……」
どういう状態になってるんだ? 夢を覗けるなら覗いてみたいぜ。
「よっぴー……本名は…何でしたっけ……」
ひどいよ、先生。 佐藤だよ。 佐藤良美だよ。 先生、突っ込み所満載だよ。
くあぁぁ〜〜〜突っ込みてぇ〜〜〜!
…って寝言に突っ込みする俺って何なんだ?
しかし、落ち着くんだ。 ここで突っ込んじまったら、全てにおいてパーになってしまうぞ。
そう、深呼吸だ。 クールにいこうぜ。


「対馬……さん…」
むむ、今度は俺か。
「うふふふ……本当においしそうですわね…いただきます……」
「何がだー!!」
あ、しまった!
つい大声で突っ込んでしまった!
「ううん…あら? 対馬さん、いらしていたのですか」
「へ!? あ、いやぁ、アハハハハ…お、俺、もう帰りますね! そんじゃ!」
あのまま部屋にいると何をされるかわからん!
おいしそうって何!?
誰か俺を助けてくれぇ〜〜〜〜!
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
俺は竜宮を勢いよく飛び出し、一目散に家まで帰ったのであった。


「うふふふ、楽しかったですわ〜。 たまにはこういう趣向もいいものですわね」
(ドンドン)
「あら? 土永さん?」
「お〜う、帰ったぞ祈〜。 あけてくれ〜い」
「そういえば対馬さんが窓を閉めてしまったのでしたわね。 少々お待ちください」
(ガラガラガラ)
「随分と楽しそうじゃないか〜。 我輩が散歩している間、何か面白いことでもあったのか〜?」
「ええ。 ちょっと対馬さんをからかっていたのですわ」
「そうか〜。 あれぐらいの歳の男子は、からかいがいがあるからな〜」
「でも、おいしそうというのは本当ですけど」
「あ〜ん? 何の話だ〜?」
「うふふふ、何でもありませんわよ」
「祈のこの目は、次の獲物を見つけたって目だ〜。 覚悟したほういいぜ、ジャリ坊〜」


(作者・シンイチ氏[2006/04/21])

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