「今から来月の修学旅行の部屋決めをしたいと思います。では皆さん行き先事に1部屋各3名づつに別れて下さいな。」
「お前ら、祈がわざわざ貴重な時間をお前らの為に裂いてるんだ。さっさと決めろ。」
「と土永さんも言ってますわ。」
祈先生と土永さんの毎度の掛け合いが終わり、クラスメイトはそれぞれ部屋割りのメンバー決めに動き出した。
まあ普通に考えれば俺はスバル、フカヒレと同室だろう。

俺とエリカが結ばれた夏から季節は徐々に移り変わり、今ではすっかり秋の気配が感じられる様になってきた。
結局、生徒会のメンバーは皆揃ってスウェーデンを選ぶ事にした・・・エリカは最後までアパラチア山脈捨てがたしと言っていたが。
そうこうしている内にスバルとフカヒレがこちらへと寄って来た。
「まあ今回もこの3人で決まりかな。」
「まあな、レオ俺と一緒の部屋で嬉しいだろ?へへへ」
フカヒレは兎も角、スバルよ俺が本気にしたらどうするつもりだ?兄貴と呼ぶぞ。
「冗談でもキモイからやめれ」
そんな事言っても喜ぶのはエリカくらいだろう、そう言えばエリカと同室って誰だろう?
佐藤さんは決定としてもう1人はカニか、それともカニは浦賀さんや豆花さんと一緒か?
そう思って横目に見ると、こちらを見ていたエリカと目が合った。
その彼女はにやにやした笑いを浮かべている。
エリカがあの顔をしている時は十中八九碌でもない事を考えているのだ。
「ねえレオ」
そう声をこちらに掛けて向かってくるエリカ、その笑顔が恐ろしいよ。エリカの後を付いて来る良美も当然何かあるのだろうと
苦笑いを浮かべている。
(佐藤さんも毎回大変だな。)
「・・・ん、何エリカ?」
「ねえレオ、私と同じ部屋でいいでしょ?あとはよっぴーね。」



し〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん

教室が一瞬の静寂に包まれる、当然だ修学旅行でそんな事が認められるわけは無い。
静寂を破ったのは、意外にも祈先生だった。
「霧夜さん、いくら何でもそんな事認められません。」
まさか祈先生の口からそんな教師染みた台詞を聞けるとは。
「そうだよエリー、いくらエリーでもそんな我が儘は駄目だよう。」
「そうだそうだ、レオばっかりずるいぞ。姫と付き合ってるってだけでも羨ましいのに、同じ部屋しかもよっぴーまで同じ部屋だと。
そんな羨ましい事認められるか!!レオ俺と変わってくれ!!」 
「そうだそうだ対馬ばっかりずるいべ」
佐藤さんは兎も角、フカヒレとグリてめえらは逝ってこい。とは言え流石にそれは拙い。
「いやエリカそれは「レオは私の騎士でしょ、ちゃんと守ってくれなきゃ。」・・・ぐっ」
「と言う訳でレオ決定ね。」
「・・・はい」
あ〜俺ってなんて弱いんだ、まあこれも惚れた弱みという奴だろう。
「(・・・でも俺は良くても先生と佐藤さんの説得は無理だろう)」
「(いいから私に任せなさい)」
俺だけに聞こえる小さな声でそう言ったエリカは一瞬不敵な笑みを浮かべ、次の瞬間には真面目な表情を作り先生に向かい合った。


「祈先生」
「何ですか、霧夜さん?幾ら頼まれても駄目なものは駄目です」
「実は奈良の○○屋の蕨餅が手に入りまして、先生確か大好物でしたよね?今日の生徒会のお茶の時間にでも出そうかと」
「な!?」
エリカの一言で先生に明らかに動揺が走ったのが手にとる様に見える。
「おいおい、祈ちゃん弱すぎるぜ。たかが蕨餅だろ?」
「たかが?良いですか伊達さん、○○屋の蕨餅と言えば1日10箱限定、開店から10分後には売り切れと言う幻の一品です。
京都に住んでた頃ならいざしも松笠に居る今では手に入れる事がどれ程大変か、今までそれを私が手に入れる為に何度仮病を
使って学校を休んだと思ってるんですか?」
「お〜祈ちゃん熱いぜ〜」
おいカニ食いつくポイントが違うだろ、サボったことを咎めろよ
「・・・確かに魅力的な提案で「それとは別に帰りに3箱お土産に如何ですか?」勿論許可しますわ。」
「ふっ、ウィナー」
「弱っ!!祈ちゃん弱っ!!」
満面の笑みを浮かべ許可した駄目教師に、勝ち名乗りを挙げるエリカそして既にただの突っ込み要員と化しているスバル、
残されたのは、最後の砦にして最高のストッパーである良美である。


「よっぴーちょっと来て。」
「駄目だよ、エリー。先生が認めても私は認めないよ。」
「いいからこっち来て。」
そう言うとエリカはこれからの話を誰にも聞かれない様に良美を連れて教室の隅へと移動した。
「(何、エリー?)」
「(よっぴー、今でもレオの事好きでしょ?それ位よっぴーを見てれば解るわよ。)」
「(だから何?それとこれとは・・・)」
「(旅行中、私を含めて3人一緒って条件なら・・・いいわよ。)」
「(え!?・・・いいって?)」
「(解ってるくせに、よっぴーが私に最後までさせてくれないのってそういうことでしょ。同じ部屋なら旅行中ずっとレオとよ。)」
「(エリー(涙)ありがとう)」
よっぴー陥落。2人の会話が終わったのか、良美は満面の笑みでレオの元へと戻って来た。
「レオ君!!・・・あの不束者ですけどお願いします(照)。」
顔を紅潮させ、次第に声が尻すぼみになって小さくなっていく良美。テラカワイス
(不束者って何がさ?何故佐藤さんそんなに照れてる。)

「じゃあよろしくね。レオ、よっぴー。」
「こちらこそレオ君、エリーよろしくね。」
(これでレオだけじゃなくて無くてよっぴーとも出来るわ。でもレオとさせてあげるのは当然旅行中だけよ。)
(あ〜レオ君とついに結ばれるんだ、嬉しいよお。エリーは旅行中だけのつもりらしいけどその後もレオ君と。)
恋する乙女達が表面では優雅に振舞いながらも、水面下では既に激しい戦いを始じめようとしているのはまた別の話


<おまけ>
「って事でスバルすまん。同じ部屋無理みたい。」
「グリでも誘うから気にすんな。まあ自由行動で一緒に回ればいいさ。それにしても姫によっぴー両手に花だね。」
「いや、違うから。」
恵まれている男が居ればそうでない人間もいる、その代表格が1人教室から逃亡した。
「うわ〜ん、こうなったら俺はケイコちゃんに慰めてもらうからいいんだ。二次元は絶対に俺を裏切らないんだ〜!!」
フカヒレよそれはただのプログ・・・ゲフンゲフン。

(1ヵ月後)
修学旅行2日目朝
「よしレオ行くか。」
「ああ行くか、おいフカヒレ行くぞ。」

修学旅行3日目朝
「お前大丈夫か?」
「大丈夫だ、気にするな。」

修学旅行4日目朝
「おいしっかりしろレオ!!」
「・・・悪いなスバル、ちょっと休ませてくれ。」

修学旅行最終日朝
「おい姫レオは?」
「今日はパスだって、ねえよっぴー。」
「ええと・・・うぅ。」


(作者・赤猫氏[2006/04/09])

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